攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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さすが大神、仕事が早い!すごいなーあこがれちゃうなー

 神社の境内の脇道を行くこと数分して見えてきた、アメさんのお家、鹿児島家。

 古式ゆかしい神社とは打って変わって洋風建築、至って普通の二階建ての民家だ。アメさん自身がすごく和風美女って感じだからか、なんか勝手に日本家屋みたいなのを想像していたよ。

 

「どうぞお入りくださいませ。お二方にご挨拶させていただければと、家族も待っておりますのでひとまず今にご案内しますね」

「えっ……ご、ご家族様、ですか」

「はい! みんな先生とは一度会って話がしたいと言っていたんです〜!」

「えぇ……?」

 

 さっそくの修羅場チャンス! 愛娘がドハマリしたカルト宗教の御神体が家にやってきた、さあ親御さんならどうなさる!?

 どう考えても薙刀を手にしたお父様に追い立てられる未来しか見えない。隣でリーベもアチャー、みたいな顔してるし。なんてこった開始早々大ピンチである。

 

 今さらやっぱり帰りますとも言えないし、これはもう流れに身を任せるしかない。

 身を強張らせつつも玄関先で靴を脱いでお家の中へお邪魔する。アメさんの家の中はやはりというべきかすごく綺麗だ。

 

「お、お邪魔しまーす……」

「失礼しますー……公平さん緊張しすぎですよー。リラックス、リラックス!」

「無茶言うな!」

 

 普通年上のお姉さん、しかも超美人の黒髪巫女さんのお家を訪問させてもらうんだから、年頃の高校生としてはもうちょいテンションを上げてもいいところなんだろうけどもはや緊張しか勝たん。

 どんな場所でも時でもなんら問題なく自然体なリーベがこの際、おかしいんだ。肝の座り方やばいだろ陽キャめ、まるで太陽の光をたくさん浴びてすくすく育った向日葵みたいだ、眩い!

 

 プルプル震えて必死に悪くない山形くんアピールをせねばならないだろうかと腹を括りつつも居間へたどり着く。リーベが向日葵なら俺は日陰に咲くタンポポになりたい。何言ってるんだろう俺。

 緊張していると、にこやかに笑うアメさんが一旦俺達を部屋の前で止めて、先んじて声を上げながら入っていった。

 

「ただいま戻りました〜。ご紹介するねお父さんお母さん、こちらが私の探査者としてのお師匠様にして救世主様、山形公平先生です〜。お仲間のリーベさんもお連れしてます〜」

「おお、天乃おかえり。お連れしたか、そうかそうか」

「ちょうど今、お茶もお菓子も用意できたところですよ。ようこそおいでくださいました、さあさこちらへお座りくださいな」

 

 居間、テーブルとソファが置かれていてそこにご夫妻が座られている。うちの父ちゃん母ちゃんと同年代くらいの、マイホームパパママって感じの温厚そうなご夫婦だ。

 アメさんが当然のように、見た目明らか年下の俺を指して師匠だの先生だの果ては救世主だのと紹介してきた。救世主は駄目だ、終わった……完全に使徒と成り果ててるよこの人、白目剥きそう。

 

 彼女の御両親はしかし、そんなアレな紹介にも動じることもなく穏やかに頷き、あまつさえ対面のソファに座るよう促してくる。

 こ、怖ぁ……座った途端神敵討つべし! 的なテンションになったりしないだろうか? されてもおかしくないんだよね、神社のお家の娘さんがドハマりしてる新興宗教の御神体がやってきてるとか。

 

 警戒だけは最低限しつつも失礼のないように慎重に今へ入り、ソファに座らせていただく。

 そしてご丁寧にお茶とお菓子を眼前に差し出され、恐縮しきりに頭を下げてから俺は、自己紹介から始めることにしたのだ。

 

「アッ……あっ、はい。あの、お初にお目にかかります山形公平です! この度は大変お忙しい中、お邪魔させていただきます、よろしくお願いします!」

「こんにちはー! 山形公平さんの仲間であり家族同然の、リーベと申しますー! よろしくお願いしますー!」

 

 ガチガチに緊張する俺と、まるで自然体なリーベ。正反対と言っていいくらい対照的な俺達の挨拶に、ご夫妻は穏やかに笑って鷹揚に頷いてくださる。

 いかん、落ち着け。一瞬だけ目を閉じ瞑想を行う。あっ、なんかスーッとしてきた、諸行無常ー。

 

 称号《正しき心はあなたの胸に》の効果、瞑想による精神状態リセットである。もっと早く使えよ! と自分でも思うけどパニクっててなかなか思い至らなかったよ、怖ぁ……

 ともあれこれで少しはマシに応対できる。今度はご夫妻が名乗られるのを、多少落ち着いた心地で俺は聞いた。

 

「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。鹿児島天乃の父、聖也と申します。山形様のお話は娘からも、当神社の御祭神たる御方からもお伺いしておりますれば」

「なにとぞ固くならず、ごゆるりとお過ごしくださいませ……天乃の母、佳代と申します。よろしくお願いいたします、山形様、リーベ様」

「よ、よろしくお願いします……って、御祭神?」

 

 俺に比べてなんたる堂々とした挨拶だろう、と思っていたらなんかさらっととんでもないことを仰られた。

 なんで俺について、この神社で祀っている神々が介入してくるんだ……というか普通に神託を受けてるあたり、アメさんパパってばさすが神職の方だと驚かざるを得ない。

 

 リーベもさすがに驚いたのか、目を丸くしている。

 まさか先んじて、神々のほうから動きがあったなんて思わなかったしなあ。おずおずと手を挙げ、聖也さん佳代さんご夫婦に問いかけていく。

 

「あ、あのー。そちら様で祀っていらっしゃる神から、公平さんについて何かしら神託があったってこと、ですかー?」

「ええ、昨日の夜にお言葉を頂戴いたしました」

「"山形公平とその関係者には礼を尽くすこと。我々は北欧の手前接触は控えるので、代わりにもてなすようによろしく"とのことです」

「えぇ…………?」

 

 割とフランク! そしてやっぱり動いてくれたか織田、いやさオーディン!

 さっそく動き出しているらしい協力者たる北欧神話の最高神に、俺は感謝しつつも心のなかでツッコミを入れた。




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