私は赤嶺友奈、象頭町で生活をしている中学中学二年生。友達と一緒に人類に降りかかる厄災を払う鏑矢というお役目に付いてるんだ。お役目柄体力を使う事だから身体は鍛えてるしそれが趣味になってる所もある
「なぁアカナ。そんなに凄かったん? 昨日会ったっていう……えーっと」
「不知火さんね、不知火要さん。うん、凄かったよ、なんというか……動きが洗礼されてる感じ」
「へぇ、今度会う機会が合ったら是非とも弥勒とお手合わせ願いたいわね」
今私と一緒にいるのは私と同じお役目に付いてるシズ先輩こと桐生静さんと、レンチこと弥勒蓮華さん。私たち三人が人類を厄災から守る鏑矢として、世界に起こる厄介事を解決している、最初の頃はちょっと困惑することも多かったけど今でもすっかり仲良し……なのかな
「また会えるのかなぁ、不知火さん」
「アカナもすっかりお熱やなぁ」
「ここまで熱を上げてるとなると弥勒も興味が出てきたわ、その人に」
⇌ 神世紀 72年
赤嶺友奈という名前の少女と遭遇してから数か月後、年を越し神世紀72年になった頃。俺は相も変わらず白神教の施設壊滅任務を遂行していた。この団体そのものの規模がよほど強大であるが故か、いくら潰してもあの害虫がごとく無尽蔵に湧き出してくる
「はぁ……いつまで続くんだろうな……この地獄は」
そして、今日も今日とて依頼を遂行することになったのだが……今日は依頼主からの言伝はいつもと違った。本来なら一人で遂行するはずの任務だったが今回は複数で任務に当てれとのこと
「……来たか──ッ!」
いつも通りの外套を羽織って共同で当たるメンバーを待っているとそこにやってきたのは二人の少女。そのうちの一人にはやけに身に覚えがあった──というか一度脳にこびりついて離れなくなっていた
「あのー、もしかして貴方が協力者?」
「あぁ……お前達は?」
「私たちは鏑矢のお役目に付いている者です」
鏑矢……か、勇者みたいな称号か? それにしても──
「鏑矢ってどういう意味だ?」
「えっと、簡単に言うと人類に降りかかる厄災を払う……みたいな?」
「人類に降りかかる厄災……ね」
確かに大赦側から見たら白神教の奴等は人類に降りかかる厄災だな、大赦内に保管されていたバーテックスの細胞を盗み出しその力を使って人類を滅ぼそうとしているんだからそりゃそうか、けど──
「お前らのお役目はわかった……けど、お前らは人が殺せるか?」
「「「えっ?」」」
「……これからお前らが戦っていく中には化け物の力を使う人間もいる、それでもお前達は──それを殺す覚悟はあるか?」
俺がその言葉を伝えると、目の前にいる少女たちは言葉を詰まらせる。目の前にいる少女たちはここに至るまで訓練を積んできたんだろうと思うがそれでも人を殺す、命を奪うことに対する覚悟を問う必要がある
「もう一度に聞く、大義の為に……人を殺す覚悟はあるか?」
「……あるよ、覚悟はある」
俺にそう言ってきたのはこの前であった少女──赤嶺友奈、俺の事を真っすぐ見据えると手を前に出してきた
「これがお役目なら、私たちは戦うよ」
「弥勒も、お役目ならば戦うわ」
成る程な、瞳に映ってる決意は確かに本物らしい……それに、今回の任務は共同で当たれとのことだから。覚悟があるのならば同じ任務に当たるのは問題ない
「……それならいい、今回の依頼については聞いてるか?」
「一応」
「そうか、それなら標的についてはわかってるな……あぁ、そう言えばお前ら、名前は?」
「赤嶺友奈です」
「弥勒蓮華よ」
「赤嶺に……弥勒か」
赤嶺の方は名前を知っていたが弥勒……か、中々に珍しい苗字である以上、あの男と関りがあることは確定。まぁそれはその辺に放っておくことにするが今は最低限標的に付いてわかっているらしい。それならわざわざここで時間を潰している必要はない、さっさと終わらせて帰るだけ
「……行くぞ」
そこから、俺達三人で目的の人物がいる部屋まで向かっていく中で警備員やらなにやらの意識を刈り取っていく。その動きで理解できたが二人とも対人経験の練度はかなり高いらしい
目的の部屋の前までやってきた俺たちはハンドサインで合図をする、それに二人が頷いたと同時に扉を蹴破って突入。それに驚いたらしいターゲットの顔を確認する
部屋の中にいたのは白衣を着た男にスーツ姿の人間が二人、白衣の男が持ってるアタッシュケースの中には白い液体が入ったアンプルが見える──アレが今回の目的の物か
「貴様ら、大赦の人間か!?」
「ご明察」
「弥勒たちが来た以上、観念した方が身のためよ」
「たかが小娘に何ができる!」
白衣の男はこちらに向かって吼えてきているがそれ以外の人間は困惑している……恐らくだが研究成果を受け取りに来た別の場所の人間か、白神教を支援している組織の人間だろう、そんなことを考えている間に白衣の男はアタッシュケースから出したアンプルを自分に突き刺そうとしていた
「させるかよ」
自分の能力を使って血液飛ばし、白衣の男の肩に突き刺す。その痛みで僅かながらに動きが遅れたらしい白衣の男に接敵し拘束、ついでに肩の骨を外しておく
「あぁぁぁぁぁッ────!!」
痛みで悶絶している男を地面に組み伏せると何が起きたのか理解できていない様子の二人に声をかける
「お前ら、白神教の人間か? それともこの団体を支援してる組織の人間か?」
「わ、我々は──」
俺がそう問いかけると、何かを話そうとしたタイミングで男二人は糸が切れたように地面に倒れた。その様子を見ていた赤嶺と弥勒が倒れ伏した男へと近づき脈を確認すると首を横に振った
「……そうか」
倒れた男二人に対し、少しの間黙とうをした後に白衣の男を立ち上がらせる
「は、離せッ!」
「肩を外されてるのに随分と元気だな」
だが、離せと言われて離す奴は何処にもいない……今日の仕事は人を殺す仕事ではなかったな。殆ど俺が動いてる感じで終わった辺り大赦的に今後の任務がどういうものになるのかを見せるという目的もあったんだろう
その後の流れはいたって今まで通りだ、大赦の事後処理班に連絡をして終了、赤嶺や弥勒とも、その場で解散になった