攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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案の定シャーリヒッタがキレてるじゃねえかよ、えーーーっ

 俺の正体がなんであるにせよ、向こうからすればそういう判断は下すかもなあ、というのが率直な感想だった。

 委員会に絡んでいる概念存在達が、俺を大ダンジョン時代をもたらしたナニモノカとのつながりがある存在と見て、敵視してくる──十分にあり得る話だ。

 

 だって何しろ実際にそうだしな。今この時代を生み出した根本的なところに、俺というコマンドプロンプトは関わっているわけだし。

 概念領域まで赴いて妖怪相手に大立ち回りしたわけだし、そういう判断をされてもおかしくないのは正直、理解できるよ。

 何しろ妖怪の一軍を、北欧神話の大神と並んで圧倒したなんてのはいかにも怪しさ満点だしな、俺。

 

「そう考えると、あの場にいた織田もいろいろ疑われてそうだな。今度会ったら一応知らせとくかぁ」

「呑気ですねー公平さん……まあ、焦ったりパニクったりする話でないのは事実ですけどー。不愉快なだけでー」

「概念存在に狙いを定められて、だからどうしたという話ではあるからな……油断禁物というのは前提として、それでもあまり何か、変化のある話でもない。不愉快なのはそうだがな」

 

 リーベが苦笑いして、ヴァールが達観した眼差しでつぶやく。それぞれ概念存在に敵認定された俺がイマイチ反応が薄いことを受けてのリアクションなんだけど、こればっかりはね。

 

 ぶっちゃけ既定路線とまではいかないけど、倶楽部に概念存在が絡んでいた時点でこうなることは薄々予想していた。

 ていうか形の上では概念領域にシステム領域が介入しているわけなので……そこまでしといて何も反抗されないままってわけにはいかないよねーとは、思っていたんだ。

 

 まあ、天罰執行対象とやらになったら具体的にどうなるのかってのは分かりかねるけど。ここは後日織田に聞かせてもらおうかな。

 そもそも鬼島が勝手に嘯いてるだけで、実際はそんな天罰とかを下すつもりじゃない可能性さえあるんだし。概念領域の情勢とかも尋ねておきたいところだ。

 

 どうあれ大層な語句が出てきたってだけで状況にはなんら、変化はない。なぜなら今後も、俺やシステム領域がこの案件に絡んでいくのはすでに決まり切っているのだからね。

 もちろん気は抜けないし油断大敵だ。とはいえそれでも倶楽部相手に警戒していた、これまでと同様の対応で問題はないと言ってしまえる範疇でしかなかった。

 

「むしろ今、目の前で起きている光景にこそ焦りそうかな……」

「テメェこらッ、舐めた口利いてんじゃねえぞッ!! 誰に向かって罰だなんだ吠えてんだッ、アァ!?」

「ぐ、ぅっ、うううっ!?」

 

 どちらかというと今現在、進行形でチンピラさんじみた口調と勢いで鬼島を威圧しているブチギレシャーリヒッタちゃんのほうが気が気でない。

 手を出すとさすがにまずい。まだ怒鳴り散らしてるで済んでいるけど、俺への敵対宣言だの天罰執行だのを受けて怒り心頭のようだ。

 

 そのうち胸倉ぐらいは掴みそう。あわわ取り調べハラスメント……! と、むしろそっちにこそ不安と恐怖を覚えながら、俺はシャーリヒッタを手で制した。

 

「シャーリヒッタ、ストップー。それ以上はいけない」

「っ……ですが父様! 不遜にもあなたを天罰なんぞにかけようという有象無象どもは、オレとしてはもはや異分子処断権限の行使対象! 眼の前の元赤鬼まで含め、この世からなかったことにしてもなお怒りと憎しみを抑えきることはできませんっ!!」

「怖ぁ……いやホント止めときなって。天罰とかって大層だけど、結局のところ言葉遊びに近いんだし、あまり過度に気にすることじゃない」

「……なんだと!?」

 

 よっぽど頭にきてるのか、顔を真っ赤にして精霊知能としての魂による圧を放っている。

 俺のためにそこまで怒ってくれるのはすごく嬉しいんだけど、だからこそそんな、他者を一方的に脅しつけるなんてことはしてほしくない。

 

 やんわりと押し留めつつ俺は、鬼島にも言い聞かせるように大きめの声で言った。大仰な表現だけどそんなもん、俺からしてみれば言葉遊びの範疇を出ない、と。

 露骨に顔を歪めて不愉快そうにする元赤鬼。まさか……俺が本気でビビって、泣いて許しを乞うとでも考えていたのか?

 

 そんなわけないだろ。

 俺の威圧や権能まで味わっておいて、ずいぶんと甘く見積ってくれたもんだよ。

 内心呆れつつも語る。

 

「天罰だか神罰だか知らんけど、状況は今までと大差ない。こないだまでの倶楽部三幹部の立ち位置が概念存在の一部にすげ変わったってだけだし、俺達の対応はこれまでとまるで変わらないよ」

「それこそ現世と概念領域のバランス崩壊が活きてくるな……倶楽部三幹部と概念存在と、脅威度にさしたる変化はない。であれば我々は引き続き警戒しつつも仕掛けてくる敵を打倒し、逆にそこから貴様らの足取りを掴むのみ、だ」

「さっき自分で探査者が概念存在を凌駕していってるーみたいな話しといてなんで自分達がそこまで大層な、絶対的な脅威足り得ると思ってるんですかねー? ……十把一絡げですよ、そんなのー」

「っ…………!!」

 

 そう。ヴァールやリーベも補足してくれてるけどつまるところ、倶楽部相手にしてるのと変わらないのだ。なんならバグスキルの厄介さが取り除かれた分、こっちのがやりやすくさえある。

 そもそも力で脅すことができるのは、相手に対抗手段のない場合のみだ。言っちゃなんだが俺や探査者、つまりは現世領域は戦闘力的には明確に概念存在を超え始めているわけだし、そんな状況で神罰とか言われても黙って受け入れられるわけもなく、反抗しますねとしかならない。

 

 つまりは鬼島に、あと委員会に関わる概念存在達か。彼らは根本的に勘違いをしているんだ。自分達の威光をひけらかせば、どうとでもできるとまだ誤解をしている。

 今の御時世、そんな話になるわけがないんだよなあ……

 

 それがなんであれ自分達を脅かすモノであり、かつ自分達には対抗できる手段があるならば、それを用いて反逆することさえ辞さない。少なくとも当世の探査者はそういう性質だ。

 自分達のほうが上だから問答無用で威せます、なんて時代じゃないって言うことを、少なくとも鬼島自身は心底からは認めようとしていないらしかった。




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