見える子ちゃんと呪術最強の子   作:狼ルプス

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未だ知らぬ気持ち

「は…廃業…⁉︎」

 

突然だけど、ワタシの名前は二暮堂ユリア。ワタシにはこの世に見えざる者の姿が見える。怖いかって?答えはNO、物心つく頃からこれがワタシの世界だったから。そのせいで人との関係には苦労したし、気持ち悪がられていた。

他人にはない特別なチカラ。このチカラを持って生まれたことには意味があるはず。いずれは除霊とかできるようになって人々から羨望の眼差しを向けられるようになるのよ……それまではしっかり学ばないと…最高の霊能者…ゴッドマザーから!

 

と思ってゴッドマザーの経営している商店街の占いの館に足を運んだんだけど…

 

「マザーなら田舎に帰ったよ」

 

「な、なんでっ⁉︎」

 

「『力の限界を思い知った』とかで…」

 

そう、足を運んだらシャッターが閉められており、張り紙には『占いの館は廃業します』とか書かれていた。

 

「そんな…ワタシが出会った中で最高の霊能者だと思ったのにっ…」

 

ワタシが知る限りでは最高の霊能者だった。今までの霊能者は見える者からしてインチキ霊能者ばかりだったが、ゴッドマザーは違った。弟子入りも頼んだのだが…その際すごいパワーがギチギチに詰まった数珠をもらった。

 

「若い女の子二人組が最後の客だったな…あ、あの娘たちだよ」

 

向かい側の靴屋のおじさんが指差した方には二人組の女子がいた。

 

「(!あれは隣のクラスの……)」

 

「あーっ、数珠屋さん潰れてるー」

 

「ホントだ…」

 

「まぁ潰れてもしょうがないよね…あんな脆い数珠だもん」

 

「そうかな?占いは結構当たるって話だったけど…(ハナの防御力を上げるつもりだったけど、あれはただ単にあの数珠の効果が弱かったんだと思う…あのおばあさんに悪いことしたかな)」

 

「(なっ…何ですって⁉︎素人にマザーの数珠のことなんてわかるわけないっ…)」

 

 

ーーマザーなら田舎に帰ったよ『力の限界を思い知った』とかで…

 

さっきのおじさんの言ってたことが気になる。マザーに一体何が…

 

 

「そんなことより早くおしり大福買って帰ろーっ」

 

「ちょっ…まってハナ!」

 

するとハナと呼ばれた娘が走り出し、もう一人の娘も慌てて追おうとするが、その先にはさっきの占いの館に向かう途中に見た霊がいた。特に害はないから問題はなく、そのままいけばすり抜け通るだろう…そう思っていた…

 

「ハナっ、ストップ…背中にゴミがついてる」

 

「えっ、ホント?どこに?」

 

「うん、ジッとしてて、取ってあげるから」

 

そのまま背中についたゴミを取ろうとハナに近づいた途端…

 

『ヒィッ⁉︎アアアアアアッ⁉︎』

 

「(え?逃げた?)」

 

ワタシは今、あり得ない光景を見たかもしれない…

 

「はい、取れたよ」

 

「ありがとうみこ!」

 

そのまま二人は歩き出したが…ワタシは頭をフル回転させる。

 

「(今、何かしたの?アイツが近づいた途端逃げていった。さっきはあの霊に当たらないようあえて止めた?)」

 

ワタシの中に何かが芽生えた。そのままワタシはあの二人の後を追い、出来るところまで観察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ〜、ここはじゃあ…五条」

 

「はい」

 

五条暁だ。俺はいつも通り学業に励む高校生だ。今は数学の授業中、数学の先生が俺に問題を解く様に言った。俺はその問題を答える。

 

「正解だ。えぇ、五条が言った通りにだな、この問題は....」

 

担任は俺の答えを聞いて答えを黒板に書いていった。

 

「やっぱり五条くんカッコいい」コソッ

 

「うん、勉強のわからないところ聞いたことあるんだけど、すっごいわかりやすく教えてくれたし…」コソッ

 

「マジ?」

 

「マジマジ…五条君って将来どうするんだろう。芸能界とかも普通にいけそうなんだけど…」

 

「前に別クラスの友達が休日に五条君を見たって聞いたけど、普通にスカウトされてるって話だよ」

 

「やっぱりそうだよね〜、五条君モテモテだし…イケメンで性格もいいし…」

 

「断っていたらしいけど……あと、最近五条君に彼女がいるって噂を聞いたことがあるよ」

 

「え、彼女⁉︎五条君に⁉︎」

 

「そこ!私語は慎みなさい…」

 

「「す、すみません」」

 

小声で話していたクラスの女子は会話をしていたことがばれ注意される。会話の内容は気にしてなかったからわからないが…俺がなんとかって言っていたのはわかる。

 

