攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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のんびり過ごせると思ったかい?やることが山積みだよぉ!(白目)

 来た道を逆に戻る感じで、俺達を乗せた車は快適に帰路をひた走る。

 途中でスーパーに寄って昼食用の惣菜と夕食用の材料をあれこれ買って、家に到着した時にはもう昼前頃だった。

 見慣れた町並が見えてくるとやたらホッとするよねー。

 

「ただいまー」

「おかえりなさーい! そしてただいまーですー!」

「きゅうーきゅきゅうー!」

 

 そんなわけで数日ぶりの我が家である。御堂本家での滞在から割とノンストップだったので体感的には10日ぶりくらいの感覚さえある。

 いや~久しぶりだわーとか言いつつ荷物を自室に置いてリビングへ。母ちゃんが冷蔵庫に夕食の材料を、テーブルに昼食の惣菜を置いていくのを俺とリーベ、優子ちゃんの三人で食器を用意していく。

 

 さあ、お昼ごはんだ! 準備が整ったところで全員がテーブルに座って人心地をつけた。

 今日はもうやることもなし、ご飯を食べたらのんびり過ごす感じだね。父ちゃんとそんなだから珍しく、昼からお酒を飲む気でいる。明日からまたお仕事みたいだし、残る半日を存分に楽しむんだろう。

 

 かく言う俺もこの10日、遊んでるだけじゃなくて自由研究とダンジョン探査もしないとなー。

 倶楽部との戦いが特例でダンジョン探査活動として扱われているからノルマは割と果たしているんだけど、それも終わった以上は普通の探査業の感覚に切り替えなきゃいけないし。

 

 またすぐ首都圏行ってサークルだの過激派だのと揉めるわけなので、こういう隙間時間に日常生活の感覚に浸っておきたい気持ちはあった。

 

「いただきまーす」

 

 と、そんなわけでさっそく戻ってきた日常、お昼ごはんの始まりである。

 サックサクに揚がった春巻き、チキン南蛮にトンカツ。生野菜サラダにポテトサラダとテーブル上はまさしく惣菜祭りだ、美味しそう。

 

 さっそくいただきまーすと春巻きを一口かじればカラッとしたきつね色の皮がパリッと音を立て、中の具材、たけのこやら肉やらニラやらを細かく刻んで混ぜてるっぽい中身がジュワ~っと餡を垂らして舌の上で踊る。美味しい。

 味わいを受けて例のごとく、美食家アルマさんが脳内でコメントしてきた。

 

 

『スーパーマーケットの惣菜も中々乙なもんだねえ。チキン南蛮とか春巻きとか、揚げ物系が多いから途中でサラダを挟むと栄養的にも味わいのバランス的にも大変整ってよろしいと思うよ、公平』

 

 

 最近たまに、俺の栄養価まで気にしだしてきたんだよなあこの邪悪なる思念さん。従い生野菜のサラダも食べるけど、刻みパプリカが少量入っているのが地味にありがたい。

 こっちも美味しいなーとむしゃむしゃ食べる。不意に、優子ちゃんが俺に尋ねてきた。

 

「兄ちゃんもリーベちゃんも、来週くらいにはまた関東に行くんでしょ? それまでは暇なの?」

「ん……暇ってわけでもないよ。明日にはさっそく、探査者仲間さんの相談事に乗りに朝から出かけるし」

「おかし三人娘、でしたっけー。公平さんの弟子が二人もいるんですよねー」

「師匠になった覚えないんだけどな。向こうが自称してるみたいだ」

 

 要するに首都に行くまでの10日、フリーで過ごすのかって質問なんだけど、さっきも言ったが割と忙しいんだよ、俺。

 まずもって明日の朝、おかし三人娘はアメさんの実家を訪ねる予定になってるからね。

 

 以前、ええと翠川との決戦のあったあたりかな、に彼女に伝えた4つの召喚体。概念存在のプロトタイプに相当する特別な存在・始原の4体について、詳しい話を伺いに行くのだ。

 どうやらあいつら、アメさんにシステム側の事情を洗い浚いぶちまけちゃってるっぽいんだよね。その辺についてどういうつもりしてんだと、問い詰めにいかなきゃならないのだ。

 

「悪いけどリーベ、明日俺についてきてくれるか? 始原達とも仲良かったろ、たしか」

「まあそこそこ話はしてましたねー、もちろんついていきますよー。ていうか公平さん太っ腹ですね、あの子達をそのアメ? って人に教えたんですかー」

「仮にも《召喚》についてのアドバイスを乞われちゃったからなあ。それでいて本人に自衛力が乏しいと来たもんだから、コスト0で呼べるあいつらがとりあえずは適当じゃないかって思ったんだよ。まさかあいつらが突っ込んだことまでべらべら喋るなんて思わなかったけど」

 

 アメさんに始原達について教えたのが意外に思われちゃったけど、実際そんな大したことでもないんだよ。

 そもそも彼女は新米で、スキル《召喚》だって初期状態に近しい程度のニュービーさんだ。そんな人に俺が持つ情報をどれだけ伝えたところで、スキルの性質上大した糧にはなってくれないんだ。

 結局あのスキルって、使用者のレベルが高くないと呼び出せるモノのランクも上がらないしね。突き詰めると精進あるのみって話しかできないんだよ基本。

 

 だからせめて、生存力を高める意味合いでコストのかからない、知ってるだけで呼べる始原達を紹介したわけなんだけど……

 口が軽すぎるんだよあいつら、何もかも白状しちゃってるみたいだし。さすがに予想外だとぼやくと、リーベも首を傾げて疑問符を浮かべていた。

 

「言っていいこと悪いことの区別くらい、つくはずなんですけどねーあの子達も。何かあって説明したとか、でしょうか?」

「分からんけど、ノリが軽いからなーあいつら。なんとなく気に入ったからで全部、ペラペラ話しちゃったような気がするんだよなー」

「あー……ありえますね、それは……」

 

 始原の4体とも頻繁に話していたリーベが苦く笑う。

 高木さんほどじゃないけどまあまあノリの軽い4体だから、それこそ流れと勢いで話しちゃったっぽいんだよなあ、アメさんの話だと。

 詳しくは明日聞くけど、いろいろ嫌な予感しかしない俺ちゃんである。




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