攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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シャーリヒッタは山形周りの人間関係において最強の飛び道具……覚えておけ

 お寿司や刺身をつまみつつ、親族揃っての話は続く。概ねその内容と来たら探査者となった俺の生活スタイルについてだから反応に困るんだけど、大体褒められてる感じなので悪い気もしないんだよね、これが。

 皿に置かれた刺身を短冊のまま齧り付くアイの背中を軽く撫でつつも、俺は父ちゃん達の話に耳を傾けていた。

 

「はー。本当に狂信者? なのねえ御堂さんって。若くて綺麗なのに宗教狂いって、公平も罪作りだわ」

「一度生伝道ってのを見たことあるがとんでもなかったぞ、息もつかせぬマシンガントークってのはまさにあれだな。望月さんも似たような感じだし、なんだろうな公平って、探査者の美女にだけ効果を発揮するフェロモンとか出してたりするのか?」

「出してませんけど!」

「少なくとも美少女にも効果を発揮するんでしょうねー、そのフェロモンー」

 

 リーベまで乗っかるんじゃないよ! 抗議の視線を向けるとニッコリ笑う我が家のマスコット1号。完全に面白がってるな、こいつ。

 

 去年まで女性どころか友達の影すらほぼなかった俺が、今ではハーレム救世主呼ばわりされるようなことになっているんだからさぞかし、酒のつまみになる話題ってことなんだろう。

 ひたすら俺の周囲の女性について話ししてるんだから堪んないよなあ。

 

「海外の美女美少女とも知り合いなんだろう? 動画で見たし昨日もうちに来てたよな、シェン・フェイリン。彼女も大概な美少女だったが、あの子もお前のアレなのか」

「ドレぇ? 違うよ洋介さん、あの子ともたしかに友達で戦友で仲間だけど、彼女とかでもなけりゃ変な宗教にドハマリもしてないし」

「あとソフィア・チェーホワさん! マジで年取らないのね羨ましいわ〜! でもあんなすごい有名人までどこで引っ掛けたのよ、信じられないくらいあんたと仲良く話してた感じだったけど」

「あー……あ、あの人もえーと、マリーさんの関係で知り合って意気投合した感じかな? あれで案外気さくな人なんだよ、うん」

 

 洋介さんや夏子さんがリンちゃんとかソフィアさん──ヴァールと仲のいい様子を見せたことに言及してくるけど、彼女達とはアドミニストレータ計画が縁での仲なわけで中々返答に困るところはあるよね。

 特にヴァールなんて、そもそもがシステム領域の精霊知能なわけで関わりって意味だと500年前からあったと言えなくもないし。そんなこと言えるわけもないため、テキトーなことを言って誤魔化すしかないのだ。

 

 乾いた笑いを浮かべていると、じいちゃんがうんうんと頷いていた。

 またなんか言いそうだなーと変な予感に襲われていると、案の定ばあちゃんに向けて何やら話しかける。

 

「ばあさん、俺ら近々ひいじいちゃんとひいばあちゃんなるかもなあ」

「えっ……あっ、そうねえ……そういうことになるかもなわけよね……」

「なんなら孫嫁も曾孫もわんさかできそうじゃないか? こりゃ生きてるうちに玄孫の顔も見れちまうかもなあ!」

「気が早いわねえ。でも曾孫だなんて……ふふ、歳も取るわけだわ」

「えぇ……?」

 

 気が早すぎる。この人達は一体、何を生き急いでいるんだ。

 ちょっとゆっくりさせてって言ってるんだけど、もうなんかすっかりお二人の世界って感じだ。まだ見ぬ曾孫、果ては玄孫の姿を思い描いては頬が緩んでいらっしゃるよ。

 

 さすがにそれはちょっと、って感じで俺だけじゃなくじいちゃんばあちゃんの息子娘、つまりは父ちゃん達の顔もひきつる。

 こっちは割とネタ半分で話してただけだし、ガチで言ってる感じでもなかったからね。本気っぽいムードを出している両親に、思わずストップをかけていた。

 

「親父お袋、気が早すぎるって。まだ公平は高校一年だし、探査者にだってなって半年も経ってないんだぞ」

「変にプレッシャーかけるのは止めてやってくれよな。ただでさえシャイニング山形とか言われて大変そうなのに、親族からまであれこれ催促されたら可哀想だろ」

「嫁はたくさんできるだろうし、そしたらひ孫ってのもそのうちできるんだろうけどね……まだまだ子供なのに、今からそういう話をするのは酷よ、二人とも」

 

 呆れた様子で父ちゃんと洋介さんと夏子さんが、俺の立場を慮ってくれる。そうそう、俺ってば高校入学したてで探査者にもなりたてな15歳なんですよ。

 そういうその、何、家族が増えるよ! みたいな話はね、大人になってからでもぜーんぜん遅くない。つまり18歳以上になってから、という話だね。

 

「う……悪い、変に考えすぎちまった」

「歳を取ると、気が急くものなのねー……」

 

 気が早いと直球で言われて、じいちゃんばあちゃんも顔を赤くして反省の弁を述べた。

 楽しみなのは分かるんだけど、そこはちょっとね。俺自身がまだまだ子供だからね、時間ほしいよね。

 苦笑いしていると隣でぼそっとリーベがつぶやいた。

 

「……シャーリヒッタ」

「やめてくれ……このタイミングで話したら大混乱になるぞこれ」

「そもそもあの子の立場と主張が意味不明ですからねー……」

 

 二人して遠い目をする。どちらかといえば幼馴染のほうが適当なはずなのに、自分を俺の娘だと認識してその通りに振る舞ってくる精霊知能シャーリヒッタ。

 傍から見たら完全に倒錯しちゃってるあの子の話はこの場だと劇薬だ。せめてあの子が受肉してきたタイミングで、電話越しにでも事情を説明してみようか。

 ある意味曾孫だ、じいちゃんばあちゃんも喜ぶ……と、良いなあ。




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