攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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実は作中でもかなり間の悪い形でピンチに陥っていた人達

 タカちゃんナカちゃん加えてスズちゃんのトリオと話し込んでいると、不意に後ろからチョイチョイっと肩を叩かれた。

 気配ではなんとなし分かってたけど今度は誰だろ? 伝道師と使徒は未だに向こうで句読点飛ばしてるしなーと思いつつ振り向くと、そこには見知った女の子が、あまり見覚えのない人達とともに俺を見ている。

 

 宥さんの弟子であり優子ちゃんの友人でもある、逢坂美晴さんだね。黒髪ロングのクールな中学2年の女の子で、こないだも竜虎大学の見学に一緒に行ったりしてる子だ。

 そして後ろの人達はたしか、リッチ事件の際に助け出されたパーティーだったと記憶している。逢坂さんと組んで、モンスターの亡命による挟み撃ちを食らっていた気の毒な方々だね。

 

 何やらお揃いでどうしたんだろう。高木さん達に断りを入れてから向き直ると、逢坂さんが笑顔で会釈してきた。

 

「お疲れ様です、公平さん。なんかいろいろすごいスキルを使ってましたね、あれってどんな効果なんです?」

「どうも、お疲れ逢坂さん。あれねー、ええとなんて言えばいいかな。バリアを解除するスキル、みたいなものかなー」

 

 いきなり先程のスキル《神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─》の効果を聞かれてとっさに当たり障りのない感じに答える。

 あながち間違ってはいないよな、少なくともスキルを作った目的は偽りの神の器から《玄武結界》を剥ぎ取ることなわけだし。

 ただ、そのために必要な因果の上書きというところまでカバーするべく、天地開闢結界なんて大仰極まりないものを引っ張り出してきたってだけだ。そこはもちろん言いやしないけど。

 

「バリア……? え、あのモンスターはバリア持ちだったんですか!?」

「そうそう。それで困ってたんだよ、なんせ俺やリンちゃんの攻撃がなんにも通らないし。たまたま対処できるスキルはあったけど、どういうわけだかたくさんの人が近くにいないと使えない効果だからさ」

「そんな効果のスキルがこの世にはあるんですね……奥が深いです」

 

 本当は少人数で放つと致命的なダメージを負うから、多人数を集めて負担を分散させる必要があった──なんて馬鹿正直は言わない。

 客観的に見てどう考えても意味の分からない効果だし、深く質問されるとたぶんどこかで余計なことを言っちゃいそうな気がするからね。

 

 それに、天地開闢結界のことなんて欠片でさえも知らないほうがいいしね。元は邪悪なる思念の切り札、究極にも近しい因果無効化結界なんだから。ぶっちゃけ厄ネタだよこんなの。

 厄ネタとはなんだ厄ネタとは! と脳内アルマさんが喚くのに適当に反論していると、逢坂さんはある程度は納得したのか頷き、周囲を見回して言った。

 

「それでこんなに多くの探査者が勢揃いしたんですね……いきなりチェーホワ統括理事が全探組のロビーにやってきて、シャイニング山形のスキル発動に協力してほしい、なんて言った時には何事かと思いましたよ」

「えぇ……?」

「フランソワ特別理事や御堂さん、風間さんにコーデリアさんと名だたるS級まで呼びかけてきたんで、もう一時期ロビーは騒然ですよ。ふふっ、たぶん公平さんの噂、また一段と広がっちゃいますね」

 

 からかいがちに笑う逢坂さんは面白がってるけど、俺としてはなかなかに複雑な心境だ。この人数を集めるなんてよっぽどなことをしたんだろうとは思っていたけど、全探組のロビーに居合わせた探査者全員に呼びかけていたんだな……

 それも探査者ツアーの面々がいるあたり、隣県の全探組でも同じことをしたんだろう。隣接する2つの県が合同で行ったツアーだからね、あれ。

 

 世界トップクラスの探査者達が揃って応募したんだから、そりゃ乗っかるよね。

 逢坂さんの後ろ、大学生くらいのパーティーの面々が口々、感動に頬を緩めてしみじみと語っていく。男の人はたしか、藤代さんだったかな。竜虎大学で彼のお姉さんとは面識を持ったんだ。

 

「いやあ……その場にたまたま居合わせられてよかったぜ、俺達も。すげえメンツに声かけてもらえたし、シャイニング山形のピンチにも助太刀できたしな」

「そうね! やっと少しは恩返しもできたわけだし、ちょっとは胸のつかえも取れた気分よ」

「言って私ら現地来といて突っ立って宴会に参加してるだけじゃんねー。ごめんねシャイニングさん、なんかタダ乗りしたみたいで」

「いえいえ! 助かりましたよ、本当に。ありがとうございます」

 

 ちょっとどころじゃないよ、すごく助かった。

 スキルの特性上、人数が一人増減するだけでも一人あたりの負担の割合は大きく変わるわけだし……今回のようにリスクを最小限化できたのは、紛れもなく藤代さん達のご協力も大きな要因なんだ。

 

 心からの感謝を告げると、藤代さん達も照れたように笑う。

 そして改めて、自分達について名乗り始めた。

 

「改めて名乗らせてくれ、シャイニング山形さん。俺は藤代哲也と言います。リッチの時は助けてくれてありがとうございました。お陰でこうして、生きてることができています。竜虎大学じゃ姉も世話になったみたいで、本当になんと言っていいやら」

「宮崎と言います! その節はありがとうございました、シャイニングさん!」

「石川よ、同じくあなたには助けられたわ、ありがとうございました。こんどまた、よければみんなでダンジョン探査しましょ!」

 

 他のお二人──宮崎さん、石川さんも名乗り、俺と次々握手を交わす。

 これも俺の行動の結果、紡げた絆ということなんだろう。リッチ事件の時、この人達を助け出せて本当に良かったと改めて思うよ。




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