攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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集まるとやかましいけど一人きりだと大人しいタイプ

 始原の4体を獲得したアメさんの、実戦での動きとか《召喚》の上手な使い方などの立ち回りについてはまた今度、日を改めて付き合うことにした。

 昨日の今日だし、何より午後からは別な用事があるしね。捕縛した翠川の意識が回復したそうなので、倶楽部についての事情聴取が今、ヴァールとエリスさん主導で行われているのだとか。

 それについての話し合いをしに、警察署まで行くわけだね。

 

 というわけでアメさんについてはこれ以降は一旦保留、次の機会にまたいろいろ話させてもらう形になる。今日はガムちゃんの《忍術》についての話もしないといけないから、アメさんにばかり教えることはできないのだ。

 代わりとばかりに言っておく。

 

「時間があれば家とかで、実際に彼らを呼んでみるといいですよ。家事手伝いとかの名目なら来るでしょうし、そこを起点に挨拶なりコミュニケーションなりしてみると、実戦の時に役立つかもしれません」

「ええっ!? そ、そんなことでお呼び立てするなんて、それは……」

「便利使いすることについては、少なくとも始原の4体は気にしません。彼らにとっては皿洗いもモンスターとの戦闘も同列なんですから、そういう意味でも呼びやすさは際立ってますね」

 

 俺は《召喚》スキルは持ってないけど、仮に持っていたらあいつらをいい感じに遊び相手や話し相手として呼び出すかもしれない。そしてそれに応じるくらい、ぶっちゃけ暇してるんだよな始原の4体達は。

 ていうか、そうじゃなかったら折に触れてシステム領域にやって来て数年駄弁って帰るとかしないし。コマンドプロンプトとして孤独に過ごしていた際に見てたけど、あいつら意識を持ったシステム側を明らかに面白がっていたからなあ。

 

 たしかリーベもウザ絡みされてたんだったか。邪悪なる思念の襲撃にてんやわんやの精霊知能を、わざわざ捕まえて雑談に興じるんだからあいつらの情緒と肝は大分おかしいと今なら分かる。

 あの時点で発狂寸前だったワールドプロセッサがよく、粛清に動かなかったもんだよ。まあ、精霊知能たちにとっては一服の清涼剤というか、生まれたての心を育むのに役立ったからその辺を見込んでいたのかもしれないね。

 当時を思い出しつつ、アメさんに伝える。

 

「話し好き……だとは思うんですけど。それが人間相手にも適応されるのかは微妙ですし、さしあたり様子を見てみるといいですね」

「は、はあ……」

「仲良くなれればペチャクチャと、あることないこと喋りだすかもですが、鬱陶しくなったら言えば黙ると思います。なんだかんだ、人の言うことは聞くほうだったはずなんで」

「……パイセン、マジで詳しいっすね。なんでそんなことまで知ってるんですか?」

 

 人間が始原の4体とコミュニケーションを取るのは初めてのケースだ。危険なことは何もない──そもそもあいつらの危険性が低い──んだけど、万一があってもいけないので注意がてら説明していると、ふと横合いからガムちゃんの声が聞こえた。

 見ればずいぶんと訝しんでいる。誰も知らないはずの概念存在について、あまりにいろいろ知っている俺について、さすがに疑心を抱いたか。いやまあ、あえてそうなるように話していた部分もあるけど。

 彼女の質問に、軽く笑って答える。

 

「昔ちょっと、彼らとは関係があってね」

「関係って……召喚スキル持ってない、ですよね?」

「まあね。別口でちょっと、知り合う機会があって。彼らがいろいろなんていうかな、はしゃぐタイプのキョロ充たちなのは多少、知ってるつもりだよ」

「はしゃぐタイプのキョロ充……」

「一気に卑近な感じになりましたね」

 

 香苗さんと葵さんが微妙な顔をするけど、大体そんなノリなんだよマジで。2体以上揃うとはしゃぎだすけど、個別で呼び出すとスンッ……てなるんだあいつら。

 その辺、若干親近感の湧く話ではあるよね。まあ俺はそもそも、友達に囲まれていてもその中で影が薄い純然たる陰キャなんですけどね。かなしい。

 

 それはともかく、まあ嘘は言ってない説明だろう、今の俺の話は。

 昔ちょっとした関係があったのは本当だ。生みの親と生まれた子に相当するし、これでまったく無関係ですとはならないだろさすがに。

 

「向こうは俺の名前を知らないはずだし、言っても変な顔しかされないと思うけど。まあ今度の実戦の時、見かけたら挨拶くらいはしようと思うってところかな」

「いよいよ何者かって感じですね、シャイニング山形パイセン……」

「まあ、そこはおいおい。話す場面が来たら話すかも」

 

 呆れたようにつぶやくガムちゃんに、曖昧な笑みを浮かべつつ返す。

 俺の正体、コマンドプロンプトについて話す日が来るのかは分からない。話しても精々がアドミニストレータまでかもしれないし、あるいは一切何も言わないままかもしれない。

 

 だけどまあ、概念存在やらスキルについて俺が知っているところを伝えようとすると、どうしても"こんなことまで知っているこいつは一体、何者なんだ? "ってのはついて回るからね。

 ある程度最初に意味深ぶっておいて、得体の知れなさを出しておいたほうがスムーズにものを教えられると思う。それゆえ今、こうしてあえて微妙なニュアンスの物言いをしたところはあった。

 

「ま、私にいろんなことを教えてくれるならその辺はなんでもいいです。パイセンはパイセンですしね」

「ええ、そうねガムちゃん! 先生は先生よ、偉大な私のお師匠様!」

「えぇ……?」

 

 ただ、ガムちゃんもアメさんもその辺の切り替えは早く、細かいことは気にしないことにしたみたいだった。

 それはいいとして、やっぱりアメさんは俺を師匠と思ってるんだなあ……段々方向性がその、狂信者方面に行こうとしてませんかね?

 不安になる俺である。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

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基本山形視点の本編なため、他キャラ視点での話が読めるのは概ね特典関係ばかりですので、興味がお有りの方はぜひぜひ、お求めくださいませー

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作者てんたくろーのTwitter(@tentacle_claw)
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