攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ゲームする気も起きないくらいリアルでいろいろある実質年齢500才児

 同年代の親戚とも挨拶を交わしてお話したり、別の部屋にある仏壇に家族みんなでお供えものをしたり拝んだりしていると、そろそろ昼を迎えるということでご飯の準備が始まった。

 マジで田舎なこの近辺にもスーパーはあって、そこで調達してきた桶のお寿司がずらりとテーブルに並ぶ。そこに野菜の煮転がしとかお漬物も添えて、毎年恒例のお盆初日のお昼ってわけだね。

 

「いやー公平がまさか探査者とは! それもなんかすげー天才なんだって? 人間何が取り柄が分からんもんだなあ!」

「わははは! そーだろそーだろ、なんせ救世主らしいからな! いつの間にやらハーレムまで拵えてて、俺もビックリするやら鼻が高いやらだ!」

「おうおう、うちの隆太郎だって負けちゃいねえぞ! ゲームの中なら救世主だし、ハーレムだって拵えてるし! ガッツリエッチなやつ!!」

「えぇ……?」

「俺に飛び火するの止めろや!! 全年齢版だ全年齢版!!」

 

 だからハーレム違うって言ってるのに、父ちゃんと洋介おじさんは酒を呑みながら、すっかり出来上がった様子で息子自慢なんだかさり気なくディスってるんだかな会話を繰り広げている。

 というかリューさんへの流れ弾がすさまじい。オタクなのは昔からなので家族みんな知ってるけど、勢い余ってギャルゲーどころかエッチなやつをプレイしてる疑惑をかけられてしまった。

 即座に顔を真っ赤にして抗弁するけど、それが逆に怪しいと思われたみたいだ。春香と優子ちゃんが呆れた目でリューさんを見ていた。

 

「兄ちゃん、全年齢版ってことはつまりその、大人向けのもあるタイプのゲームってことだよね……」

「たしかリューさんもう18歳だったと思うし、問題ないっちゃないんだろうけど……あまり大っぴらにするような話でもないかなって思うかな」

「むぐっ……こ、公平! お前だってそういうゲームしてるだろ、なんかこう助けろ! 救世主だろ!?」

「仮に救世主だとしてもなんでもかんでも助けられるわけじゃないよ!? あと最近、ゲームほとんどしてないんだよね俺。ソシャゲくらいかなー」

「は? マジかよお前、あんなにゲーム好きだったのに」

 

 怖ぁ……即座に俺を巻き込んでくるじゃん。

 そもそも俺こそそういう類のゲームはしてないし。やってみたいなーとは思ってたけど、頻繁に優子ちゃんが部屋に来る環境だったから恥ずかしくて中々手が伸びなかったんだよねー。

 

 だから昔は、大人になったらやりたいなーとか考えてたんだけど。そうこうしてる間に探査者になってコマンドプロンプトに覚醒しちゃって、今はもういいかなーってなっちゃった。

 さすがに500年分の記憶や経験を上乗せしちゃうとその辺、妙に達観する部分があっちゃうんだよね。

 大ダンジョン時代を終わらせたことでなんかこう、自分自身のことについてはすべてをやり遂げきった感もあるし。加えてアルマなんていう面倒くさい脳内同居人もいたりするしでそもそもゲーム自体、そんな本腰入れてはのめり込まなくなってきた感じはある。

 

『なんだよ、僕に何か文句でも? あらゆる力を剥ぎ取られて剥き出しの魂だけにされた哀れなワールドプロセッサに、まだ鞭打ちするなんてサディストだねえコマンドプロンプト?』

 

 ほら、こんな感じで面倒くさい。

 ただまあ、おかげで賑やかで飽きることはないし、いろいろと考え方や思考、思想がズレてるから話していて大変なこともあるけど逆に、考えさせられたり教えられたりすることもある。

 こんな感じで死ぬまで、いや死んでからもこいつとは繋がって存在していくのだろう。それを考えると、奇妙な共生関係だなって改めて思うよ。

 

『……ま、僕という存在、思考があの時に終わってないだけ全然マシだ。そこは感謝しておくよ、公平。そら、話もその辺にして寿司食えよ。野菜や漬物も食べろよ、バランス悪くなるからね』

 

 オカンかよ。俺の栄養素まで気にしだしたぞこの美食家邪悪なる思念さん。

 本当に食うことには貪欲だよなーと呆れ半分感心半分で寿司にぱくつく。うん、美味しい! わさびをたっぷり乗せて醤油をつけて食べると、魚の旨味が米の甘さと醤油と絡み、それらを上回るツーンとくる辛味が口内から脳天に駆け巡る。

 

 辛い! でも美味しい!

 よく噛んで飲み込み、お茶を飲んで辛さを洗い流す。そんな俺に隣に座るリーベが、笑顔とともに話しかけてきた。

 

「お寿司、おいしーですね公平さん!」

「そうだなあリーベ。あ、野菜もちゃんと食べようか。ばあちゃんの煮っころがしは絶品だぞー」

「ふふ、故郷の味ってやつですねー。公平さんを育ててくださった方々とお知り合いになれて、なんだかとっても嬉しいですー!」

 

 屈託なく笑う、リーベが眩しい。

 我が家に来て、すっかり家族の一員になったこの子がこうして親族の集いにも問題なく参加できてるのが、なんだか嬉しくなる。

 これからはこの子や、あるいは今後やってくるっぽいシャーリヒッタも交えて山形一族ってことになるんだろう。賑やかで何よりだね。

 

「…………うわー、距離感がほぼ夫婦じゃん。由紀ちゃん、アレってそーゆーアレ?」

「んー、少なくともリーベちゃんのほうはそうでしょうねー。いろいろ事情があるみたいで、公平ってばいろんなものを背負ってるみたいだし……それを支える位置に、あの子や御堂香苗さん、望月宥さんがいてくれてるみたいよ? 幸せ者よねー」

「私でも知ってる有名人探査者じゃないの。それもとびきりの美人達。リーベちゃんも信じられないくらいかわいいし、こりゃ春香も大変だわー」

「あら……え? そーゆーアレ?」

「そーゆーアレ。ま、探査者がハーレム作るなんてのは聞かない話でもないからね、今時はさ」

 

 何やら遠くで母ちゃんと真理子さんが、ビールを呑みながらチラチラこちらを見てなんか言ってる。聞こえてるぞー。

 香苗さん、宥さん、リーベ。改めて名前が並ぶと壮絶な美女美少女達なのは間違いない。

 

 そんな人達が支えてくれてるんだから、母ちゃんの言う通りで俺ってば幸せ者だわ、本当。

 ただしハーレムについては本当に誤解だからね! マジで!




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