攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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親戚づきあいってなんであんなに面倒なんだろうね(白目)

 御堂家の皆さん、そしてマリーさん達探査者仲間の皆さんをも交えての談笑もひとしきり落ち着いた頃。

 かれこれ1時間は話していたかな……博さんが時計を確認して、香苗さんと光さんに切り出した。

 

「香苗、光。そろそろ親族に挨拶してきなさい。私達は後ほど行くから、まずは子供達からだ」

「分かりました……」

「はい……」

 

 さすがにご本家の長女長男として、親戚の人達に挨拶はしなければならない様子。どこか気乗りしない、というかハッキリと嫌がってるオーラを出しながら答えるご姉弟は、明らかに親戚づきあいというものを厭うているね。

 そこに才蔵さんが、呆れ半分楽しさ半分といった様子で孫達へ話しかける。

 

「二人揃って親父ソックリじゃのう! 親戚づきあいっちゅうモンを極端に嫌がりおるわい」

「うん? 将太先輩が……?」

「マリアベールは盆だの正月だのには家にこんかったからなあ。親父は外面はいいし実際、いい家庭人でもあったがただ一点、親戚とのつきあいだけは露骨に嫌がっとったよ」

「へえ……? あの、誰にでも優しかった先輩がねえ?」

 

 どうもご自身のお父さん、つまりは香苗さんの曽祖父であるところの御堂家初代・御堂将太さんの姿を想起していたらしい。嫌だったんだな、親戚づきあい。

 それに対して将太さんの後輩だったマリーさんが首を傾げる。彼女の前、というか親戚絡み以外ではコミュ力高めな人だったみたいだけど……意外な一面ってやつなんだろうな。

 

「親父のあまりの面倒くさがりっぷりに、親戚も媚びつつ内心では苛々しとったでな。次代、わしが当主になった時にゃあもう、てんやわんやよ。拗れた親戚筋もおったので、その調整とか関係修復とかな」

「お陰で父から当主を引き継いだ私は、身内についてはずいぶんと楽をさせていただいていますよ」

 

 博さんもにこやかに語る。親子揃ってこういうってことは、本当に親戚づきあいに関してはおざなりなところがあったんだな、将太さん。

 

 さておき、当主であり父でもある博さんの言葉には香苗さんも光さんも、御堂本家の者としてある程度は従うしかない。ノロノロと立ち上がり、二人とも無表情ながら超イヤです感を出しながら部屋の外へと向かう。 

 

「じゃあ御堂さんの護衛、私がしますねー」

「頼むよー葵ー」

 

 護衛にと葵さんも付き添うみたいで、続いて立ち上がり後を追った。フーロイータは持っていない──いくらなんでもあんな大掛かりな武装、持ち歩いて屋敷内をうろつけるわけがない──んだけど、彼女には自前の《雷魔導》があるからね。

 翠川を一撃で倒した雷撃があれば、護衛役は難なく務まることだろう。

 

 そして彼女達3人の去り際。香苗さんが、俺を見て言った。

 

「公平くん、どうぞごゆっくり過ごしてくださいね……挨拶が済んだらまた、会いに行きますから。伝道師として、可能な限り救世主様とともにおりますので」

「は、はあ。まあ、その、お気をつけて。どうか、ご無理をなさらず」

「ありがとうございます……ほら、行きますよ光。救世主様直々のエールでやる気も出たでしょう」

「えっ……いやそんな姉さんじゃあるまいにイエウソデス元気デマシタ僕ガンバリマス」

「怖ぁ……」

 

 俺のエールでやる気が出る仕組みも謎だけど、何より光さんの棒読みすぎる反応がひどい。明らかにめちゃくちゃ伝道された人の反応だこれ!

 思えば前にお会いした後、香苗さんが光さんに改めて伝道するとかなんとか言ってたもんな。口振りから察するに何度か伝道されてるみたいだし、こんな反応になるのも無理からぬこと、なのかもしれない。

 

 部屋から出ていく姉弟を見送ってから、じゃあ俺もそろそろ部屋に戻って荷解きさせてもらおっかな? と考える。

 博さんと栄子さん、才蔵さんに会釈して立ち上がると、エリスさんも同時に立ち上がった。

 

「屋敷内だし問題ないとは思うけど、まあ可能な限りは私が山形さんの護衛につくよ。よろしくね~、ハッハッハー」

「お願いします、エリスさん」

「マリー、ベナウィさん、そしてサウダーデさん。君らはどうする? なんならみんなで山形さんのお部屋で遊ぶかい? ボードゲームならあるけど」

「なんで護衛がそんなもん持ってんですかい、先輩……」

 

 相変わらずフリーダムなお人だ、まさかのボードゲームする気満々である。マリーさんをして呆れ返らせるんだから、ある意味すごいよねこの人。

 まあ、だからといって護衛としての任務をおざなりには決してしないだろうっていう、信頼はもちろんあるけど。

 

「おお! それは素晴らしい。では私はそちらにお邪魔して──」

「いや、エリスさん。申しわけありませんが俺とベナウィは少しばかり、話し合いがありますので」

「えっ……えっ?」

 

 エリスさんの提案に、さっきからなんか黙りっぱなしだったベナウィさんが明るい顔で食いついたものの。即座にサウダーデさんにまとめて否やを返されて、驚き顔で彼を見た。

 隣のマリーさんが困ったように笑い、ため息を吐いている。あーあやっちゃった、みたいな感じだ。

 

 弟子を一瞥して、サウダーデさんは柔らかく微笑んだ……どこか圧のある笑み。

 即座に硬直するベナウィさんに向け、そのまま彼は告げるのだった。

 

「久しぶりの再会だ、積もる話もある……最近ずいぶん楽しそうじゃないかベナウィ。動画配信やマリアベール先生からもよく聞かせてもらっているぞ? お前のうっかりエピソードの数々と、酒の飲みっぷりについてをな」

「あっ……」

「わぉ。怖いねー山形さん」

 

 これやばいやつだ、ベナウィさんが大変なことになるやつじゃん。

 怖ぁ……思わず後ずさる俺の腕に、なぜかエリスさんが抱きついてくる。いや本当になんでだよ!?




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