攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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博士?大臣?いえいえカルト宗教のハーレム救世主です!

 わさびがツーンと鼻に来る、でも美味しいお蕎麦を食べつつ天ぷらにもかじりつく。

 お塩をまぶした素朴な味わいが堪らない。刺身もわさびを乗せて醤油を垂らして口に入れると、鮮度のいいプリップリの肉厚さ。旨みを染み出して舌の上で踊る味わいが最高だ。

 

 

『蕎麦の食感は、種類にもよるけど癖になるねえ。天ぷらをつゆに浸して、衣を湿らせて食べるのも悪くない。サクサクなだけでなくこういう食べ方もある、いいねえ天ぷら』

 

 

 脳内のアルマも大喜びでブツブツ言っている。本当に毎回この調子で、食レポと味について語るからまあ聞いてて飽きなくはあるよね。

 

 視覚、聴覚、味覚を俺と共有してるわけなので実質、今のアルマは俺を通して世界を客観視しているに等しい。

 生の映画を見てるようなものだな……そんな中で唯一直接刺激として味わえるのが味覚だからこそ、ここまで食にのめり込んでいるのかもしれない。

 

 いやまあ、俺の知る限りではこいつ、自由に動いていた頃からあちこちで食べ歩きしてたみたいなんだけどね。異世界メシのアレさをちょくちょく口にしてたりするし。

 元から美食志向だったのが、こうなってからはさらに尖っていったって感じかな。

 

 はしゃぐ脳内に思いを馳せつつも蕎麦を啜る。

 と、少し離れたところではうちの爺ちゃんが二宮さん家の健吾さんや洋介おじさんとビールを片手に盛り上がっていた。

 手元には額縁に飾られたサイン色紙──昨日、家にやってきた仲間達に無理を押して書いてもらったものが数々置かれている。

 どうやらこれを肴に呑んでるみたいだね。

 

「いやーめでたい! まさかうちの孫が、あのチェーホワ理事やフランソワさんと一緒になって仕事する日が来るなんてなあ!!」

「公平くんのこと、すごく褒めてましたね昨日。これからの探査者業界を担う麒麟児だとか、ゆくゆくは政治的にも活動の幅を広げていってほしいと思ってるとか……とんでもない期待のされ方でした」

「末は博士か大臣か、なんて言い古された言葉だけど、まさにあの公平にそんなこと思う日が来るとは!」

「さすがは俺の孫だ、ワハハハ! 有名人のサインももらっちゃったし、公平様々だな!!」

 

 特に爺ちゃんのはしゃぎっぷりがすさまじい。お酒をガンガン呑んでるけど水もちゃんと飲みなよ、体壊すよ……?

 というか何を吹き込んでるんだ、統括理事に特別理事! 本質的にはむしろ俺って界隈の異端児だし、政治的な活動の場なんて難しいこと言われても困るよ。

 

 なんか変な方向に期待され始めている気がしなくもないことに震える。

 どこぞの伝道師さんや使徒さんといい、なぜかくも人を悪目立ちさせようとするのか、これが分からない。

 

 褒められるの自体は悪い気がしないから複雑な気持ちを抱いていると、また別の場所で俺やリーベについて話しているのを耳にする。

 ずいぶん噂されてるなあ、俺達。

 

「やっぱり去年に比べても、ホントに大人になったわね公平……昨日からの姿見てたら、なるほどねーとは思うけど」

「完全に探査者の人でしたよねえ。知り合いに探査者がいますけど、その人も公平くんの動画を見てすごいって言ってました」

「あれは周りの女の子達も放っておかないでしょうね。リーベちゃんや御堂さんを見るに、そんじょそこらの子じゃ気後れしちゃうんだろうけど……春香みたいに」

「御堂さん、テレビで見るより数倍綺麗でしたね……それにも負けないリーベちゃんもすさまじいですけど」

「他にもいるんでしょ、仲良しな女の子。誰が本命なのかしらねえ……」

 

 怖ぁ……夏子さん、真理子さん、姫子さんが俺の女性関係を肴にぶっちゃけ女子トークを繰り広げているよ……

 今も隣で昼ごはんを食べてるリーベや昨日、姿を見せた香苗さんの容姿があまりに整っているからか、すっかり女性陣が色めき立っちゃってる。親戚ってのはこれだからまったくもう!

 

 なんならその隣で、テレビを見てたはずのうちの家族がニヤニヤしながら俺を見ているし。

 帰ったら死ぬほどからかわれるやつだこれ、勘弁してくれよ。思わず天を仰ぐと、案の定母ちゃんと優子ちゃんが親戚トークに要らん情報を吹き込んだりしてきた。

 

「ちなみに公平、まだまだ引っ掛けてる子いるわよ」

「望月宥さん、逢坂さんって私の友達、昨日チャイナ服着てたリンちゃんって子、ソフィアさん、でっかい槍持ってたお姉さんに、あと兄ちゃんのクラスメイトの佐山さん! たぶんその他にも私の知らないところでたくさん、粉かけてるんじゃないかなぁ」

「あらー! ジゴロねジゴロ!」

「一年見ないだけですっかり女誑しに……」

「本当にハーレム築いちゃう勢いね。刺されることにならなきゃいいんだけど」

 

 なるかそんなこと! 人聞きの悪い!

 母ちゃんもだけどそれ以上に優子め、ズラリと知ってる名前並べやがって。少なくともソフィアさんはそこに並べるのはいろいろまずいだろ!

 

 俺の女性関係という名のデタラメを真に受けてきゃーきゃー騒ぐ女性陣。気づけば同じく耳にしていたリーベにはニヤニヤされるし、近くの春香はめちゃくちゃ睨んできてるしなんだこれ。

 えぇ……?




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