攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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一日目の夕食─食レポだったり女子トークだったり娘についてだったり─

 親族達との一時も過ぎて、あっという間にお夕飯の頃合いだ。居間に集まりまたテーブルの上、並べられた料理をみんなで食べる。

 今夜のご飯は野菜の天ぷらが中心で、近くの山で採れた山菜なんかも揚げられていたりする。サクサクの衣に包まれたお野菜が大変美味だね。芋の煮っころがしやポテトサラダ、味噌汁なんかもあって、非常にヘルシーな感じの食卓だ。

 

『んー、天ぷらってのは塩をつけると味わいが増すね。美味しい……カリッと香ばしい風味に歯ごたえの良さ、口の中でくどくない程度に広がる衣の味わいと野菜の甘み、旨味! これは、まさに自然の恵みと人の手がコラボレーションした、奇跡のハーモニー!』

 

 例によって人の脳内でひたすら大声をあげつつ、食レポなんかしちゃってるアルマさん。

 うちの天ぷらをそんなに褒めてくれるのは嬉しいけれど、もうちょっとだけボリュームを絞っていただけると助かるなあ。と言っても聞くようなやつじゃなし、こちらでスルーするしかないんだけどね。

 

 芋の煮っころがしを頬張る。甘辛くてホクホクの芋が咀嚼する度、解れて蕩けていくのが堪らないなあ。

 山の幸を堪能している俺。すると不意に、近くで専用のお皿に盛り付けられた各種料理を、ガツガツ食べていたアイが鳴き声を出した。

 

「きゅうー、きゅきゅきゅう」

「うん? ……おかわりか、アイ? 相変わらずよく食べてるな、偉いぞ」

「きゅう! きゅっきゅう!」

 

 見ればこの子のお皿、もうほとんど空っぽになっている。お腹減ってたのかな、相当なスピードで食べまくってたみたいだ。

 家でも割と健啖家なこの子は、親元だろうが場所を選ばず食べる時はガッツリ食べるみたいだ。好き嫌いせず食べられていい子だねと褒めると、えっへん! とばかりに胴体を起こし立ち上がり、前足を降ろし胸を張る姿が可愛らしい。

 

 ともあれ空っぽになったお皿を俺は手に取り、また料理を盛り付けていく。天ぷらに芋の煮っころがし、あとポテトサラダね。たくさん食べて大きくなるといいよ。

 

「はい、おかわりだ。よく噛んで食べなよ、アイ」

「きゅ!」

 

 そうして料理を差し出すとまた、アイは食事に没頭していく。ムシャムシャと天ぷらを食べる姿が愛らしくて軽く背中を撫でると、翼と尻尾が緩くパタパタと揺れ動いた。

 うーんかわいい。近くの親戚達もチラチラアイを見ては微笑むくらいメロメロだし、これはWSOのマスコットとして人気を博すること間違いなしだな。家族の贔屓目抜きにしても数多の人を魅了することだろう。

 

 さておき、俺はそれなりに満腹になったのでごちそうさまでした。お茶を飲んで喉を潤して周囲を見回す。

 大人達は昼にも増して酒を飲み、楽しそうに宴会している。時折聞こえてくるのがリューさんが勉強しないだの俺がずいぶん落ち着いただの子供の話ばかりなのが、まあなんていうか親世代よねって感じだ。

 

 一方で優子ちゃんはリーベや春香と話をしていて、主に日常のあれこれについてお互いの一年間を語り合ったりしてるね。

 時折女子向けのファッションや流行の話が展開されているから俺には混ざれそうもない。

 

「でねー、誕生日にそのバッグ買ってもらっちゃったの! めっちゃ可愛くてお洒落でもう、友達と遊びに行くのに何回も持ってっちゃってる!」

「いいなー! やっぱ探査者ってお金持ちなんだね、公平だけじゃなくてリーベちゃんもなんでしょ? すごいね家に二人も探査者がいるなんて!」

「えへへー! 公平さんが超スピードで昇級してる天才救世主さんですから大変ですけどー、いつかは追いついて探査者コンビを組みたいですねー!」

 

 ナチュラルに俺の話もしてくるけれどリーベちゃんや、そんな天才とか救世主とかいうのは止してくれ。

 慣れてる優子ちゃんはともかく春香にはそのノリキツイと思うよ、どこぞの伝道師とか使徒なんてとてもじゃないけどお見せできない。

 

 というか春香の言う通り、俺の家って探査者が二人もいるんだよなあ。なかなか珍しい話だよねと今さらながら自覚する。

 オペレータとしてステータスを獲得できる人間の条件って各個人によるから、遺伝まるで関係ない部分だったりするんだけど……マリーさんとアンジェさん、リンちゃんとランレイさんのように家族内で複数人、オペレータに覚醒するパターンもそれなりにあるし、確率上の偏りってのもままあるんだろうね。

 

「というか近々、もう一人増えるんだよな……」

 

 不意に今朝方、ここに来る道中の車内での会話を思い出して俺は独り言ちた。おそらく近々だけど山形家にはもう一人、オペレータになり得る存在が住み着くことになるかもしれないのだ。

 精霊知能シャーリヒッタ。俺を父と慕って止まないあの子が、受肉して俺の傍に居たがってるみたいだからね。

 

 あの子の場合、ワールドプロセッサの補佐役という使命は現在進行系で継続中なため、探査者として本格的に活動するのかってところは疑問だけれど、少なくともステータスやスキルを引っ提げてくるのは間違いない。

 そうなると最低限探査者登録はしておかないとならないので、つまりは山形家は3人も探査者を抱えることになるわけだ。

 

 6人家族のうち3人が探査者。実に半数がオペレータとは……これも半年前までは想像もできなかった話だよ。

 地味に魔境と化しつつある我が家の未来に想いを馳せて、俺は遠い目をしてお茶を啜るのだった。




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