攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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割とマジで超人だぞ!シェン・フェイリン!!

 話もそこそこのところで俺は立ち上がって、他にグループで寄り集まって飲み食いを楽しんでいる探査者さん達にも挨拶しに向かうことにした。

 今回集まってくださったのがみんな俺の友人知人ってこともあるし、一言お礼を言うのは当然の話だからね。

 

 新田さんや掛村さん、奈良さん達探査者ツアーの面々は後にして──絶賛伝道中だし。巻き込まれたくないし──、その他、楽しんでいるグループに近寄っていく。

 とりあえず直近で目に入ったのが宥さんのパーティーの面々、それに加えてリンちゃんだ。今回無念にも動画撮影の中断を余儀なくされてしまった彼女達に、俺は話しかけた。

 

「お疲れ様ですリンちゃん、みなさん」

「あっ、公平さん来てくれた! お疲れ様です!」

「山形くん! お疲れ様ですー!」

 

 ジュースを飲んでチョコ菓子を頬張るリンちゃんや、お酒を飲み交わしながら和気藹々と語らう女子大生の中に俺が一人、突撃するの割と怖かったけど……彼女達はむしろ待ち侘びていたかのように笑顔で迎え入れてくれた。

 ちょっと離れたところで正座する。この輪の中にガッツリ入ったらなんだろう、ハーレム救世主呼ばわりが加速してしまいそうな気がするし。

 

 いやまあ、さっきもリーベとヴァールに両隣挟まれて挙げ句、マリーさんアンジェさんランレイさんエリスさん葵さんと話していたわけなので言い逃れしにくくはあるんだけれど。

 あの方々は真面目に戦友だしと無理やりなセーフ理論を振りかざして内心を誤魔化していると、リンちゃんが興奮して瞳を輝かせながら俺の手を握って引き寄せてきた。

 うわーっ強引ーっ!

 

「もっと寄って! 公平さん、私の隣!」

「え、あ、う、うん」

「えへへ! 公平さんのお陰で到達できた、真道星界拳の境地! これで私、胸を張って星界拳を、シェン一族を背負って立てる!!」

「ああ、俺も見てたよ……すごい技だった。本当に、星界拳の凄さを改めて思い知ったよ」

 

 自身が放ち、偽りの神の器を破壊せしめた最終奥義。真道天覇星界拳。その威力や完成度の高さに、彼女は星界拳正統継承者としてたしかな手応えを感じているみたいだ。

 あの技はすごかった。まさか俺以外に身体能力だけでビームを放つ人がいるなんて思いもしなかったもの。

 

 世界最高の近接戦闘者であるサウダーデさんでさえ衝撃波止まりなところを、リンちゃんはなんかスキルもなしにオーラを纏い、しかもそれをぶっ放してビームの形で攻撃していた。

 割とバグに近い挙動なんだけど、システム領域的にこれ大丈夫なんだろうかって感じだ。あるいはバグスキルの形でリンちゃんに何か、スキルが渡されたりしてるのかな。

 一応確認してみる。

 

「ちなみにリンちゃん、あのビーム的な攻撃ってスキルは何か関わってたりする? たぶんあれ、いろいろ想定外の動きなんだけど」

「そうなの? 《ステータス》──うん、全然何もないよ。私、星界拳のみで真道に至った!」

「そっかあ……いやほんとすごいわ、天才としか言えないや」

「えへへ、えへへー! 私天才! えっへっへっへ!」

 

 やはり完全に身体能力オンリーでアレをぶっ放していたらしい。怖ぁ……大怪獣とも戦えちゃいそうな可憐な少女がえへへと笑う。

 しかしそうなると、俺が《あまねく命の明日のために》を会得した時とはまた、状況が違うみたいなんだなといろいろ察する。

 

 おそらく真道星界拳のビーム自体はシステム的には、仕様の範囲内ということなんだろう。

 一応だけど大ダンジョン時代が始まるはるか前から、理としては組み込まれていた技法──チャクラ、オーラ、あるいは気功と呼ばれる、体内あるいは体外の生命エネルギーを収束させて顕現させる超能力は今も存在しているはずだ。

 今回リンちゃんが獲得したのは、その辺の力なのだと思われる。

 

 つまりはれっきとした技術として存在しているものを彼女は使ったわけで。

 スキルで盛りに盛った結果想定外の山形くんビームを放ってしまった俺とは、結果として起きる事象は似ていても中身が決定的に異なるんだね。

 これにはワールドプロセッサもニッコリってところか。いやまあ、それにしたってあのビームの威力と規模はどうかしてるけど。そこは探査者としてレベルが高いがゆえに強化されたんだろうなあ。

 

「スキルも使わずにあんなことできちゃうんだ……」

「人体の神秘……さすが中国4000年の歴史ってところだね」

「フェイリンさんすごいなあ、つくづく映像がお蔵入りになったのが悔やまれるよ」

「また撮り直せばいいじゃんそこは。フェイリンさんも協力してくださるんだし」

 

 宥さんのパーティーメンバー、福島さん枚方さんに椎名さん霧島さんが口々に少女を讃える。アニメや漫画の世界みたいな話だからね、そりゃビックリもするよ。

 

 というか、またコラボ動画を取り直すみたいだね彼女達。

 今回こんなことになってしまって、もうあと半月でリンちゃんも帰国するからどうなっちゃうんだろう? ってちょっと心配していたけれど、それならもう一回撮影すればいいわけだしね。

 

 お蔵入りになった動画も、化物に遭遇するまではとても素敵な映像だった。

 間違いなく人気になるクオリティはあると思うから、なんの問題もない形で動画を撮ってもらって、今度こそ配信してもらえるといいなって思うよ。




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