攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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伝説の探査者と伝説のうっかりさんと

「公平ちゃんに御堂ちゃん。エリス先輩に葵ちゃん……なんだか不思議な光景だねえ。古くは70年近く前から、新しくはつい数ヶ月前に知り合ったばかりの子まで勢揃いだ。縁ってのは実に不思議なもんさね、ファファファ!」

「初代聖女エリス・モリガナ……ミス・チェーホワ同様に歳を取ることなく今も探査者として活躍していると、噂には聞いていましたが。本当のことだったとは驚きです」

 

 ヴァールに続いて登場した4人の探査者、マリーさんとベナウィさん、神谷さんにウィリアムズさん。

 いずれも見知った顔というか、内2人は普通に友人だ。ダンジョン聖教のお二人とはあまり馴染みはないのだけれど、それでも神谷さんとは多少の付き合いはある。祝勝会の折にも話をしたりとかね。

 

 そんな人達が県警本部で、ヴァールと一緒に俺達を待っていた。なんだか不思議な組み合わせに思える。

 今しがた話をされていたマリーさんやベナウィさんの二人にとっても、さすがに今いる俺達は異様なメンバーのようだしね。

 数日ぶりにお会いした皆さんに、俺は驚きも露に話しかけた。

 

「みなさん、どうされたんですお揃いで。ダンジョン聖教のお二人はなんとなく分かりますけど、マリーさんとベナウィさんまで」

「ファファファ! まあちょいと野暮用でね。一応私もほら、あのなんだっけ、倶楽部? とかいう連中の捜査周りで、ヴァールさんの相談を聞いたりしてるからねえ」

「私に関しては完全にマリアベール様の付き添いですよ、ミスター・公平。しかし決戦を終えたのも束の間、あなたもミス・御堂も大変なことに巻きこまれてしまいましたね」

 

 相変わらず元気そうに笑う、御年83歳のマリーさん。引退してますます活気盛んに活動されているらしい彼女は、どうやら今回の件においても、影でヴァールの補佐を勤めていらっしゃるみたいだ。

 何しろWSO特別理事だもんなあ……探査者は引退されてもその役目は一応まだ継続中とのことらしく、それゆえに統括理事の相談役としていろいろ、話を聞いたりしているのだろう。

 

 そしてその付き添いというか警護役に、今回はベナウィさんがついてきたってわけか。

 エリスさんとはお互い初対面らしい彼が、極めて優雅で紳士的な所作でもって彼女に挨拶する。

 

「お初にお目にかかります、ミス・モリガナ。S級探査者ベナウィ・コーデリアと申します。不肖の身ではありますが今回、マリアベール様の護衛役として同席いたします。よろしくお願いいたします」

「おお、これはこれはどうもご丁寧に痛み入りますハッハッハー。同じくS級探査者エリス・モリガナです、エリスとお呼びください。ダンジョンブレイカーこと"うっかりベナウィ"、お会いできて光栄ですよ。どうぞよろしく」

 

 対してエリスさんもしっかり対応し、同じく紳士的な所作を持って礼を尽くす。どこかボーイッシュなところがあるからか、ちょっと似合うんだよなこの人、こういう動き。

 しかしなんていうか……表舞台に出ることのない人にも知れ渡ってるんだな、うっかりベナウィの異名。ダンジョンそのものをぶち壊すっていうすさまじいインパクトあるエピソードが由来だし、裏社会とかにその名が轟いていても不思議じゃないのか。

 

 もっとも当のうっかりさん本人は大分恥ずかしいらしく、照れ笑いを浮かべて2mはある長身を縮こまらせてしきりに恐縮しているけれど。

 

「いやーははは。お恥ずかしいですねえ、あなたのような偉大なる先達にもその名が伝わっているとは」

「ハッハッハー、何しろ耳に入ってくる逸話が豪快で爽快ですからねえ。モンスターなんてダンジョンごと吹きとばせたらいいのにって、昔から常々思っていた身の上としましては……なかなか、胸のすく思いで聞かせてもらっていますよ」

「怖ぁ……」

 

 ダンジョンごと吹き飛んで初めてすくような胸ってなんだろう?

 一応ダンジョンを用意している側のモノとしては、なんだか申しわけなくもある話だ。たしかに探査とかせず外側から崩壊させられたのなら、オペレータ的には手間もかからず楽ちんなんだろうけどねー。

 

 ご覧の通りでエリスさんはマリーさん、ベナウィさんとお話中。一方隣では香苗さんと葵さんが神谷さん、ウィリアムズさんと話してたりするし。

 こうなると俺とヴァール、あとお偉いおじさんの3人がぽつねんと立つ感じになってしまう。じゃあ俺らも話しするのかって感じなんだけど、さすがにそろそろお開きにしないとまずそうだね。

 

 何しろここ雑談室じゃないし、県警の能力者犯罪対策課の部屋の中だし。なんなら周囲のスーツの人たち、チラチラこっち見てきてるし。

 ヴァールもそこが気になったのだろう。やれやれと吐息一つしてから、会話中の一同に声をかけた。

 

「──そろそろ本題に入りたいのだが、大丈夫か?」

 

 その声に全員、彼女のほうを向く。別段怒ったり叱ったりというわけではない、ただの呼びかけ一つで個性派揃いの集団をまとめるのは、さすが統括理事なだけはある。

 俺もヴァールを見る。彼女は続けて言った。

 

「メンバーも揃ったことだし、あと二人隣の会議室で待たせてもいる。積もる話は後で花咲かせるとして、今は用向きを済ませるぞ」

「つまりは倶楽部についてのあれこれ。それとこないだ捕まえた翠川に関しての話だな、ヴァール」

「そうだ。それなりに得られた情報があったぞ、山形公平」

 

 告げられた言葉に一同、ピンと緊張感を張り詰めさせる。押しも押されもせぬ実力派探査者達の気配の変わりように、周囲の刑事さんたちも目を剥いて見てくるほどだ。

 プロフェッショナルとしての姿を垣間見せる俺達はそして、ヴァールに先導される形で奥の部屋へと移動していった。




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