攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ジョインジョインS級探査者ァ

 これまでに俺がしてきた因果操作について、釘を差しに来たという織田。

 俺の正体にせよシステム領域にせよ、その辺のことを神々さえ把握していないがゆえのこの行動だろう。俺は内心、まあこんなもんかも冷徹な思考を巡らせていた。

 

 邪悪なる思念の侵攻さえなければ、システム領域のモノたちが意思を宿すなんてことはありはしなかった。

 そうであればこの世の知性体のトップは事実上概念存在であり、つまるところ彼らはシステム領域の存在をカムフラージュするための隠れ蓑なところもあったりしたのだ。

 

 このことについては彼ら自身もほんのごく一部を除いては知らないことであり……今なお、概念存在のとりわけ神々こそがこの世のすべてを司っていると、誤認しているらしいことが今のやり取りで推測できたわけだね。

 

「あなたが何者か、そこには大いに我々も興味と関心を持っています……ソフィア・チェーホワに対してと同様にね」

「ソフィアさんにも、か。まああの人こそ正体不明の最先鋒だしな」

「探査者という存在、スキルや称号、ステータス。我々にも感知できないまま現世に現れた、それらシステムをどこからか持ち込んだのがあの女ではないか。我々はそう見ています」

「ふむ?」

 

 惜しいような惜しくないような、微妙なラインの考察だなあ。

 

 お察しの通りオペレータの各要素とソフィア・チェーホワは繋がっている。

 そもそもオペレータの前身たるアドミニストレータだったのが彼女だし、彼女の凄惨な死をもってワールドプロセッサがオペレータ計画を動かすことになった。そういう意味では、持ち込んだというのもあながち間違いでもないだろう。

 

 ただまあ、ステータスシステム自体は彼女ではなくシステム領域によるもの。もっと辿れば元凶たる邪悪なる思念と、その犠牲となった4つの異世界に端を発しているからね。

 仮にソフィア・チェーホワがおらずとも、遅かれ早かれオペレータ計画は発動していただろう……その先にある本命の、アドミニストレータ計画まで含めてな。

 

 だからそういう点で、彼女を根本原因みたく扱うのはちょっとズレてるんだよなあ。

 惜しい! とは思うものの口には出さない。勝手に誤解して勘違いしていてくれるのならば、それに越したことはないからだ。

 

「我々の預かり知らぬ領域から来たりて、現世を好き放題に染め上げ。あまつさえあなたに至ってはこの世の理、因果でさえも限定的にではあるが、改変してしまっている」

「それで神々が、いや概念存在全体が怒っている、と? 倶楽部に関与しているのは神々でないにしろ、そういう連中ってことかな?」

「……あくまでごく一部ですよ、あなた方に対して抗するつもりでいるのは」

 

 織田が来て、警告してきたということはつまり、概念存在達が明確に敵対なり警戒なりの姿勢を示してきたことになるのだろうか?

 試しがてらに問いかけてみた部分なのだが、ここについては意外というか、彼は苦笑いして否やを示した。

 

 プライドの高い連中ばかりなんだし、神とか悪魔の垣根すら超えてこちらを敵視してくるまであり得ると、思っていたんだけれど。

 意外に思っていると、力ない説明がされ始める。

 

「はっきり言って、概念領域と現世のパワーバランスは崩壊寸前なのですよ……現世で言うA級探査者クラスから上は、明確に概念領域における上位クラスにも匹敵している」

「…………え? あれ、概念存在ってそんな程度だったっけ」

「スキルや称号、あとレベルですか。これらによる現世のパワーアップが凄まじすぎたんですよ。はっきり言いますが私の本体でさえ、権能を除いた戦闘力という意味ではおそらく、マリアベール・フランソワやクリストフ・カザマ・シルヴァ、ベナウィ・コーデリアに勝てません」

 

 いや、そちらさんの正体とか言われても心当たりないからピンとこないんだけど──と、言いたくなるのをぐっと堪える。こいつ、今の口振りだと相当高い神格だな。

 下手すると最高神級か。下っ端を寄越せばいいものを、何を単身でやってきてるんだか。

 

 呆れる内心はともかく、つまりは探査者が強すぎて概念存在も手出ししにくくなっているわけか。ちょっと予想外だな、これは。

 俺的にはまだまだ、最高神級ともなればS級探査者以上の力はあるものと予想してたんだが。探査者が強くなりすぎたのか、はたまた想定より概念存在が弱かったのか。両方の線もある。

 権能という正真正銘のチートがある分、実際はもう少し変動するだろうけれど、単純戦闘力では現世のほうが上回ってるって状況になっちゃってるわけか。

 

「それを踏まえて山形公平。この世のあらゆる探査者をも超える戦闘力を持つあなたに対して、我々神々は……恭順も屈従もできはしませんが、なるべく協調たる姿勢で臨むべしという方向で意見が統一されています」

「ええと、それって……つまり、山形くんが強すぎてどうにもできない。子分になりたくないけど敵にもしたくないから、ちょっと距離感のある友人くらいの関係でいたい、ってことですか、神様?」

「…………まあ、身も蓋もない話ですがそうなりますよ、探査者の方」

 

 話を聞いて、すっかり萎縮気味な葵さんが手を挙げて質問した。ざっくりよくできた意訳だけど、織田からすれば身も蓋もないだろう要約だ。

 要するに神々は日和ったといえば日和った形になるんだろう。分からなくもないというか、上手いこと立ち回りに来たな、という印象だ。

 こちらとしても変に対立したくはないし、かといって過度に媚びへつらわれたくもないから助かる話ではあるよね。




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本日からしばらく昼12時にも更新します、よろしくお願いしますー
ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー
並行して連載中のニューワールド・ブリゲイドもよろしくね!

【ご報告】
「攻略!大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」2巻、発売中です!
書籍、電子書籍ともによろしくお願いいたしますー
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