攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
そんなこんなで話も終わり、今日のところは解散という運びになった。家路につく俺。
香苗さんはこのあと、全探組の広瀬さんとS級探査者認定式の打ち合わせがあるとかで施設の上階へと向かっていった。護衛として付く形のエリスさんも同様だ。
正直、全探組の中だったら問題ないんじゃないかな? とは思うけど何せ倶楽部は探査者も構成員としているって話だし、用心し過ぎるに越したことはないのかもしれない。
何かあってからじゃ遅いからね。相手は何をしてくるかも分からない犯罪組織だ、警戒は常にしておかないと。
「いい心掛けですよ山形くん。これまで護衛してきた要人達の何人かに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいですね!」
「そ、そんなですか」
「いやーもう文句多いわ勝手に動くわ、果てはアレコレワガママばっかりだわ! まあ、あんまり酷いと師匠が脅して黙らせてましたけどね、はっはっはー!」
「怖ぁ……」
思うにエリスさん、現在進行系でヤンチャウーマンなのでは? つい訝しむ俺ちゃんである。
家へと向かって歩く俺を、護衛とばかりについて歩くのは葵さんだ。先程も打ち合わせたとおりしばらくは彼女が俺を、倶楽部の魔の手から守ってくれるのだとか。
強力なA級探査者さんが守ってくれるのだから、安心感が大変素晴らしい。
巨大な三叉槍を背負ってガッチャンガッチャン言わせてるのはちょっと物々しいけど、それさえ頼もしく思えるんだからやっぱり武器の見た目も大事だよねって思う。
「あの、その武器なんかカッコいいっていうか、珍しい見た目ですね。メカメカしいっていうか」
なんとなく三叉槍が気になり、葵さんに尋ねてみる。昨日から目についてたんだけど彼女の三叉槍、やけに機械的な見た目をしてるんだよな。
SFチックなメタリックな見た目に、ところどころケーブルがちょっぴり見えたりしている。どこからどう見ても機械なんだけど、ダンジョン探査者が機械系の武器を得手にするって結構珍しい話だ。
そう思っての質問に、葵さんはやたら自慢げに答えた。
「ふっふーん、気づきましたか気づきますよね、私の愛槍フーロイータ! 対モンスター用機械兵装、通称AMWなんですよこれ!」
「AMW……対モンスター用、機械兵装!?」
なんかすごい単語が飛び出してきた。機械兵装なのに、対モンスター? え、あるんだそんなの? AMWなんて通称も含め、これまでに聞いたこともない言葉に驚く。
通常、機械系の武器はモンスターには効きにくい傾向がある。
これには歴とした理由があって、つまるところ異世界由来の存在であるモンスターには、異世界にはなかった概念である機械文明の効果が薄いのだ。
アルマの元いた世界、三界機構の魔天、断獄、災海。それぞれ併せて4つの異世界すべてにおいて、機械文明は未だ発生していない段階での終焉を迎えた。
なので彼らの世界にはそもそも、機械という概念やデータ、情報が登録されてなかったんだよね。
存在しなかった武器という、異世界にとっては半ばバグみたいなものである重火器は、それゆえ攻撃判定が通りにくい。攻撃かどうかの区別さえ、その情報や概念がないので判定不可能なわけだ。
だから銃火器や機械兵器の類はモンスターには効きにくいし、効くとしてもモンスターの素材で作っているとかでなければまともなダメージを与えられないというからくりがあったりするのだ。
葵さんの三叉槍は見るからに機械をふんだんに取り入れているロボットアニメみたいな武器なんだけど……これで対モンスター用兵器というのだろうか?
首を傾げる俺に、彼女は自慢気に話し始めた。
「軍事メーカーのウラノスコーポレーションと探査素材会社の桐柳探査工業が、20年以上前から共同開発している対モンスター用兵器ですね! アンチモンスターウェポン、略してAMWです! 分かりやすくていいですね!」
「は、はあ」
「AMWの最大の特徴はやはり! スキルを取り込んで大幅に増幅させるスキルブーストジェネレータが搭載されていることでしょう! 私の《雷魔導》もこれのおかげで、威力だけならA級トップクラスにも食らいつけるレベルに跳ね上がるんですよ! はっはっはー!!」
「スキルを取り込んで、増幅させる……!?」
人もまあまあいる往来で高笑いするのはやめてほしいけどそれはともかく。スキルを組み合わせて増幅させる兵器って発想はまったくの予想外で、俺は今度こそ仰天して彼女の背負う三叉槍を見た。
思えばそうだ。たしかに昨日、倶楽部の三幹部に攻撃を仕掛けたときの葵さんはたしかに《雷魔導》を使用していた……三叉槍フーロイータに対して。
雷を纏ったあの槍は、爆発的なエネルギーを出力していたように思う。アレは元々の葵さんのスキルを、槍を通して大幅に増幅した結果だというのか。
スキルブーストジェネレータといったか、とんでもない技術だ。それがあれば探査者全体の力量が大幅に底上げされるだろう。
だろうになぜ、そんな便利なものが出回っていないんだ? 少なくとも葵さんから話を聞くまで、AMWだのスキルブーストジェネレータだの、まったく誰からも聞かなかったし知らなかったぞ。
浮かんだ疑問にタイミングよく、かどうかはわからないけど葵さんが、肩を落として残念そうに独りごちる形で答えてくれた。
「これが量産されてたら一番なんですけどね……一機製作するのにも天文学的なコストがかかるとかで、この20年で試作機含め12機しか製造されてないんですよ。残念です」
「て、天文学……」
つまるところ、お金がかかりすぎてとてもじゃないけど量産なんてできないってことか。
年1ペースですらないあたり、本当にエグいコストなんだろうな。20年以上で10機ちょっとはさすがに希少すぎる。
そんなだから、世間一般にもあまり知られてないんだろうなあ。
ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー
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