攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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日本の若手探査者界隈はカレチャ、各地のクラン、例のカルト宗教の3つに分かれ混沌を極めていた……

「へえー、藤代さん達もカレッジサーチャーズに入って活動されてるんですね。どうなんです、大学生活って」

「いやもうサイコーだぜ! 入学して半年なんだけど、もう毎日が楽しいのなんのって! カレチャの先輩達もすげえ探査者ばっかでさ!」

 

 藤代さん、宮崎さん、石川さん、逢坂さんとナカちゃんタカちゃんスズちゃんトリオを交えてみんなで輪になって話し込む。

 改めて名乗ってきた彼らは、大学生探査者達の集い・通称カレチャことカレッジサーチャーズに所属する大学生さんとのことだった。

 

 ちなみに竜虎大学でない、うちの県の私立大学在籍とのことだったけど……カレチャは大学の垣根を超えた国内規模の組織だからね。

 藤代さんのお姉さんがいるということもあり、竜虎大学のカレチャとも交流する機会があるんだとか。すごいね、学生が自分達で独自のコミュニティネットワークを形成しているんだよ。

 心底幸せですって感じで藤代さんが笑う。

 

「俺なんて彼女もできて毎日ハッピーったらないぜ! それもこれも山形さんが助けてくれたおかげだ、本当にありがとな!」

「いえいえ、そんなそんな……にしてもカレチャ、賑やかなんですねー」

「ああ! 探査者として貴重な人脈も作れるしな! ……って、ここについては山形さんにはあんま関係ないよなあ」

「この場の面子見てれば、ねえ……シャイニングさん、まだ探査者歴半年とかよね? どーなってるのかしら……」

 

 カレチャに入ることの最大のメリットはやはり、探査者としての人脈を大いに広げられるところにあるだろう。

 こないだのイベントの際もたくさんの探査者がいたし、香苗さんやベナウィさん、リンちゃんをゲストに呼ぶだけの力があるのも確認済みだ。

 

 ただ俺の場合、そういう人脈って意味だとすでに大概だからね。WSOのお偉いさん達やS級さん達と友人になってる時点でもう、来るところまで来ちゃってる感は否めない。

 もちろん、まだ見ぬすごい探査者さんはたくさんいるから、そういう人脈を形成するのは非常に値打ちのあることだと思うんだけど……

 

 別にそんな、躍起になるほどでもないよねーって。もうやることやりきったわけだし、あとはのんびり探査でもしてスローライフできればいいよねーって。

 そんな思いもあっちゃう俺ちゃんなわけである。

 

「は、ははは……まあ、大学に進学するかもしれませんけどカレチャに入るかは微妙ですね。宥さん、ああいえ望月宥さんみたいにカレチャとは距離を起きつつ探査業やってる人もいますし、そんな感じに落ち着くかもです」

「だよなー……! いやでもどうだろ、なんかカレチャ本部の人達が山形さんと接触したい、どうにか対話の機会を設けたいって頭捻ってるって話は聞いたことあるぜ」

「え?」

「あ、それ私も聞いたことあるわね。間違いなく私達の世代の象徴であるシャイニング山形に、所属は無理でもなんらかの関係は持ちたいって考えてるとかなんとか」

「えぇ……?」

 

 怖ぁ……なんかパリピ陽キャの軍団に目をつけられてるぅ……

 勝手に世代の象徴にされてる上に、大組織に絡まれそうとか本当にただ俺が可哀想なだけじゃん。こちとら泣く子も嗤う陰キャなんですよ!?

 

 なんでそんなことになってるの、俺なんかしちゃってますか?

 困惑して震える俺に、鈴山さんは苦笑いして詳しいところを説明してくれた。

 

「そうでなくとも君達の世代、通称シャイニング世代は群雄割拠の様相を呈しているからね」

「鈴山さん……え、群雄割拠って」

「国内の各地域でカレチャの他、同世代の探査者達が集まって組織されたパーティーの集合体……クランが活動を活発にさせているんだ。あの探査者ツアーの面々もその一つだよ、新田さんや奈良くんが音頭を取って今や、関西探査者界隈の一大勢力だ」

「そ、そんなことになってるんですか。たしかになんか、あちこちで新人探査者達が頑張ってるってのは雜誌で見ましたけど」

 

 なんか俺の世代っていうか、直近5年くらいの若手探査者達がずいぶん活きが良いって話は以前、雑誌とかで読んだ覚えがある。

 なんならその記事においてさえ"シャイニングは別枠で"などとハブられていたロンリーウルフな俺だけど、探査者ツアーには参加してたんですけどと声を大にして言いたいよ。

 

 せめて探査者ツアークランの一員ってことにしてほしいんだけど、なんでこうなったんだろう……ソロで活動してるせいですね、本当にありがとうございます。

 《風さえ吹かない荒野を行くよ》の副作用を、今さら身に沁みて感じていると今度はタカちゃんさんが話す。

 

「まーヤマちゃんは別格だしなァ。なんならヤマちゃんの後ろ盾があるってんでェ、ツアークランが他のクランや地元のカレチャからも異質扱いされてるって聞いてんぜタカちゃんはァ」

「え。いやあの、後ろ盾なんてしてませんけど……」

「ツアークランだけは成立経緯が特殊だからね。ドラゴン騒動に居合わせたツアー参加者達が、死線をともにくぐり抜けたって連帯感で自然と結束した稀有な例なんだよ。あまりに特異すぎて、救世の光ともどもシャイニング山形っていうか伝道師さんが裏で糸を引いているんじゃないかとさえ噂されているんだよ。君と御堂さんもツアーに参加していたのはもう、有名な話だしね」

「怖ぁ……」

 

 いつの間にか香苗さんともども、新世代の一大勢力を陰ながら組織した食わせ者みたいに扱われてるらしいことに困惑して泣きそう。

 なんでちょっと昭和のフィクサーっぽくなってんだよ、おかしいだろ。せめて香苗さんだけだろ、少なくとも救世の光に関しては!




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