攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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乗るなリーベ、戻れ!!

「じいちゃん……久しぶり。1年ぶりだね、元気してた?」

「おーおー元気だとも! お前もこれまた立派になって……! 話は聞いとるぞ、公平! 探査者になったんだってなあ。テレビでも何度か見たし!」

「まあ、一応ね。怪我しない程度にやらせてもらってるよ」

 

 一年ぶりに会う俺のじいちゃん、山形三郎。刈り上げた頭に日焼けした身体のがっしりした、ダンディというよりはワイルドめなじいちゃんだ。

 去年の盆からまるで変わらない姿になんだか、安心するものを覚えつつ挨拶を交わすと、じいちゃんは目を細めて俺の肩を軽く叩いて笑う。

 

「なんだか大人っぽくなったなあ……! 高校に入って、しかも探査者になってずいぶん頑張ってるんだってのが一目で分かる! 大したもんだ、さすがは俺の孫だ!」

「い、いやあ……そんなに変わったかなあ」

「落ち着きっぷりがすごくなってるぞ! 去年はお前、俺を見るなりじいちゃんじいちゃんーって駆けずり回ってたじゃないか!」

「そんなことしてたかな!?」

 

 孫可愛さに適当なこと言うのやめてもろて。去年はそりゃ年相応にはしゃいでた記憶もあるけど、さすがにじいちゃんを見た途端庭先を駆け回るような奇行には及んでいないはずですよ。

 相変わらずいい加減なことを言うじいちゃんに呆れるやら懐かしくてホッとするやらしていると、今度は母ちゃんが優子ちゃんとリーベを連れてじいちゃんの前にやってきた。

 

「お義父さん、ご無沙汰しています」

「おじいちゃん、ひさしぶり!」

「おお、由紀さん! 優子も元気しとったか! それと──?」

 

 母ちゃんこと義娘の山形由紀と、孫娘の優子ちゃんを見てじいちゃんの目尻がさらに下がる。一年ぶりの孫だもんな、そりゃこうもなるよ。

 そして……じいちゃんの目がリーベに向けられた。

 

 去年までいなかった子で、しかも見るからに日本人じゃない、西洋人形さながらに美しい女の子。じいちゃんからしてみれば誰これって思うのは当然だよね。

 ただ、そこはさすがに前もって連絡しておいてくれていたみたいだ、母ちゃんが。リーベとあと、その頭に乗っかってるアイを前に進ませて執り成してくれる。

 

「こちら、以前に電話でお話しておりましたリーベちゃんとアイちゃんになります」

「はじめまして、おじい様! 今年の夏から山形家で生活させていただいております、リーベと申しますー! 今年のお盆は皆様のご厚意でこちらへ寄らせていただき、大変ありがたく思っておりますー! 期間中、どうかよろしくお願いいたしますー!」

「きゅー! きゅきゅきゅ、きゅう! きゅきゅきゅきゅー!」

 

 さしものリーベも緊張気味に、じいちゃんに名乗り頭を下げている。本来なんの関係もない家の盆に参加するんだもんな、そりゃ緊張するよ。

 その辺は御堂本家にて近しい体験をしてきた俺だ、痛いほどに共感できる。でも大丈夫だリーベ、うちのじいちゃんは何しろじいちゃんだからな。

 うちの家のご多分に漏れず、賑やかなのが大好きなんだ。

 

「お……おおお!? こ、こんなめんこいべっぴんさんがアレか、公平の嫁の一人なのか!!」

「……嫁ぇ!?」

「はい、そうですー! 公平さんとはラブラブですー!!」

「リーベェ!?」

 

 まさかの方向に話が飛んだ! 何乗っかってるんだリーベ、やめろ俺の傍に来て引っ付くな腕を取るな!

 母ちゃんはどういう説明したのじいちゃんに!? 困惑と疑念のままに母ちゃんを見ると、どうしたことか母ちゃんも固まって、戸惑った様子を見せている。

 え、母ちゃんでもないのか、そんな与太話したの。

 

「いやーなんだっけか、ハーレム救世主? とやらになってるって話は本当なんだなあ! 今、巷で人気の御堂香苗ちゃんとか望月宥ちゃんとかもアレだろ、引っ掛けてるんだろ!?」

「じいちゃんー!?」

「お、お義父さん!? そんなこと一体、誰から」

「正彦」

「あんたーっ!!」

「ウワーッ!?」

 

 父ちゃんだったかー。母ちゃんが即座に我が家の大黒柱を締め上げた、是非もなし。

 相変わらずなんて余計なことばっかり言うんだ、この父上は。リーベはともかく優子ちゃんも、蔑んだ目で父ちゃんを見ている。さもありなん。

 

「あのソフィア・チェーホワさんやマリアベール・フランソワさんとさえ親しいって聞いたぞ? あの二人はじいちゃんの青春時代のアイドルみたいな人達だったんだが、まさか孫と縁ができるなんてなあ!」

「は、ははは……」

「で、公平。一体何人女の子を誑してるんだ? じいちゃんにだけほれ、言ってみ? ひ孫は何人できそうだ?」

「じ、じいちゃん……」

 

 困ったなあ、完全に俺がハーレム王国を築いてることになってるよ。

 今名の挙がった人達とそれなりに親しいのは本当なのでなおのこと反応しづらい。リーベに助けを求めようかと思ったけど、そもそもこいつからして今さっき嫁扱いされてそれに乗っかってたからなあ。

 

 どうしたもんかなぁ、と悩んでいると腕に絡みつくリーベが不意に、じいちゃんに話しかけた。

 

「んふふー! おじい様、公平さんはシャイな方ですからー。あまりお聞きしてあげないでくださいなー、んふふー!」

「お……そうだなすまんすまん! 公平は昔から照れ屋だからなあ! ワハハハハ、外野がせっついちゃいけないわなあ!」

「でも一つ言いますとー、公平さんモテモテですしー。どんどんお嫁さん増えていっちゃうかもですよー? 大家族、大家族!」

「リーベ、それ以上いけない!」

 

 助け舟を出してくれたのはいいけど変なことを追加で言うの止めろ!

 面白がって囃すリーベに、笑みが深まるじいちゃん。やらかして締め上げられている父ちゃんと締め上げてる母ちゃんに、アイを抱き上げて苦笑いをしている優子ちゃん。

 

 これは、ひどい……

 帰省早々のドタバタ劇に、大丈夫かこれ? と思っちゃう俺は悪くないと思うよ、うん。




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