攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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やっぱり三姉妹じゃないか(確信)

 電車が走ること十数分、つつがなく隣県は目的地の市場に一番近い駅……の、一つ手前の駅に到着。

 実は乗り換えはここでもあるのだ。うちの県はともかく隣県はローカル線一つとっても縦横に走っているから、路線図なんか見ていてもかなり複雑だったりするわけだね。

 

 電車を降りて一同、一旦改札を出る。県を跨いで横断するルートの路線と、県内を縦断するルートの路線とで改札の場所から異なっているという地下鉄駅だ。

 構造のややこしさは正直、何度か訪れた程度の俺ではなかなか慣れるものじゃない。それでも俺はともに歩く皆さん方に、知る限りの関連情報を雑談がてら話していた。

 

「ちなみに帰りを同じルートで帰ろうとすると、上りは一本道だった途中の駅が下りだと別ルートにも分岐してるから、乗り間違えると全然違う方向に進んだりするな。子供の頃一回、父ちゃんとこのへんを行き来した時にものの見事に引っかかっちゃって往生したよ」

「それは……酔っ払いならなおのこと引っ掛かりそうな話だな。やはり多少遠くても帰りは幹線鉄道に向かうか。あなたの言う通り、酔い醒ましにもなるだろうからな」

「今さらですけど、オペレータの鍛え抜かれた体を持ってなお酔っ払うってすごいですねー。どんだけ飲むんでしょう……」

 

 実体験を交えてあれこれ話すと、ヴァールは苦笑いして宴の後に言及し、リーベもそれに応じて呆れ気味に話す。

 レベルの関係上、それなりに肝臓も強くなっているだろう探査者がそれでも酔っ払うってどんだけだと思ってるみたいだね。

 

 たしかに、最たる例で言えばやはりマリーさんだけど肝臓壊すまで飲むってとんでもない話だよとは思う。

 非探査者でもまともな飲み方してなかったんだろうなと伺えるものを探査者、それもレベル1000オーバーの世界最強クラスまで鍛え抜いた身体でそこまでやらかしたんだから、もはや俺には想像がつかないレベルだ。酒の池でも作って一人で全部飲み干すとかした? って感じ。

 

 マリーさんはあからさまに視線を逸してファファファと笑っていらっしゃる。言及される度に誤魔化し笑いするあたり、自分でもかつての飲み方がヤバかったって自覚はあるみたいでそこはちょっぴり安心だ。

 もうそんな飲み方はしないって期待できるからね。

 

「お、次乗る電車の改札はここですか、父様」

「ああ、そこだけど……あのー、シャーリヒッタ? 公共の場で父様呼びはちょーっと、遠慮してもらえると助かるかなーって」

「え? あー……そうですよね、とうさ、もといパパはまだ子を持つ歳でもないですしねえ、見た目的には」

「パパもやめよう!」

 

 っていうかパパは余計にやめよう、お互いの見た目的にいかがわしさがブーストされる!

 次なる駅に向かうための改札に着いたところで確認してきたシャーリヒッタにお願いする。身内だけ、事情を分かっている者達の中だけでなら別にどう呼ぼうが構いやしないんだけど、公衆の面前で擬似父娘ごっこはいろいろ高度すぎて俺の世間体が本気でヤバい。

 

 そう思って頼み込んだらまさかのパパである。なおのこと社会的にまずいわ!

 ツッコミを入れると、シャーリヒッタはいたずらげに笑って俺の腕に引っ付いてきた。この子、分かってやってるなあ……勝ち気なんだけど案外人懐っこくてお茶目なところがあるみたいだ。

 面白がった声色で、さらに言ってくる。

 

「へへっ! 分かってますよ公平サン。オレはアンタの娘だ、アンタの言うことなら基本なんでも聞くぜ」

「いや、別に娘だからってなんでも聞く必要はないんだけど。っていうか密着もちょっと、TPOってやつをですね」

「孝行したいんですよ、オレも。あと腕組むくらい良いじゃないですか、親愛のスキンシップですよ」

「山形公平の言うことなら基本なんでも聞くとは一体……」

 

 呼び方はひとまず対応してくれたものの、距離感の近さについては改める気はないみたいだ。遠慮なしに密着してきて若干暑い。

 ヴァールが首を傾げつつも切符を人数分買う。まるで引率の先生みたいだ、頼りになるなあ三女さん。

 

 結局シャーリヒッタに抱きつかれ、なんなら反対側を悪乗りしたリーベにも抱きつかれて改札を抜ける俺達。切符を通す時だけ離れて、その後はまた抱きついてくるんだから奇異の視線がいろいろすごい。

 というか、構図としてはもはや両脇抱えられて連行される宇宙人なんよ俺。なんやかや両隣の2人も途中から面白くなってきたのか、ケタケタ笑いながら俺の手を取りはしゃいでるしね。

 

「ワハハハハ! いやー現世楽しいな! 体の調子も悪くねーし、姉貴に妹はいるし何よりとうさ、公平サンと直に触れ合える! こりゃ他の精霊知能達も来たがるわけだぜー」

「エヘヘへ! 三姉妹揃って宴会、宴会! 楽しみですねー次女ちゃん、三女ちゃん!」

「後釜まで図に乗って姉気取りなど……! どう考えても落ち着きぶりからしてワタシこそが長女だろうがっ」

「えー」

「いやどう考えてもヴァールは三女だぜー」

 

 怖ぁ……二人して三女ことヴァールをからかうもんだから、あの子ってばめちゃくちゃピキピキきてるよ。

 というか長女にはなりたいんだな。そもそも姉妹じゃないって前言ってたけど、すっかり三姉妹扱いが板についてきたなあ。

 生暖かい目でついヴァールを見つつ、ホームに降りる俺達だった。




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