攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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フッ、おもしれー伝道師

 システム領域にも近々一度、戻らなきゃいけなくなったのが確定した俺、山形公平。

 まあいろいろ、頃合いかな……とは思うので素直に受け入れる。祝勝会を開きたいってのは意外な物言いなんだけど、アフツストもなかなか面白い物言いを考えたもんだよ、うん。

 

 段取り組まなきゃなー、と考えながらシャーリヒッタの話に耳を傾ける。受肉に至るまでは概ね把握した、となれば次は受肉してから。

 どうして香苗さんと一緒に行動していたのかってところについて、彼女は説明していった。

 

「そんなわけで恙無く受肉したオレだったんだが、それでそのまま山形家に向かって父様に"来ちゃった! "って言うのは、なんか面白くねーよなーって考えた」

「来ちゃった! はだいぶ面白いと思いますけどー……というか面白さとかいりますかねー、そんなところで」

「いるだろ、チョー必要。お前だって本当はもっと楽しいタイミングで受肉して父様の前に姿を見せたかったろ? あんな、邪悪なる思念絡みの場面じゃなくてよ」

「う……ま、まあそれはそのー」

 

 論破された感出しながら呻くリーベ。受肉後の初対面に対してそこまで面白さを求めるようなものなんだろうかと、むしろこっちとしては二人の反応に困惑するばかりだ。

 というかリーベ、受肉初披露のタイミングとか考えてたんだな……それが邪悪なる思念に襲撃された俺達を助けるために、慌てて割って入ってくれたと。

 

 たしかリンちゃんがヴァールと戦った直後だから、かれこれ2ヶ月は昔のことか。

 三界機構に天地開闢結界まで引っ提げてきたやつに、俺達は危うく全滅しかけたんだ。俺なんてアドミニストレータとしてエネルギーを出しすぎたせいで身体が自壊して、全身の骨がそれぞれもう一つ二つくらい関節増えてたし。

 

 そんな折に助けに来てくれて、《医療光粉》で俺やリンちゃん、ヴァールを癒し《空間転移》で逃げ道まで確保してくれたリーベ。

 あの時ばかりは本当に、天使か女神かにも見えたもんだよ。めっちゃいいタイミングで厳かな光とともに現れていた裏で、まさか本当はもっと面白い登場の仕方がしたかったって無念がっていたなんてなあ。

 

 話を聞いていたヴァールが、汗を一筋垂らしてツッコむ。

 

「待てお前達。それでいいのか、面白さ優先などと……特に後釜はあのタイミングが結果として最善だったと思うが」

「はー、分かってませんねー三女はー。あの登場に悔いはありませんけどー、それはそれとして最高の反応をしてもらえるタイミングとは言い難かったのも事実ですしー」

「オレらシステム側もあの場面は見てたけどよ、父様はじめ全員、邪悪なる思念と三界機構から逃れることに意識がいってそれどころじゃなかったし。姉貴にもそりゃー驚いてはいたものの、まずはその場をどうにか切り抜けることが最優先だったんだぜ? 芸人としちゃあネタ潰しだよなあ」

「芸人のつもりでいるのか……あとワタシは三女ではない……!!」

 

 自意識が明らかに芸人チックなウケ狙い。そんな長女と次女に自分は妹じゃないと訴えながらも、ヴァールは半ばドン引きして彼女達を見ている。

 本当に、この子達はどこを目指しているんだろう? 登場にまで拘ろうとするのは別に良いんだけど、こだわりの方向がその、エンタメ全振りなのはこの子達特有の性格なんだろうか。

 

 あるいは実は精霊知能はみんな、大なり小なりこんな感じで。

 ヴァールやアフツストといった、やたら真面目な精霊知能のほうが微妙に浮いてるとかだったらそれはそれでなんかアレだな……怖ぁ……

 システム領域に戻ったらなんかこう、日常的にコントが行われたりしてたら俺は反応できる自信がないよ。

 困惑とともに、シャーリヒッタへと質問する。

 

「え、えーっと。それでその、面白い形で受肉を披露したいから、真っ先に香苗さんに会いに行ったのか?」

「だぜ! やっぱ父様に詳しくておもしれーヤツったら、システム領域にもその名轟く伝道師・御堂香苗だからよ! 挨拶がてら訪ねさせてもらったわけだ!」

「深夜にいきなりベランダが発光したかと思えば、見たことのある少女がそこにいて気さくに挨拶してきたのですから……さすがに驚きました。伝道師としての奇跡エピソードに加えながらも、しかし一般的な常識的には相当困惑したのも事実です」

「ハッハッハー、それでも奇跡エピソード扱いしたね、今」

「ファファファ、余念がないねえ」

 

 香苗さん、システム領域でもおもしれー狂信者扱いなんだ……さもありなんと言うべきか。

 怪奇現象も当然のように伝道師としてのエピソードに取り込んで、困惑しながらも一切ブレないその姿勢がなんともお強い方だよ。

 

 エリスさんやマリーさんもこれには苦笑いしている。サウダーデさんやベナウィさんも興味深そうにシャーリヒッタを見ていて、サプライズ受肉披露って目論見は結構成功しているように思えるね。

 

「それで朝までサプライズの段取りとか、あと救世の光について聞いたり話したりしてよ……今やすっかりマブダチだぜ! なあ香苗、オレも今日から使徒だしな!」

「そうですね! しかもこれによりリーベちゃん、シャーリヒッタ、ヴァールの精霊知能三姉妹が使徒化したのです! これは今後、救世の光が救世主様の尊さ偉大さを語る上で非常に大きな意味をもちますよ、公平くん!!」

「えっ……あ、はい……そ、そうですか」

「ワタシを含めないでくれ。使徒はやぶさかでもないが三姉妹はやめてくれ」

 

 マジで仲良くなっちゃったのか、俺越しに軽くハイタッチなんかしちゃう香苗さんにシャーリヒッタ。えぇ……精霊知能が着々と使徒になってるよぉ。

 ヴァールが力なく抗弁するものの、三姉妹扱いのほうかよ! ってなる。

 この子もこの子で結構天然だよなあ。




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