攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ハーレムより先に青春をゆっくりと謳歌させてほしい(本音)

 夏の夕暮れをしばらくリーベ、アイと戯れていたら、そのうちに晩ごはんをいただく時間になった。

 二人と一匹で居間に向かうと、テーブルの上には寿司桶や刺身の盛り合わせがめちゃくちゃ置かれている。例年ながら大盤振る舞いのお寿司パーティーだね。

 

 親戚達も続々集まってきて、適当に空いてる場所に座る。

 俺達もじゃあどっかに座ろうかとなった時、先に座ってた爺ちゃんが手招きして誘ってきた。

 

「公平! リーベちゃんもアイちゃんもこっちこーい!」

「爺ちゃん。行こうかリーベ、アイ」

「はーい!」

「きゅーう!」

 

 せっかくのお招きだ、応えない理由もなく俺達は上座のほう、爺ちゃんが待つ席に向かう。

 爺ちゃんと婆ちゃん、あと父ちゃんと洋介おじさんに夏子さんと山形家の血筋が勢ぞろいって感じの席に俺達も座る。アイは俺の隣にちょこんと座って、さっそく目の前の寿司やら刺身やらに目を輝かせた。

 

 リーベが俺とアイの目の前にそれぞれ皿を置いたり、コップにジュースを注いでくれる。

 それに対してありがとう、いえいえーとやり取りしていると、爺ちゃんは昼間から飲んでたからか赤ら顔で、やたら機嫌良さげに話しかけてきた。

 

「公平! おお、まずはお疲れ様ですうぇっへっへっへ!」

「あ、お疲れ様ですどーもどーも」

 

 ご機嫌でビールが注がれたコップをこちらに向けてくる、乾杯の催促だね、俺も応えてコップを向ける。

 軽くコップをカツンと当てると、ガラス容器だからか繊細な高音が響く。

 

 互いの労をねぎらい一息にコップを傾けると、中身を飲み干す。シュワシュワしたジュースが口内を潤し喉を刺激し、暑気をもふっとばす爽快感を与えてくれた。

 ふう、と一息入れると、リーベがまたジュースを注いでくれた。

 

「うふふー。改めて私からも、お疲れ様でした公平さんー」

「リーベもお疲れ。ほら、コップ出しなよ。コーラかオレンジどっちがいい?」

「あ、じゃあオレンジで! ありがとうございますー!」

 

 注いでもらってばかりじゃ申しわけないと、俺からもオレンジジュースを手に取る。

 笑顔で自分のコップを差し出すリーベに、こちらも笑ってジュースを注ぐと、横合いから父ちゃんや夏子さんが俺達をじーっと見ているのに気付く。

 なんじゃらほい?

 

「……新婚夫婦かしら。見てていろいろ思い出して懐かしくなるくらいイチャイチャしてるわねー」

「この二人、割と家でもずーっとこんな調子だしな。ツーカーの仲っていうか、距離感が完全に、なあ?」

「えぇ……?」

「えへへー! そうですかー? リーベちゃんと公平さん、新婚ですかー?! えへ、照れちゃいますってー!」

 

 いろいろあってシングルマザーの道を選んだ夏子さんが目を細めて、父ちゃんもニヤニヤ笑いながら俺とリーベの距離感をからかっている。

 仲が良いのは事実だし、言われて満更でもないけど改めて指摘されると照れくさくなるだろ! リーベも頬を染めながら俺に寄ってくるんじゃない、飯を食え!

 

 そろそろ親族みんな揃ったあたりでいただきますもして、お寿司や刺身を食べ始める中。

 大人ばかりのこのテーブルは、すっかり俺の恋愛関係について話され始めてしまった。くう、失敗した……!!

 

「他にも御堂さん……香苗さんとも密着状態が多いし、望月さんに至っては溺愛って言葉がピッタリなくらい公平と会う度ベッタリでなあ」

「まさか公平が女誑しになるとはなあ。ちなみに聞くけど誰だ、本命っていうか本妻は」

「人聞きが悪すぎるんですけど! 誰とも交際してる事実はございませんけど!!」

 

 直球でとんでもないことを尋ねてくる洋介さんに毅然と答える。

 自分でも周囲に美女が多く、しかも距離の近い方々もいてくださっている状況は把握してるけど……今のところはまだ誰とも交際しているというわけではもちろんないのだ。

 

 そもそも探査者になって半年足らず。高校進学したことも併せて環境がありえないほどに変動したもんだから、正直もうちょっと落ち着いてからいろいろ青春したいよねって気持ちが強い。

 あと俺個人としても15歳少年が事実上500歳システムプログラムにクラスチェンジしちゃったところもあるため、人生そのものに妙な達観を得てしまったのもある。

 

 目まぐるしい日常だけどのんびり行こうよ。どうせまたサークルだの過激派だの概念存在だの、果ては異世界の神だのでごたつくのは目に見えてるんだから。

 ──という思いもあり、夏休みが事実上半壊したというやるせなさも手伝いちょっとタンマ! って感じなのだ。

 

「……そりゃ俺だって、リーベや香苗さんや宥さんが近くにいてくれることは幸せだし、うかうかしてたら見放されるかもって思いはあるけどね」

「ありえない妄想ですねー。他はともかくリーベちゃん含めたその3人だけは何があっても公平さんのお側にいますよー」

「信じてる。まあ万一にでもの話だよ……とはいえまだ俺も高1だしさ。これまでに女の子と話す機会もそんななかったし、探査者としても高校生としても結構ドタバタしてるから、今はまずそっちのほうをこなしていきたいかなーって思うんだ」

 

 リーベのフォローも受けつつそんなことを親族に話す。

 ていうかぶっちゃけ早すぎるんだよいろいろ、環境の変化にしろ受けた想いへの返答にしろ、もうちょい長い目で見てくれと叫びたい。

 

 まあ香苗さん達はその辺、良識がある方々だから俺がゆっくり大人になるのを待ってくれてるっぽいんだけどね。

 つくづく、俺にはもったいないくらいの素敵な人達だよ。




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