攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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嘘を嘘と見抜ける人でないとインターネッツを使うのは難しいらしい

 少年少女達としばしのお喋り。最初は一声でも発したら怖い大人が出てきてオウワレナメトンカイワレなどと威圧の呪文をかけられてしまうのではと杞憂したりしていたけれどまあ人懐っこいのなんのって。

 すっかり俺の両隣にみんな座って、子供らしい活発さで口を回している。

 

「お兄さん光るんでしょ!? あれどうやるの、やっぱスキル!?」

「いやー、あれはどっちかというと称号の力なんだけど……みんなは知ってるの、称号って」

「な、なんかあの、剣士とかそういうのですよね? 知り合いのお姉さんに探査者さんがいて、自分は《剣士》だーって言ってました」

「そうだね、その称号だね。探査者の誰もが持ってるその称号にも、不思議な力が宿ってるんだよ。俺の場合は光る力でそのお姉さんの場合は、そうだな……剣を持つと強くなる力があるんだ」

「そうなんですか……」

 

 少年少女達に分かりやすいよう、称号について説明する。スキルと似たようなものなんだけど、扱いは明確に違うからややこしいんだよな称号って。

 《剣士》だって、厳密に言えば効果は"剣を使った攻撃の威力に補正"ってな内容だし。平易な言い方をするとズバリ、剣を持つと強くなれるよ! というだけのものだったりするんだけど、スキル《剣術》とごっちゃになる人がそこそこいるみたいなのだ。

 

 スキル《剣術》は武器の習熟速度アップが主な効果で、威力等への補正はあんまりなかったりするんだよね。

 強いて言えば上達速度が上がることで剣技そのものの扱いが上手になって、各人ごとの技を編み出したりすることで結果的に威力上昇が見込める、というのはあるけど……

 称号《剣士》みたく、これがあるだけで剣を使うと威力ボーナス! みたいなザックリ効果ではなかったりする。

 

 なんでこんな仕様なのかっていうと、称号ってのが基本、普通の探査者ならば早々変わらないものだっていうのと、スキルのほうが派生したり変化したりすることもたまにあるからってのが大きい。

 つまりはスキルのほうが発展性や拡張性があったりするため、長期的な成長を視野に入れた効果になりがちなのだ。《剣術》だって習熟速度を早めていけば、その分《居合》や《フェンシング》などへの変化や《剣舞》や《武器術マスタリー》などの派生、あるいは統合スキルの材料の一つになってくれるわけだからね。

 

 とまあつらつら述べたがこんなこと、この子達に話したとて理解されるはずがない。こいつ知識自慢する時だけ早口になるよなって思われて俺が撃沈するだけだ。

 なので当たり障りなく、今度は俺から子供達へと質問を投げかけた。

 

「君達は、さっき分家の人だって言ってたけど……いつもこういう夏休みの時とかだけ、こうして集まるのかい?」

「んー、どうだっけ? お盆とお正月は会うけど」

「住んでるところが違うもんね、そもそも。私はこの近くに住んでるけど」

「俺九州〜」

「私北海道〜」

「アイアムフロムステイツ〜」

「……外国住まいも!?」

 

 なんてこったグローバル。御堂分家の中にはユナイテッドステイツすなわち、アメリカにまでお住まいのご家族様もいらっしゃるのか。

 そんな方々に散っている一族が、この時ばかりは全員集合なわけだ。すごいなあ……改めて御堂本家の力を感じる。

 

 この子達も本家の権威、みたいなのは幼いながらも察しているようだった。心なし小声で俺に向け、おもむろに問いかけてきたのだ。

 

「兄ちゃんさ、氷姫様と付き合ってんの?」

「なんか、女の人たくさん連れてますよね? え、誰が本命なんです?」

「えぇ……?」

 

 とてつもなくませたことを聞かれた。香苗さんとの付き合いはともかく本命は誰? はないだろ。

 見れば少年少女達の目がキラキラしている。純粋無垢な眼差しだけど、聞いてる内容は完全にゴシップである。怖ぁ……

 

 いわゆる恋バナってのは、子供であっても面白いものであるのか? この子らと同じくらいの頃からすでにボッチだったから、俺にはいまいち分かりかねる。

 ただ、これについては誤解だからね。にっこり笑って、俺は彼ら彼女らへと否定した。

 

「俺は誰とも付き合ってないよ。香苗さんや他の人達とも、探査者の仲間で友達だよ」

「えー、うっそだあ!」

「姫様かわいそー」

「待って? なんでそんな反応?」

 

 事実を口にしたらこの有様だよ。本当に誰とつき合ってるわけでないのに、それを言ったらなぜか子供達にドン引きされてしまった。

 なぜだ!? ていうかそこまで言うことなくない!?

 

「あ、あの……マジだからね? 俺は彼女なんていたことないし、今も誰かと交際している事実はございませんし」

「え、でもハーレム? 救世主って話があったりしますけど」

「ネットででしょ? 駄目だよー鵜呑みにしちゃ。正しいこともたくさん書いてあるけど、同じくらい間違ったこともたくさん書かれてあるんだから」

「は、はい……?」

 

 戸惑う少女にネットの怖さを語る。ハーレム救世主なんて本当、ネットで俺をよく思わない人達はよくそう言うけどまったくの事実無根だからね。

 そんな酒池肉林を開催できる俺だったら、とっくに彼女くらいできてるはずだし。俺の来歴と現状そのものがハーレム説を否定してくれるのだ。

 言ってて悲しくなってきた。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

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書籍、電子書籍ともによろしくお願いいたしますー
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