攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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現場仕事もこなせるタイプの敏腕社長秘書

 精霊知能召喚スキル《風よ、はるかなる大地に吼えよ/PROTO CALLING》にて精霊知能シャーリヒッタを呼び出し、俺と共同で倶楽部幹部に対抗すべしと称号で示してきたワールドプロセッサ。

 その旨、ヴァールはじめ今ここにいる一同に伝える。彼女以外はシャーリヒッタについて、以前に少しだけ説明したもののやはりイマイチピンとは来ていないようだ。

 簡単に説明しておこうかな。

 

「シャーリヒッタは精霊知能の中でも最古参──それこそワールドプロセッサやコマンドプロンプトの次くらいに発生した、ある意味特別な位置づけの存在ですね」

「ワールドプロセッサ、コマンドプロンプト、か。ここ数日でヴァールさんや先生からあらましの説明を受けはしたが、まさか公平殿が創造主のようなモノとは。この年になって、世界観が変わってしまったよ」

「お手数おかけしています、サウダーデさん」

 

 サウダーデさんもエリスさんや葵さん同様、俺やシステム側についての説明を受けたみたいだ。泰然と構えつつも、感嘆している姿はしかして揺るぎない。

 衝撃的な真実ではあったんだろうけれど、それはそれとしてサウダーデさんはサウダーデさんということだ。エリスさんやマリーさん、ベナウィさんもだけど、何十年と生きる中で確固たる価値観を築き上げた方々はこういう時、まるで動じることがないからすごく強い人たちだなって思うよ。

 

 ともかくこうなれば、この場には事情を知る方々しかいない。

 これなら説明もスムーズにできるってなもんだよと、俺は言葉を続けた。

 

「シャーリヒッタの担当はトラブルシューティング──システムに混乱が生じた際、原因となったファクターを取り除く役割を担っています。その都合上、普段はワールドプロセッサのサポート役でもありますね」

「サポート?」

「邪悪なる思念によって、この世界はシステムそのものに重大なエラーを抱えることになりましたから……トラブルシューティングプログラムとしては、事態の収拾にあたっていたワールドプロセッサの補佐を務めることが一番の役割だと判断したんですよ」

 

 俺にとってのリーベ、ソフィアさんにとってのヴァール。それがワールドプロセッサにとってのシャーリヒッタと言えるだろうな。

 ワールドプロセッサのパートナーは本来コマンドプロンプトなわけだけど、生まれてすぐに独自行動をとっていたためにその枠が丸々空いていたのだ。そのためにあの子が代役を務めてくれていた、と言っていいかもしれない。

 

「本来はもっと直接的に、現世や概念領域での危険分子を取り除くといった現場仕事担当だった子ですが、そういった事情からこの500年ひたすら裏方の管理業務です。そういう意味では今回が初仕事、と言えるかもしれませんね」

「500年生きてからの初仕事かい……まあ人智及ばぬ存在だ、なんなりと問題なくこなすんだろうけど。こないだちょろっと溢してたけど、そのシャーリヒッタとやらにも権能ってのがあるんだろう? 公平ちゃん」

「ええ。リミッター付きですが、たしかにありますね」

 

 こないだのちょっとした解説を覚えていてくださったマリーさんの、言葉に応える。

 シャーリヒッタはその役割から、本来持つ権能が段階承認制の形で制限されている。対応するトラブルの原因となったファクターの危険度に併せ、権能の範囲や強さにリミッターがかかるのだ。

 

 仮にいついかなる時でもフルパワーだと、あいつ自身がトラブルを生み出しかねない。

 完全解放されたシャーリヒッタの権能は精霊知能の枠を超え、ワールドプロセッサやコマンドプロンプトにまでとはいかないもののかなり近しいところにまでたどり着くほどだからね。

 

 そんなだから段階を踏んでの承認制という形で、あの子が発揮できる権能の範囲が変わるようになっているのだ。

 承認者は無論ワールドプロセッサと俺。代理ではあるものの、あの子自身にはその権限はない。まあ当然か。

 

「今回、あの子には第三種異分子処断権限が認可されたみたいです。これは現世でシステムエラーの可能性が認められた場合において許可されるもので、内容はこないだも言った通り、トラブルの原因となったモノに対しての一切の権限掌握。行動や状態を操作できますし、ステータスの剥奪さえ容易に行える段階です」

「第三種、ということは現世の存在に対してのみか。つまり火野のバグスキルをあなたに代わって対処するよう、ワールドプロセッサが取り計らったわけだな」

「俺に概念存在の相手を任せるとか言ってるしな、あいつ。向こうは俺が受け持つからその分、火野の相手はシャーリヒッタに任せたいみたいだ」

「単純に手数が増えるのだから、願ってもない話だよ」

 

 肩をすくめて笑うヴァール。事実上、火野に対しての絶対的なカードがここに来て手札に来たのだ。どこか勝利を確信している様子なのは、やはり彼女も精霊知能であり、シャーリヒッタについて知っているからだろう。

 発生時期的に言ってもリーベやヴァールの同期にあたる存在だし、立場的にもいわば社長秘書みたいなもんで上役に近いからな。面識も当然あるだろうし、安心感も抱くよなあ。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

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書籍、電子書籍ともによろしくお願いいたしますー
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