攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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【悲報】ダンジョン聖教過激派、クロでした【知ってた】

 倶楽部の三幹部の住所については、今のところほとんど手がかりなしに終わっているみたいだけど……とはいえ青樹さんの孤児院についてなど、バックボーンに触れることにはなったので、強ち無駄とも言い切れないのだろう。

 おまわりさん達がきな臭いと判断したあたり、その孤児院ってのも何やらありそうだけどそこはもう、今後の捜査に期待とするしかないね。

 

 それより今は制圧作戦に先駆けての、倶楽部にまつわる調査結果だ。

 エリスさんが次いで、切り出した。

 

「続いてダンジョン聖教は情報局による、件のメモリの解析についてだ。こないだのおはなし会からいくつか進捗があったみたいでね、特にスレイブモンスターについて驚くべき情報が見られたよ」

「話に聞く、人間の手によって制御下に置かれたモンスターですか。それを使ってハザードを画策しようなどと、なんということをする……」

 

 スレイブモンスターの話になり、サウダーデさんが苦々しくつぶやくのが聞こえた。

 彼からしても、人間がモンスターを操作し、あろうことかモンスターハザードを引き起こそうとしているなんてのは、まったくもって許しがたいことなのだろう。

 彼自身、あるいはそうした犯罪とも相対した経験があるのかもしれない。さっき葵さんが言っていたのを考えると、この人もおそらくは能力者犯罪捜査官ライセンス持ってるみたいだし。

 

「そのスレイブモンスターなんだけどね。製造に必要なエサってのがあるのは前から分かってたんだけど、その仔細が多少、分かってきたんだってさ」

「エサ……という名前からして何かを食わせている感じですがねえ」

「そうだね、マリー。組織内では"スレイブコア"と呼ばれている結晶体をどうやら、モンスターに食わせて制御可能に仕立てているみたいだ」

「スレイブコア……?」

 

 聞いたこともない物質の名前に、一同しばし沈黙する。

 エサってんだから、モンスターに何かしら食べさせているのはなんとなく予想がついたけど、食事とかそういうのでなく結晶体を食わせているのか。それも、まるでよく分からない謎の物体を。

 

 モンスターを操作可能にする、なんて代物がそこらの自然界にあるとも思えないし、たぶん何か元になる物質を精製加工したものが、そのスレイブコアなんだろう。

 実際、エリスさんもそんな風に考えているみたいだ。続けてコアについて語る。

 

「一体のスレイブモンスターを作るのに最低10個、多いと50個ものスレイブコアの作成が必要になる、という資料があった。そこから察するに、スレイブコアの精製自体は倶楽部内で行われていると私は見るね」

「問題は、原料が何かというところですね。別の何処か、裏組織から大量に仕入れているらしいものがあるとは以前にも、聞いていますが」

「おそらくそれを加工なりなんなりして、スレイブコアを作っているということになるね。つまりはその、他所から仕入れている何かが突き止められれば……スレイブモンスターの実状から倶楽部とやり取りしている組織まで、ほぼすべてが丸裸になると言っても過言じゃない」

 

 香苗さんの言葉にそう締めくくる。エリスさんの読みは概ね俺も同感で、つまるところ原料の正体が割れてしまえばその出処となる組織も突き止めることができ、そこから芋づる式に悪の巣窟を叩けるかもしれないのだ。

 

 一気に核心に踏み込んだ感じがある。倶楽部制圧作戦を前に、これは大した収穫だろう。

 だけどまだ、今一歩すべての真実に到達していないもどかしさもたしかにある。それらを踏まえつつ、エリスさんは言う。

 

「データ解析はまだ終わり切っていないし、残る原料の謎などについてはその未解析部分にあるかもしれない。作戦開始までに間に合うかは微妙だけれどね……少なくとも我々がやつらの企みに対して、チェックメイト寸前まで到達しているのは間違いない。この辺については今後、神谷くん達からの続報を待とう」

「そうですね。少なくとも作戦時、やることはどうあれ変わらないわけですし」

「そうそう。ああちなみに、直接関係はないんだけどダンジョン聖教過激派に流れているスレイブモンスターの仔細なんかも解析データにあったそうだよ。現在の過激派リーダーである、先代聖女のアンドヴァリくんとの密接な関係も示唆されていたようで、神谷くんてば泣いたり怒ったり忙しそうだったよ。大変だねーハッハッハー」

「えぇ……?」

 

 余談程度に、みたいなノリで軽く笑い飛ばしてるけど、それはかなりの重大事なのではないだろうか。怖ぁ……

 たしか先代聖女のアンドヴァリさんってば、なんか召喚系スキルを用いて神本体を降臨させようっていう無茶な野望を展開している人じゃなかったっけ。

 

 先代とはいえダンジョン聖教の象徴が、倶楽部なんかと関わってスレイブモンスターまで仕入れているんだ。これってとんでもないスキャンダルだよなあ。

 次から次に各方面に飛び火している、倶楽部という組織の罪深さがよく分かる話だよ、本当。

 

「まっ! ダンジョン聖教のことはダンジョン聖教の子達に任せるとして。さてここからはいよいよ本題、倶楽部制圧作戦についての段取り、打ち合わせを始めるとしようか」

 

 両手を叩いて鳴らし、エリスさんがニヤリと笑う。

 三幹部についてと、スレイブモンスターについての報告を経て、いよいよ来る8月7日、倶楽部もの全面対決に向けての打ち合わせが行われようとしていた。




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