攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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半年前まで同期の星が、今となっては伝道師(白目)

 いつの間にやらデュオからトリオになっていた、タカちゃんナカちゃんに続く3人目のスズちゃんこと、A級探査者鈴山さん。

 5月にお会いした時からさほど変わった印象もない、スーツ姿にクールで知的な立ち居振る舞いであれからいろいろあった俺を見、笑いかけてくる。

 

「見違えた……いや本当に。ツアーの時とはまるで別人だ、さすがにわずか3ヶ月でこれは予想していなかったよ」

 

 さしあたりその場に座ってお菓子を食べつつの話し合い。

 タカちゃんナカちゃんはお酒を呑みつつおつまみを齧り、鈴山さんはハンディタイプのウイスキーボトルをラッパ飲みする豪快なスタイルを披露している。

 

 その姿はなんとも渋い……この人、探査者としては珍しく銃を使ってのガンマンスタイルだったりととにかく渋いんだよ。

 元が異世界の産物なモンスターには効きにくい近代兵器を、モンスターの素材を使ったり工夫して使うケレン味をお持ちなんだ。

 

 そんな彼は俺の変わりっぷりに思うところがあるみたいで、どこか苦いものを滲ませた笑みを向けてきている。

 なんだろう? と思っていると、肩をすくめて言うのだった。

 

「ツアー中、ここまでの進化を短期間で遂げると分かっていたら……君に対して失礼な言動なんて絶対に取らなかったのに。今の君はまるで歴戦のS級、それこそマリーさんさながらの貫禄を放っているように見える」

「過分な評価ですよ……俺はまだまだC級の未熟者です。と言いますか、失礼な言動なんて取られてました? 俺から見ても当時のあなたは、A級に相応しい落ち着きと居住まいを備えた方に思えていますけど」

「これだよ。我ながら独り相撲を取っていた過去が恥ずかしくてたまらないね。偲んで言うが君相手に初対面時、同期の星の何か弱みにつけこんで良いようにしていると思い込んで白眼視していたんだよ──御堂ほどの探査者がああまでのめり込むだけのものを見せてほしい、なんてことまで言った覚えがある」

「…………あ、ああー」

 

 言われて思い出すGW、探査者ツアーの途中。香苗さん、マリーさん、鈴山さんとともにダンジョン探査に臨んだ際、たしかに彼からは何やら言われた記憶がある。

 そもそも香苗さんの同期ということで、彼女に対して格別の思い入れがある世代の人みたいだからね。当時すでに伝道師やってたアレな姿に絶句して、思わず俺に絡んでしまった感じだった気がする。

 

 まあ、そのあとすぐに探査でアドミニストレータとしての俺の力を見せつけて、一応ながら香苗さんが一目置くだけのことはある存在だと認めていただけたんだけど。

 思えばたしかに、本当に最初のほうだとそこまで打ち解けていなかった感じではあったね。

 

 正直、鈴山さんからしたら言って当たり前のことだろう。

 頭を掻き、なんだか居た堪れない気持ちにすらなりながら応える。

 

「いえその、当然の反応だったと納得していますよ……天才A級トップランカーが、春先に物理的に光っただけの悪目立ち小僧に執心してるなんて、同期の鈴山さんがビックリされるのも当然ですし」

「言いわけになるけど、本当に驚いたんだよ。僕の、僕ら世代の知ってる御堂香苗はあんな感じじゃなかったし。そもそも感情表現も虚ろが基本で、どことなく厭世的というか……人間不信気味な感じでさえあったんだ。それが数ヶ月見ない間にあの、アレになっていたんだ。他の同期の連中も、ネットで伝え聞く御堂の現状には唖然としているよ」

「ですよねー」

 

 香苗さん、やっぱり俺と出会うまでは正真正銘の"御堂本家の氷姫"だったんだな。いわゆる"御堂世代"とまで呼ばれた黄金世代の象徴の、かつての姿に思いを馳せる。

 ファースト・スキル《奇跡》の危険性、曽祖父から託された決戦スキルの存在。加えて青樹さんとの訣別などですっかり、感情を凍りつかせてしまっていたみたいだからね。

 

 それが俺というアドミニストレータに出会ったことで救われた心地になった結果、まさかの化学反応を起こしてオリジナルカルト宗教の伝道師へとあらぬ方向へ進化してしまったのはアレとしか言いようがないけれど。

 それはそれとして彼女の変貌ぶりに同世代の方々が驚きに染まるのも無理からぬ話だよとは思う。

 

「S級探査者認定式のある25日前後、久々に首都圏で同期が集まって祝いの席を開こうって話になっているんだ。きっとみんな驚くだろう、君にぞっこんな御堂の姿にね」

「怖ぁ……変に恨み買ったりしませんかね、俺」

「君の活躍と人脈はすでに世界規模に知れ渡ってるんだ、面と向かって何か言う馬鹿はいないだろう。それにそんなこと言えば……宴会場がワンマン伝道ショー会場に変貌してしまうだけだからね」

 

 苦笑いというか、どこか引いた笑みで鈴山さんはそう語った。

 俺も出席することになってる認定式に併せて、香苗さんの同窓会もあるのか……下手すると俺まで顔合わせとか言って連れて行かれかねないな。

 

 というかワンマン伝道ショーて。同期の星もこうなるとすっかりただの怪しい宗教指導者扱いじゃないかよ怖ぁ……




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