攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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INTER FACER─此方と彼方をつなぐモノ─

 なんかいきなり出てきた"システム側による現世介入用の特別チーム"なる謎の、かつ物騒な響きの専門用語。

 何それってリーベも首を傾げている。ヴァールも同様で、唐突な話をしてきたシャーリヒッタを怪訝そうに見つめていた。他の面々なんて言わずもがなだ。

 

 なんのこっちゃと彼女を見ていると、さすがに説明はするようでシャーリヒッタは主に俺のほうを向き、ドヤ顔のまま話し始めてくれた。

 

「きっかけはもちろん倶楽部の三馬鹿が、こともあろうにバグスキルを悪用していたことが発覚したあたりからです、父様。つまり半月前くらいですね……早急にワールドプロセッサが要職を担当している精霊知能を呼び出して、討議したんですよ」

「討議……察するに現世介入についてか。リーベやヴァールみたいに受肉してまで精霊知能を投入する案件なのかどうか、見定めようとしたんだな?」

「その通り! 邪悪なる思念絡みじゃない分、システム領域としては対応に苦慮する部分でしたからねェ!」

 

 倶楽部案件は実のところ、本来であればシステム領域が本格的に手を入れるべき事態とまではいかない程度の話だったというのがコマンドプロンプトとしての俺の見解だ。

 つまりは現世の、能力者犯罪捜査官達で解決できる規模の事件のはずだったんだね。

 

 当初の時点ではあくまで現世領域内で収まる範囲の犯罪でしかなかったし、何よりヴァール率いるWSOが現世で対応してくれていたというのも大きい。

 世界最大規模の治安維持機構を纏め上げる彼女に任せておけば、時間はかかってもどうとでもなるって思ってたはずなんだよ、ワールドプロセッサの立場から考えると。

 

 それが今回、バグスキルの悪用に始まりダンジョンコアの改竄、不正利用などシステム側をもってしてもなお想定外の事象が絡んでいることが発覚した。そうなると当然、話は変わってくるわけで。

 システム側もさぞかし泡を食ったんだろうなーってのは、これまでに見たヌツェンの狼狽ぶりからも伺える話ではあった。

 

「さしものワールドプロセッサも頭を抱えてたぜ。知的生命体に自然と芽生える悪性はある程度把握してても、まさかピンポイントでバグスキルだのダンジョンコアだのが絡んでくるとは思ってもなかったみたいでさ」

「特にダンジョンコアについては、完全に想定の範囲外でしたからねー。たとえ概念存在が一枚噛んでいたと想定したところで、まさかコアを加工して別の性質を持つ何かに仕立てるなんてことがあり得るなんて思いもしませんでしたしー」

「だろォ? だからワールドプロセッサも至急、面子を集めて話し合いをしたのさ。オレ達がどこまで介入すべきか、何をどこまでするべきかってな……方向性が確定したのは、つい一昨日のことだった」

 

 世界維持機構ワールドプロセッサをして予想外と頭を抱えさせるなんて、ある意味倶楽部は偉業を成したと言えるのかもしれない。決して誇れない、誇らせてたまるかって感じの話だけれどね。

 そうして現世の一部の人間、概念領域の一部の存在によって会議を開くことを余儀なくされたシステム領域だったわけらしいけど……具体的な今後の方針、処置については一昨日決定したみたいだった。

 

 ちょうどおかし三人娘や始原の4体とダンジョン探査している間に、システム領域はドタバタしてたんだなあ。

 そしてその結果、件の特別チームとやらの発足が決定したそうなのだ。シャーリヒッタが続けて言った。

 

「倶楽部に限らず委員会、あるいはシステムを想定外の形で悪用して現世秩序を乱す連中すべてへのカウンター。特別任務遂行チーム"インターフェイサー"の結成を、オレことシャーリヒッタが中心となって執り行うことになったんだぜ!」

「インターフェイサー……そこまで介入する気になったんだな、ワールドプロセッサも」

「実を言うと今回の受肉は、そのへんの事情も絡んでたりするんですよ、父様。ワールドプロセッサの補佐役としての務めと並行して、今後はそのチームを率いるリーダーとしての役割をも現世にてこなさなきゃならなくなったんで」

 

 特別任務──システムの領分を侵して現世秩序を脅かすあらゆる存在をターゲットにして動く、事実上の処理屋チームってことか。

 インターフェイサー。いわばシステム領域側の能力者犯罪捜査官といったところになるのかな? かなり思い切った決断に思えるけど、ワールドプロセッサとしてはそれだけ看過できない事態が起きていると考えたんだろう。

 バグスキル悪用だけでもアウトなのに、まさかのダンジョンコア加工だものなあ。

 

 チームのメンバーや規模は気になるところだけれど、そこはヴァールも同様みたいだ。

 ふむ、と腕を組み、彼女はシャーリヒッタへと問いかけた。

 

「そういうことか……だがそのインターフェイサーとやら、チームと言うからにはお前一人ではないのだろう? 何人で組織するのだ、すべて精霊知能なのか?」

「いや、そこは柔軟に行くぜヴァール。基本的には精霊知能から選抜するが、人間や概念存在からもメンバーを募るつもりではいるぜ! まあ無論、システム領域については伏せるけどな!」

「ふむ。となればWSO側としても秘密裏に存在をある程度、周知しておいたほうがいいのかもしれんな。少なくとも能力者犯罪捜査官達は知っておかねばなるまい」

「あー、たしかに。お互い行動中に鉢合わせたら、場合によっちゃことだもんなァ」

 

 実務的な方向に話がいくのはさすが統括理事ってところだな。即座にWSOとしてのスタンスを模索するヴァールに、シャーリヒッタも応じていく。

 現世で活動する以上はどうしたってWSOと足並みを揃える必要はあるだろうからね。そこはしっかり情報を共有して、二人でことに当たって欲しいところではあるよ。




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