攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ドキッ!システム領域も見ていた"最後の最期"

 始原の4体への釘刺しを、誓いさえ用いて行うことで今後の余計な情報流出を未然に防ぐことに成功した。

 そこさえできてしまえば後は呑気なもんだ。システム領域を知る者同士、俺とリーベ、始原の4体は話に花を咲かせていた。

 

 アメさんの部屋、ソファに座る俺とリーベ、対面にはアメさんと幼女姿のゴンベが並ぶ。

 そしてアメさんを囲むようにして犬のネムレス、猫のノナメ、インコのムメがソファに佇んでいるのだ。動物王国かよ。

 

 珍妙な光景だけど中身は普通にシステム領域側のものなので、全然普通に話ししちゃってる俺達である。

 ネムレスとノナメが立て続けて楽しそうに言った。

 

『一応、アドミニストレータ計画の進行状況は確認していたのだがなあ。まさかアドミニストレータたる山形公平その人がコマンドプロンプト転生体だったとは思いもよらなかったぞ!』

『そーそーホントホント! 我らってば最終決戦の時はシステム領域んところで他の精霊知能達とみんなで観戦してたんだけど、そん時の空気の凍りつきっぷりと来たら!』

「そんなに!? 野球観戦じゃないんだぞ……」

 

 邪悪なる思念との最終決戦に際して、まるでスポーツ観戦か何かみたいなノリで精霊知能全員集合で覗いていたらしいシステム領域。

 みんな見てたってのはシャーリヒッタとかからも聞いてたけど、そんなカジュアルなノリだったんだとビックリな俺である。なんならビールと枝豆でもやりながら、野次とか飛ばしてたりしないだろうね君らも他の精霊知能達も。

 

 リーベもあははーと苦笑しながらもつぶやいた。この子は始原の4体とも頻繁にやり取りしていた、いわば旧知の仲だ。

 だからだろうか、和やかに話していてもどこかお互いによそよそしい俺と彼らとは異なり、よりナチュラルな感じで話しかけていく。

 決して俺が陰キャで始原達がキョロ充だから微妙にノリが噛み合ってないわけではない。ないったらないのだ。

 

「っていうか本当、公平さんの正体に誰も気づいてなかったんですねー……コマンドプロンプトに意志があると知っていたシャーリヒッタさえ、公平さんがその当人だとは気付いてなかったみたいですしー」

『そもそもコマンドプロンプトに意志が発生していたってのが寝耳に水だったよ。因果律管理機構ってぶっちゃけこの世界の根幹なんだし、ワールドプロセッサより上位に位置付けられる存在が発生するとも思わなかったなあ』

『精霊知能の半分くらい、しばらく硬直してたぞ? シャーリヒッタとかアフツストがおもむろに号泣して跪きだしたのを見て、なんとか再起動して同じく跪いてたけど』

「えぇ……?」

 

 号泣して跪くってなんだよ、宗教かよ。伝道師も絡んでないのにそういうの止めろよ……怖ぁ……

 シャーリヒッタやアフツストの奇行に思わず顔がひきつる。というか精霊知能統括のアフツストまでそうなのかよ、彼は比較的元々のコマンドプロンプトの人格に近い、冷徹なイメージがあったんだけどなあ。

 

 システム側の今現在について、俺はまるきり知らないからいろいろ新鮮な話ばかりを聞く。

 まあ、あんまりこんなことばかり話してるとこの部屋の主であるアメさんが置いてけぼり食らっちゃうわけだし、程々にしとかないとねーとは思うんだけど。

 

「い、い、今、私はもしかしたらとてつもなく貴重な対談を目にして耳にしているのかしら〜……!? あわわはわわわ、メモ、メモを取る手が震えてひわわわ」

「アメさん!? ちょっと大丈夫ですか、なんか両手が痙攣してますけど!」

「貴重と言えばまあ貴重でしょうけどー、そんな風になるような話でもないような気がしますけどねー」

 

 ただの世間話を何やら、とてつもなく過大に受け取ってるみたいでメモを取る手が震えてらっしゃる。そもそもメモるとかそれ、後ほど伝道師経由で救世の光に伝わるやつですよねそれ!

 尋常でなくガチガチに緊張している姿がいっそ心配になる。リーベも微妙な面持ちになりつつも、まあまあとアメさんを宥めすかして落ち着かせようとしている。

 

 そんな中、始原の4体達は突然大きく頷いた。

 どことなくご満悦なオーラを醸しつつ、おもむろにアメさんに寄り添っては彼女を褒め称えたのだ。

 

『我らが召喚主の、こういうひたむきで実直な姿勢が特に素晴らしいんだ!』

『我々概念存在への敬意を欠かさない、まこと信心深く謙虚で素直なあり方はまさしく良き知性体の有り様そのものだからねえ』

『概念存在の始祖として、こういう知性体にはできる限り協力してあげたいって思っちゃうもの。さすがコマンドプロンプト、ピンポイントでとんでもない愛され人間を紹介してきたわねえ』

『ぶっちゃけコマンドプロンプト、我々もっとこの子に何かしら力を授けてやりたいほどなのだが』

「マジかお前ら、そこまで気に入ったか……」

 

 どうしよう、こっちの想定をブッチギリで超えてこいつら、アメさんを気に入っちゃってる。

 精々話し相手とか雑用とか、あと探査時の足りない手を補う一手くらいになってくれれば御の字かなーって思ってたのが大誤算だ。いや良いことではあるんだけどね。




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