攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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孫が一年見ない間に異次元の方向にワープ進化していた件について

 リビングに向かうと、両親はすでに起きていて朝のニュースを見ながら家事をしていた。今日はふたりとも休みとか言ってたな。

 優子ちゃんとリーベはまだ寝てるみたいだ。夏休みの朝早くだしね、しかたないね。あと昨日、なんだかんだと夜遅くまで俺も含めた3人でゲームとかしてたし、夜更かししてたものな。

 

「はよざーす」

「おはよ公平。朝ごはんできてるわよ」

「ざーす」

 

 ありがとうございます、を体育会系チックに縮めた挨拶を交わして、俺はとりあえず先に洗面所に向かっていった。顔を洗わないと、いまいち意識が寝ぼけたままだ。

 冷たい水で顔をパシャパシャと叩く。そうしてタオルで拭けば、まあまあ寝癖はついてるけどシャッキリした顔の山形くんが鏡に映る。

 ブラシで一応頭を整えて、まあこんなもんかな。再びリビングに戻ってさあ、朝ごはんだ。一日が始まる。

 

「いっただっきまーっす」

「公平、今日は何か予定があるのか?」

「んー? まあ、一応はちょっとだけー」

 

 白飯に、卵焼きとサラダとウインナー。いつもどおりのラインナップが食欲を唆る。

 いただきますして早速、まずはサラダを食べ始めた矢先。テーブルに着いて新聞を読む父ちゃんが不意にそんなことを聞いてきたもんだから、俺は咀嚼していたきゅうりを飲み込んでから答えた。

 

「昨日の一件とか、これまでのこととかこれからについて、みんなでまた話し合わないといけないから。午前中はまた、全探組に行く感じかな~」

「ってことは午後は暇か。いやほら、明日から盆で親元に帰るだろ? いろいろ大変だったみたいだし、今日くらいは家でのんびりしたらどうだと思ってな」

「あー……そうだね。実は俺も、今日は用を済ませたらさっさと帰ってきて遊ぼうかなって思ってたりしてた」

 

 明日、8月12日から15日までの4日間。お盆休みということもあり、我らが山形家は同じ県の湖西にある親元に帰省するのだ。

 香苗さん家で見かけた分家さん達の立場に、今度は俺がなるわけだね。

 

 まあ、別に名だたる名家ってわけでもないんだけれど、一応他の親戚も毎年集まったりしている。

 だからうちの家も、さすがに顔見せくらいはしないとなーって感じなわけだ。そんなに堅苦しい話でもない。

 

「今年は特に、じいちゃんもばあちゃんもお前に会いたいって騒いでてなぁ。絶対に帰省しろってまーうるさくてうるさくて」

「あー、俺が探査者になったから」

「なっただけならまだしも、例の全国デビューにシャイニング救世主だからな。こっちでフォローはしたから今は落ち着いてるけど、めちゃくちゃ不安がってたぞ」

「う……」

 

 どうしよう、ぐうの音も出ない。じいちゃんばあちゃんからすれば、今年春からの俺の話題なんて意味不明極まりないものだろう。

 探査者になったまではいいとして、例のシャイニング山形インタビューやら某伝道師によるネット上での伝道活動。GWのドラゴン騒ぎでもそこそこ話題になっちゃったみたいだし、何より今回の倶楽部の件でまーた全国デビューしちゃったもの。

 気にならないわけがないよね。

 

 ちなみに、怖いながらも確認しないわけにもいかんかなーってなって一応、ネットの各種サイトやSNSでシャイニング山形については昨日、調べてみたりした。

 いわゆるエゴサってやつだけど──案の定というべきかな、一部界隈で祭り状態になったり炎上状態になったりしていた。そうだね、救世の光界隈だね。

 

 まったくそのつもりはないんだけど出る杭になってしまったことから、持て囃す人達はとことん持て囃すし腐す人はとことん腐す。なんで一探査者を巡ってここまで騒ぐのか、俺もリーベも若干理解に苦しんだほどだ。

 まあ幸いというか嬉しい話で、基本的には俺のことを認めてくれる声のほうがたくさんあったように思う。批判的な意見についても目にはしたけど、俺にどうしろというのだって感じのどうにもならない文句ばかりなので気にしてもいられない。

 

 そもそも賛否分かれようが俺のやることは変わらないからね。探査者としてアドミニストレータとして、そしてコマンドプロンプトとして俺はただ、新たな時代とそこに生きる者達に寄り添うだけだ。

 とまあ、そんな感じで脚光を浴びる孫について、祖父母の立場からすると気が気でないところが大きいのだろう。気を揉ませてしまったことに、申しわけなさを覚える。

 

 これは一度、直接会って全然無事だよってアピールしないとな。内面こそいろいろ、変わっちゃったところはあるけれど……

 父ちゃん母ちゃんの息子であるのと同じで、じいちゃんばあちゃんの孫であることには変わりないんだから。そこはしっかりと伝えたいなって思う。

 

「ちなみに母ちゃんのほうの親元はむしろあっけらかんと笑ってた。さすがうちの孫だ、なんかよく知らんけど別嬪さん侍らせてスケベなやつだなガッハッハって」

「誤解ですけど!? 侍らせてなんていませんけど!!」

「当然リーベちゃんも盆、正月の帰省には連れて行くからお前に逃げ場はないのを伝えておこう。精々からかわれるがいいハーレム救世主、フハハハハハ!」

「怖ぁ……」

 

 母ちゃんのほうのじいちゃんばあちゃん、そっちはそっちで誤解がすさまじくありませんかね!?

 正月の帰省が怖くなってきた。えぇ……なんで身内からハーレム救世主扱いされてるの怖ぁ……




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