『ジュギョウチュウハオシズカニィ」

 

 

「(はぁ、特に害はなさそうだし、放っておいても問題はないが、早く終わらないかな)」

 

俺の真横に霊がおり、無視していた。学校内にも普通におり、授業中に霊に何か言われるのも慣れてはいるが…目の前におられたら流石にうざい、見える者からしたら黒板に書かれている文字も見えないしな。そのせいで憂太と里香からノートを借りることもしばしばあった。しっかりノートに書いておかないと成績にもかかわるからな。

 

幸い、もう少ししたら四限目の授業も終わるので、あとは時間を過ぎるのを待つだけだった。

 

 

──♪〜♪

 

噂をすれば……

 

 

「今回はここまで、日直、号令を…」

 

 

「起立、礼」

 

四限目の授業が終わり、今から一時間は休み時間で昼食の時間だ。俺は今回弁当は持参しておらず、気分的にパンが食べたく、学校内の購買でパンとコーヒー牛乳を買って屋上で食べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昼パン、久しぶりに食べると美味いな」

 

俺は今クリームパンを食べている。シンプルだけどこれがまた美味しんだよ。いま食べている場所は学校の屋上だ。この場所は基本俺だけしかいないが、偶に俺以外で食事をする者もいる。

 

「ヤッホー暁君!」

 

「やっぱりここにいたんだ」

 

噂をすれば話しかけてくる人が。

 

「憂太に里香か、お前らもここでか?」

 

友達の憂太と里香のカップルだった。二人は弁当を持参しており、俺の横に座りこむ。

 

「珍しいね。暁がお昼にパンだなんて…」

 

「うん、いつもはお弁当なのに」

 

「気分的にパンが食べたいと思ってね。そう言う時ってあるだろ?」

 

「うん、僕も確かにあるよ。朝は基本パンなんだけど、ご飯も食べたくなる時もあるし」

 

「だろ?」

 

そのままクリームパンをもっきゅもっきゅ頬張っていると、隣は弁当を出し、食べ始める。

 

「はい憂太、アーン」

 

里香が憂太におかずを食べさせている。本当におしどり夫婦みたいだ。里香も男子にはモテるみたいだが、憂太以外の男子には全く眼中にはない。

俺の場合は唯一男友達で友好関係を築いている。この光景を見れば男勢は嫉妬する奴がいるだろうが、俺は暖かい目で見ている。

 

「憂太どう?美味しい?」

 

「うん、美味しいよ里香。はい、里香も…」

 

「いいの⁉︎それじゃあ、アーン。んー!おばさんの卵焼き美味しい!」

 

憂太もお返しに里香に卵焼きを食べさせた。憂太も一応家事も出来るみたいだが、基本的に憂太の母が作っているようだ。

 

この光景はもう見慣れてるしな…

 

俺もパンとコーヒー牛乳を飲み終え、壁に背をつけ腕を伸ばす。

 

 

「ところで暁君…」

 

「ん」

 

「暁君に彼女が出来たって本当なの?」

 

「はぁ?」

 

里香の言葉に俺は思わず訳の分からない声を出してしまう。彼女?なんのことだ?

 

「だって最近女子の間じゃ噂になってるよ?他校の女の子とカフェでお茶してるところを見たって子もいたらしいけど…」

 

「僕は里香から聞いて知ったけど…本当なのか暁?」

 

「いや、みことはそんな関係じゃ…」

 

「呼び捨て⁉︎そこまでの関係まで進んでるの⁉︎」

 

里香は俺がみこの名前を言うと驚いている。女子の名前呼びをするのは里香だけだった。

 

「確かに最近暁の雰囲気が少し変わってると思ったけど…そのみこさんと関係してるのかな?」

 

「……ちげぇって」

 

「「(あっ、ちょっと間があった)」」

 

憂太の言う通り、最近よくみこの姿がチラつくことがある。特に、あの子が笑った時の顔が時折浮かぶことがある。俺はあの時、不意にドキッとしたし、可愛いなんて思ってしまう事があった。

 

 

「(本当どうしたんだ俺?心拍が妙に早い気が…)」

 

 

 

 

「ねぇ憂太、これってもしかして……」

 

「うん、自分の気持ちを自覚してないみたいだけど…確かにこれは」

 

 

二人は暁に聞こえない声量で気持ちを察する。暁の表情は二人が見たことのない顔をしていた。

 

 

ーー暁

 

 

「(くそっ、わからねぇ…なんなんだよ、これ)」

 

 

暁はみこに初めて呼び捨てで呼ばれた時の事を思い出し、同時に暁の心臓が大きく脈打つ。ドキンドキンと早鐘の様に脈打つ心臓が、不思議と不快感はなく心地よくさえ感じた。

 

 

 

 

五条暁は確実にある病を患い始めるのだった。

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