攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

704 / 2045
現世に精霊知能を複数体放てッ

 思わぬ提案。だけどまあ、正直ある程度こういう話は来るだろうなって気はしていた。

 さすがに全日この部屋に引き篭って過ごすのはキツイし。となると外に出るわけで、当然親戚筋の方々とも鉢合わせることもあるだろうし。

 

「親戚の人達も、一緒にですか?」

「はい。数日お泊りになられる山形様はじめ、日頃より香苗お嬢様と親しくしてくださっている皆様を、分家の方々にもご紹介したいと仰せでございます」

「そ、そうですか」

 

 とはいえまさかお昼ごはんの時間を使って大々的に、ご紹介に預かるなんて展開まではちょっと読めなかったなあ。

 博さんに栄子さん、それに才蔵さんもか。ずいぶん買ってくださっているみたいで恐縮やら光栄やらだね。

 

 さて。だったらせっかくだと、この機会を逆に考える俺。

 ここで分家の方々に、数日とはいえ俺がこの家に泊まり込みしてますよと知っておいてもらうのは割と良策のように思える。

 最初の時点から皆さんにお見知り置きをいただいたほうが、トータルで考えたら地味で平穏なパンピーライフ山形を堪能できるのではないだろうか?

 

 そんな作戦を頭の中でとっさに組み立てながらも、俺は女中さんに加えて、探査者のみんなへと投げかける。

 

「ええと、俺は構いませんけど……どうです? みなさんは」

「もうお昼かえ。それなら私は問題ないよ」

「せっかくのご厚意、となれば御相伴に預かるのは礼儀というもの」

「お酒……は出ませんよね、ハイ。自重しますよ、ええ」

「えぇ……?」

 

 マリーさん、サウダーデさんはさすがというべきか、こういう場面でもそつなく対応するよね。にこやかに笑って頷く姿は、子供の目からもとても頼もしいものに見える。

 対してうん、ベナウィさんのいつも通りっぷりはいろんな意味ですごい。人様の家の、見たこともない親戚の皆さんとの会食の席で真っ先に気にすることがお酒って相変わらずすぎるよ。

 隣でサウダーデさんがやれやれ、と苦笑している。弟子のこういうところを、これまで何度となく見てきたんだろうな、この人も。

 

「ハッハッハー、こんな豪華なお家のお昼時だ、きっといいもの食べられるぞー」

「はっはっはー! 一部の親戚の方がちょっとアレかもですけど、まあこの面子に何かしてくるのは考えにくいですよね」

「変なのもいますが、なるべくスルーするのが吉ですよ……毎年受け流している私からの、せめてものアドバイスです」

「君の一族は深夜に飲み屋街を徘徊する酔っ払いさん達の巣窟か何かかな?」

「似たようなものですね」

 

 一方、ご馳走を期待して笑うエリスさんには葵さんと香苗さんがあれこれ意味深なことをつぶやいている。

 さっき親戚さん達に挨拶しに行っていた二人だけど、よっぽどなやり取りがあったんだろうか? いつものことと割り切っている香苗さんはともかくとして、初見の葵さんが何やら苦笑いしてるのが気になるね。

 

 香苗さんひいては御堂本家と仲良しさんになりたいってことで、過剰に振る舞う方が多いんだろうか。

 となるとその香苗さんがやたら崇めてきているどこぞの救世主くんなんて、友好的にしろ敵対的にしろ、極端な対応を取られてしまう可能性だって少なくないよねこれ、怖ぁ……

 

 とはいえみんな、すっかり参加のほうに傾いているし。

 先にも言った通り、俺としても早めに面通しだけでも済ませたいなと考えているから、ここは素直に頷くとする。

 

「え、えーと分かりました。というわけなのでぜひ、こちらとしましても御相伴に預からせていただければと思います」

「ありがとうございます。それではお部屋にご案内いたします」

「あ、はい。それじゃあ行きましょう、みなさん」

 

 俺の声に、一同立ち上がって準備を始める。と言ってもみんな着の身着のまま、特に何かを持参するってわけでもないんだけどね。

 スマホに財布、あと貴重品って意味で最近買ったワイヤレスイヤホンをポケットに入れて、俺も準備完了だ。地味にお腹も空いてるし、純粋にご飯が気になってきた。

 エリスさんじゃないけど豪華な料理とかでるかもなあ。へへへ。

 

 女中さんに率いられて探査者一同、並んで歩く。老若男女、歳はエリスさんの96歳から俺の15歳まで、身長も上はベナウィさんの2mから下はエリスさんの150cm強までとバリエーションに富んだ一団だ。

 しかもこの中の半数以上が元も含めてS級探査者ばかりってんだから、俺ちゃんってばすごい経験させてもらってるよなあ。世界最高峰の人達だらけなんだもの。

 

 しみじみ頷いていると、香苗さんが俺の側に近づいてきた。

 何やら耳元で囁いてくる。

 

「それで公平くん、先程の称号とは、一体?」

「あ、ああー……」

 

 また気にしてたのか……まあ気になるよな、この人からすると。

 先程、新たに更新された俺の称号。ワールドプロセッサが精霊知能を現世に投入するという、極めて稀な事態に発展したことを告げる、ある種の宣言めいた内容だ。

 

 事情を知る香苗さんには話しても構わない、というか青樹さん絡みで立派な当事者の一人である以上、教えておいたほうがいいかもしれないな。

 そう思って歩きがてら、俺は簡単にだが説明した。

 

「かくかくしかじかがりれおがりれい。というわけでして」

「精霊知能の現世投入……! つまりは救世主様に仕える使徒達が大量に現れるということですか!」

「えぇ……?」

 

 その発想はなかったなあ……香苗さんにかかればあいつらも使徒扱いなのかあ。

 なんとなく、ヌツェンやシャーリヒッタあたりをこの伝道師と会わせてみたい気もしてきた。変な化学反応が起こりそうだよねー。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

【ご報告】
「攻略!大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」2巻、発売中です!
書籍、電子書籍ともによろしくお願いいたしますー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。