合間の話なので今回は短いですが、ご了承ください
「バーテックスの...総攻撃?」
「はい、今回の神託で明らかになりました。まもなく四国へバーテックスの侵攻があります、それも...かつてない規模で」
バーテックスの総攻撃
星屑が大量に襲ってきたあの戦いよりも規模の大きい戦いが起こる
「心配ないさ、タマに任せタマえ!」
「私も頑張ります」
「勇者の力を見せつけてやるわ」
「みんなで力を合わせればきっと大丈夫だ」
若葉たち四人がそう言ったのを聞くと少しだけ勇気が湧いてきた
今この場にいない友奈も同じ気持ちなのだと思う
「今までよりも大規模な戦いになるなら、しっかりと作戦を立てないとな」
「そうだな」
「そういえば、いいニュースもあるんでした」
俺たちがどうすればいいのか話し合おうとしたところで、何か伝え忘れてたのかひなたが俺たちに声をかけてくる
「安芸さんが教えてくれたんですけど」
「「安芸さん?」」
その名前に心当たりがない俺と千景の二人がその名前が何なのかを聞くと、タマと杏が疑問に答えてくれた
「勇者の力に目覚めた日、タマに杏の場所を教えてくれた巫女さんだ」
「真鈴さんがいなかったら、私は今ここにいませんでした」
成る程、前に聞いたタマたちの話で杏がタマを助けられた最大の功労者はその安芸さんと言う人物だったのか
その後タマと杏の二人はひなたから安芸さんの話を聞くと、二人で盛り上がっていた
「ところでいいニュースって?」
「それはですね...」
途中で止まっていた話を聞くと柔らかい表情でニュースを告げた
「壁の外の生存者の反応...か」
壁の外がどうなっているのか分からない現状で、壁の外に生存者の反応が見つかった...その結果は壁の中にいる人たちにとっては希望になりえるのだろう。だが、今の俺たちにとって最優先するべきはバーテックスの侵攻だ、星屑相手でもあれだけ苦戦を強いられている俺たちにとって、今まで以上に連携としっかりとした作戦が必要になる
「今は自分に出来ることを」
全員で生きて帰る...それが俺の今の目標だ
それから数日経ったある日、若葉に話かけられた
「どうかしたのか?」
「この前はみんなに迷惑をかけたからな、その罪滅ぼしと言うかなんというか」
「そうか、だが俺は気にしてないぞ?」
「これは私なりのケジメだ、何かしてほしいことはないか?」
「何かしてほしいことか...特に思い当たらないな」
「ちょっとしたことでいいんだが」
「それなら、放課後釣り堀にでも付き合ってくれ」
「わかった」
放課後になった俺と若葉の二人は丸亀城から少し歩いた所にある釣り堀にやってくると二人で並んで釣りを始める、それからしばらく互いに話すことはなかったが若葉が俺に話しかけてくる
「要は...普段からこういう場所に来るのか?」
「そうだな、一人で何か考えたいときは結構来る」
「少し意外だ、要はあまり外出しないイメージがあったからな」
「確かに俺はあまり物を買わないが、意外と外には出るぞ」
「そうだったのか」
「あぁ、基本的に丸亀城の周りを散歩するか、自転車を走らせるかのどっちかだけどな」
時間が緩やかに進んでいる中、少し気になったことがあるなら聞いてみた
「そういえば、俺以外の人たちは何を頼んだんだ?」
「杏とは今度の侵攻をどう退けるかを、球子とは一緒に骨付き鳥を食べにいった」
「成る程な、千景と友奈は?」
「千景とは一緒にゲームをしたな、友奈には......」
「どうかしたのか?」
「いや、その...友奈には...耳かきをしてもらった...」
「耳かき?」
「あぁ...」
「詳しくは...」
「聞かないでくれ」
「わかった...それにしても、若葉も変わったな」
「そんなにか?」
「あぁ、付き合いの短い俺でも分かる...少し柔らかくなったな」
「そうか、ならそれは、みんなのお陰なのだろうな」
そういっている若葉の表情は晴れやかなものだった、俺はそんな若葉の方を少しだけ見ると、俺は再び釣り竿の先端に視線を戻した
「釣れないな...」
「そうだな...だが、こういう静かな時間も悪くないな」
バーテックスの大規模侵攻が控えた日の事、こんな穏やかな日がたまにはあってもいいのではないかと思いながら、再び竿を垂らした