攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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連休は初日がピーク

 待ちに待ったりゴールデンウィーク!

 なんと今年は土日と祝日が被ることなく、しかも、合間合間の平日も学校側の意向により休みということで、なんと10日連続休みというサイッコーにハイなGWなのだ!

 

「まー、その内の4日はお仕事で隣の県なんだけどねー」

 

 中々ぐーたら生活とはいかない。俺はせっせと荷造りしつつ、GWをどう使うかの計画を立てていた。

 今現在は学校帰りの夜、自室。明日から10連休という、ある意味一番テンションアゲアゲなタイミングだ。たぶんここから一日一日が過ぎるにつれ、俺のテンションは下がっていくことだろう。

 今のうちに盛大にはしゃがなくちゃ……!

 

「えーと、まず徹夜でゲームして。ネット小説読んで。動画に、映画にと」

『なんて娯楽漬けの生活ですか……というか徹夜は体に毒ですよー?』

「良いんだよ。何しろ無駄に身体能力だけは人間離れしてるからな、楽しいことしてるなら徹夜くらいは何のそのってもんだ」

『もう! ……でも、そのくらいが年頃らしいんでしょうね。ふふ』

 

 やれやれ感出さないでくれるかな、リーベくん。まるで俺がしっかりしてない弟みたいな感じだけど、俺からすればしっかりしてない妹はむしろ君だよ?

 言い返しながらリュックに服を詰め込む。はっきり言えばこんなもん、泊りがけ分の着物さえ入れとけばどうにでもなるんだ。別に山奥の寺に住み込むわけじゃなし、近くにコンビニだってあるだろうし。

 

「兄ちゃん、ちょっと良いー?」

「うん? 優子?」

 

 愛しの、別にそうでもないな、妹ちゃんが部屋にやってきた。ノックしてから人の部屋に入れて偉いね。

 別段、いつもと変わることなく優子ちゃんは俺のベッドに座って、何とはなしに喋り始めた。

 

「明日さ。うちに友達が何人か来るんだけど……逢坂さんもいるんだよね」

「へえ? 仲良いんだな、結構」

「こないだ兄ちゃんに会わせた時、私キレたじゃん? それで何でか懐かれちゃって。なんか犬みたいにくっついてきてるの」

「なんで……?」

 

 さあ? と、優子ちゃんも微妙に困惑している。怖ぁ……叱られて懐くってなんか、変に闇を感じさせてつらい。

 逢坂さん、なんか悩みでもあるんだろうか? バブみの権化、望月さんを尊敬しているのもそういうところから来るのかな。

 今度それとなーく望月さんに、逢坂さんを気にかけてあげるよう言ってみても良いかもしれない。

 

「ま、まあそれはともかく。逢坂さんが来るからって、俺が何かあるの?」

「改めて失礼な態度を取ったことを謝りたいって。あと、望月さんを助けてくれたことにもありがとうを言いたいってさ。やるじゃ〜ん、泣きべそシャイニングぅ〜」

「香苗さんの動画見たな、お前!」

 

 あからさまにからかってくる妹ちゃんに、俺はあの、狂気に満ちた救世主賛美動画の影を見た。間違いなく見たんだな、あの宗教動画を……

 

「いやー、我が兄ながら伝説だよね! 同級生の子たちからも大反響! カッコいいとかー、誰かのために泣きながら戦えるって素敵ーとかー。あ、悲しみに歪んだ顔を見たいって、なんかゾクゾク震えながら言ってた子もいたよ」

「うああああ恥ずかし、いやちょっとまって最後のなになに怖い怖い怖ぁ!」

「モテモテで良いじゃん。嬉しいでしょ? モテたいって前から言ってたし」

 

 言ってたけども、モテモテだけども! こういうモテ方は想定外というか、カルト宗教の教祖的な持て囃され方は違うというか!

 そして最後のやつ誰だよ怖すぎるよ。中学生にしてその性癖の扉を開いてるのはやばいし、何ならその対象に俺が選ばれかけてるのとかもっとやばい。

 なんでこうなった……? 思わず頭を抱える俺に構わず、優子ちゃんは続けて言った。

 

「ともかくさ。そういうことだし、明日は家にいといてほしいかなって。逢坂さんがそんな気持ちでいるなら、受け止めてあげるのが筋じゃない?」

「もう済んだことなのに、律儀な子だなあ……わかった。明日は家でのんびりしてるから、逢坂さんが来たら顔を出すよ。それで良いか?」

「オッケー、ありがと兄ちゃん!」

 

 俺の快諾ににこやかな笑みを浮かべて、優子ちゃんは部屋を出ていった。にしても面倒見が良いというか、世話焼きだよなあ、うちの妹。

 竹を割ったようなさっぱりさで、義理堅く筋を通す性格なもんだからか、男女問わずに人気あるみたいなんだよな。自慢の妹ながら、兄貴としてはちょいとジェラシー。兄妹で素質に差がありすぎん? つらぁ。

 

 ともかく、明日の予定はこれで決まった。

 のんびりしてだらだらして、逢坂さんが来たら相手して終わりだ。うーむブルジョア、暇すぎて楽しい。

 荷造りもそろそろ終わったし、後もうやることなんてない。

 となればいよいよ、俺の連休は産声をあげる。

 

「よーっし、そんじゃあゲームでもしようっかなー!」

 

 浮き立つ心の赴くままに、俺はゲームソフトに手を出した。

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