攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

646 / 2046
新潟花夢と書いて覇王忍者と呼べ!

 《忍術》を使うオペレータのための、いわばフローチャート的な説明はさらに続く。

 レベル30までに基本となる4属性の忍術──火属性の火遁、水属性の水遁、木属性の木遁、土属性の土遁──を覚えた後、レベル100まで鍛えると《忍術》が上位スキルである《忍法》へと変化する。

 

 ここからが応用編だ。忍術を複数同時使用できる忍法を用いることで、さらなる忍術を習得していけるのだ。

 

「火遁と水遁を組み合わせて水蒸気を発生させるとか。火遁と木遁を組み合わせて炎の森を作り出すとか。そういうふうに新しい術を発生させることで、雷属性とか風属性、光属性なんかの忍術を習得できるようになっていくんだ」

「《忍法》獲得以降は個人の努力次第ってこと、ですね」

「そうなるね。あと、くないとか手裏剣を使った道具による忍術、いわゆる金遁についても威力の補正がかかったりするよ」

 

 そうなっていくといよいよ、本物の忍者の人みたいになっていくねと笑いかける。属性攻撃だけでない、武器を用いての攻撃術も忍術に含まれるからね。

 ただ、そうした道具を使っての忍術、金遁については《忍法》を獲得してからの話だ。空蝉とか隠れ蓑なんかも金遁に含まれるから、あるとないとでは段違いにできることの幅が違うんだけどここはもう、仕様だから仕方ないところではある。

 

「さしあたってはガムちゃんの場合、今言った4つの忍術を獲得してから、それらを主軸にした戦闘スタイルを構築しながらレベル100を目指そうか。《忍法》についての話はそれからのことになるかなあ」

「先は長いですね……分かりました。もう今の時点で相当お役立ち情報が手に入ってますし、ぶっちゃけ大満足ですよパイセン」

「それならよかった……俺としても、さすがに忍術については口頭の説明しかできないからさ」

 

 ある程度だけど、ガムちゃんの今後のロードマップ形成に寄与できたようで何よりだ。

 まあ、そもそもからしてほぼなんの情報も存在しない中での暗中模索だったろうから、基本事項だけでもまさしく値千金ってなものなんだろう。

 

 《忍法》は極めれば極めるほどオールマイティな活躍が期待できる、レア度に見合うだけの価値がある強力なスキルだ。

 加えて今回の場合、ガムちゃんという新人離れした立ち回りができる賢い子が保持しているので、彼女がスキルや探査、戦闘に慣れて成長していけばいくほど真価を発揮し、大いなる力へと育ってくれると思う。

 

「だから大切なのは、コツコツと積み上げていくこと、かな。一息に強くなれるわけじゃないけど、長い目で見ていけば誰にも到達できない地点に、ガムちゃんは到達できるかもしれない」

「……それはつまり、覇王忍者…………!!」

「そう、覇王……はおう? うん?」

「こんなに明確に見えてくるだなんて、覇王への道筋が……っ!」

 

 聞いたこともない謎の忍者が出てきた。覇王忍者? 覇王で忍者なの? 忍者の覇王?

 なんかよく分かんないけど謎に覇王に拘りを見せるな、この子……覇王ゆかりの思い出とかあるんだろうか。どんな思い出だよ。

 困惑しつつも、何やら燃えているガムちゃんが、続けてぶつぶつとつぶやく。

 

「くくくく……いずれ世界に我が名は知れ渡るのだ、覇王忍者・新潟花夢! 花の夢とかいて覇王と読む、そんな私の覇王ロードが今、幕を開ける……!!」

「えぇ……?」

「花夢をどうやってはおうと読むのでしょうね」

「キラキラしてますねー、いろいろ」

 

 覇王思想を全面的に展開させていく中2系クール毒舌忍者ガムちゃんに、俺と香苗さん、葵さんはドン引きなり遠い目をするなり、微笑ましいものを見る目をするなり反応は様々だ。

 そんな中、相方であるアメさんだけは何やらのほほんとした笑みを浮かべつつ、彼女を見ていた。

 

「熱いわね、ガムちゃん〜。私もいつか、立派な探査者になってすごい概念存在の方々をお呼びしたいわね〜」

「そうなったら私ら二人だけってのもアレなんで、チョコさんにもなんかこう、すごいことをしてもらいましょうか。《剣術》と《俊足》だけなんで具体的なところは、ちょっと思いつかないですけど」

 

 アメさんは《召喚》を、ガムちゃんは《忍術》を極めるというある程度、具体的な指針が今回で固まったみたいだ。でもそうなると三人娘の残る一人、チョコさんが気になるみたいで二人であれやこれや話している。

 チョコさんはなあ……彼女に関しては関口くん預かりなので、どう転ぶかはいまいち読めない。《俊足》を活かしてのスピード重視の剣士路線で行くのはなんとなく分かるけど、それ以外のところでどういったスタイルにしていくんだろう。

 

「たしかチョコさん、関口くんの昔の剣技を引き継ぐみたいなこと言ってたね」

「そうですね。こないだめちゃくちゃはしゃいでましたよチョコさん」

「憧れの人からの直伝だもの、青春よね〜」

 

 アメさんとガムちゃんの証言から察するに、相当気合い入れて関口くんに師事してるみたいだね、チョコさん。

 まあ……好きだもんな、関口くんのこと。やる気も出るよね、そりゃあ。同年代の先輩探査者から手取り足取りで技を教えてもらうってのは、なるほど青春的ではあるかもね。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

【ご報告】
12/2に発売されます
「攻略!大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」
2巻の特典についてご報告いたします!

各書店様の特典はそれぞれ
・佐山の日常
・関口の昔日
・逢坂の不安
の、3種類となっております!

また電子書籍特典はマリアベール視点からみた山形についてを描いた前日譚になっています!
基本山形視点の本編なため、他キャラ視点での話が読めるのは概ね特典関係ばかりですので、興味がお有りの方はぜひぜひ、お求めくださいませー

現在サイン本、書籍版、電子書籍版の予約も行っておりますので、
作者てんたくろーのTwitter(@tentacle_claw)
もしくは
PASH!ブックス公式Twitter(@pashbooks)
をご確認くださいませ!
よろしくお願いいたします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。