普段髪を上げてる子が髪下した時の破壊力凄いですよね
あのシーンはその直後のシーン合わせて のわゆでもTOP3に入るレベルで好きです
『勇者様と巫女様による調査の結果、諏訪地域の無事が確認されました。現在大社は、諏訪地域の避難民へ物資を輸送する方法などを検討しています。また、諏訪以外の地域でも人類が生存している可能性が高いと見られ――』
「相変わらず嘘ばっかりだ。せっかくのうどんが不味くなる」
前回行った遠征の結果を大社に伝えたが、大社側は事実をそのまま報道せずあくまでも市民に希望を持たせるために偽りの事実を報道することにしたらしい、その判断は間違いでないとは思うがそれでもやはり複雑な気分になる
タマもその判断には納得がいっていないようでテレビを見ながら悪態をついていた
「人々の士気を下げないために情報を操作する...戦争なんかではよくあることですけど...」
「仕方ない...と割り切れたらよかったんだが、案外うまくいかないもんだな」
俺はそういうと目の前のざるそばを食べ始めた
啜りながら周りを見るが、やはり全員が今回のやり方には不満を持っているようだった...いや、元々少しずつ溜まっていった不信感が今回の事で表に出始めたって考えた方がいいか
かくいう俺も、色々支援をしてもらって感謝はしているが信用は出来ていないのが本音だ
「みんな、うどん伸びちゃうよ、ニュースばっかり見てたら!よーし、伸びるくらいだったら、私はタマちゃんの肉うどん食べる!」
「あっ!友奈、お前!肉まで食べやがったな!」
「残すくらいだったら、食べてあげた方がいいかなって」
「ちゃんと食べるつもりだったんだ!こうなったら、友奈のうどんキツネを頂く!」
「あー!一枚しか入ってないのにっ!」
タマと友奈がうどんをめぐって起こした争いを横目に見ながら、俺は残ったそばを啜る
「...うまい」
我関せずと言う態度でそばを啜り続けていると、ひなたと杏の二人タマたちのことを仲裁していた。どうやらさっきまでの暗い雰囲気はなくなったみたいだ、俺がそばを食べ終えたのと同時に友奈がみんなに言う
「あのさ!大社の人達が流しているニュースは、今は嘘だけど、私たちが本当にすればいいんだよ。バーテックスを全部やっつけて、世界を取り戻して!」
「あぁ、友奈の言う通りだ」
友奈の言葉に若葉は頷くと、携帯テレビの電源を切る
それと同じタイミングくらいだろうか、うどんを食べ終わった千景は誰と目を合わせることもせず食堂から出て行ってしまった
「そういや、タマも康司あるんだった。杏、午後の授業、欠席するって先生に言っておいてくれっ!」
「え?うん、いいけど...」
「サボりじゃないからなっ」
授業が終わり帰り支度を進めていると、杏が俺の方に近づいてくるのが見えた
「要さん」
「何か用か?」
「えっと、その...」
杏は口ごもっているようだったが、様子を見れば何が言いたいのかは大体分かる
「タマのことだろ?」
「...はい、最近のタマっち先輩どこかおかしいというか、何か隠してるみたいで」
「確かに、最近のタマは何か隠してるだろうな」
「要さんもそう思いますか!?」
「あぁ、多分俺たちを心配させないようにだろうが...逆に心配になった?」
「はい...」
「なら、本人に直接聞くのが一番だろう、杏が聞けばきっと答えてくれるからな」
杏は何も言わなかったがどうやら決心がついたらしい、もう大丈夫だろうと帰ろうとしたところで杏に服の裾を掴まれた
「...一緒に来てくれませんか?」
一人では不安な部分もあるのだろう、俺もタマとはだいぶ長い付き合いになってきたし心配だという気持ちもある
「わかった、俺も心配だからな」
「ありがとうございます」
宿舎の前で杏と二人、タマの帰りを待っていると杏が俺に話かけてきた
「そういえば要さん、記憶が戻ったんですよね」
「少しだけ...だがな」
「...そうですか」
「あぁ、意外と変わらないもんだな...けど、前ほど思い出すのが怖いとは思わなくなった」
「やっぱり、怖かったんですか?」
「そりゃあな、思い出したら俺の中のなんかが変わっちまうんじゃねぇかって思ってたし」
「あの、要さん...その口調」
「あっ、すまない...最近は気を抜くとな」
記憶を思い出してから...正確には遠征から帰ってきてから以前の俺の話し方とでもいえばいいのだろうか、とにかくそういったものが気を抜くと出るようになりはじめていた。みんなの前ではそこまで出ることはないが今回は少々気が抜けてたようだ
「私は良いと思います...その、新鮮で」
「そうか?」
「はい...今くらいは気を抜いてもいいんですよ?」
「なら、お言葉に甘えさせてもらうかな」
そんなことを話してると目の前からタマが歩いてくるのが見える
「あれ、杏に要。どうしたんだ?」
そう聞いてくるタマに対し、杏は何も答えない
だが俺が答えるのも違うと思ったので二人でじっとタマの事を見つめる
「な、なんだ...?タマ、杏を怒らせるようなことしたか?あっ、もしかして前に借りた本によだれ垂らしっちゃってたこと、バレたのか!?ぎごめん、読んでたら眠くなっちゃって...」
「え!?一ページだけへにょへひょになって返ってきたの、そのせいだったの!?」
「そのことじゃなかったのか!?しくじったぁ!」
どうやら杏に気圧されて別にバレてないことを暴露したらしい、実にタマらしい
「もう...本のことは後でもっと問い詰めるとしてそうじゃないよ。...タマっち先輩、何か隠してるでしょ」
「隠してるって...」
「今日の午後、授業でないで、どこいってたの?」
隠しごとを聞くというより、夫の浮気を問い詰めるみたいな雰囲気になってきたな、だが...
「ここで話すのもアレだし、部屋戻ったらどうだ?」
「そうだな」
「それじゃ、俺はここで」
「いや、どうせだから要も聞いてってくれ」
「後で杏から聞く...それに女子の部屋に入るのは抵抗が...な」
真面目な話とは言え、女性の部屋に気軽に入るのは気が引ける
「要なら大丈夫だろ、悟り開いてそうな顔してるし」
「ぶっ飛ばすぞ」
少し納得いかない部分はあったが、成り行きでタマの隠し事を聞くのに部屋の中に入る
タマは椅子に、杏はベットに、俺は地面に座るのを確認すると、タマは何処に行っていたのかを話始める
「病院に言ってたんだよ、今日は」
「病院?」
「そう、大社の関連病院。タマたちがいつも検査を受けてるとこ」
「漂着した俺が入院したとこか」
「そうそこ」
タマはかつて俺がお世話になった冬吾さんの勤務する病院に行っていたらしい
「何かあったの?」
「いや...怪我とか病気とかじゃないけ。けど...遠征で精霊の力を使った時からかね?なんか身体に変な感じしてさ」
「変な感じか...」
「おう、それで念のため、もう一度検査してもらったんだよ。けど、やっぱり異常なしだってさ」
「なんだ...」
タマの言葉を聞いた杏は安心したように息を吐いた、俺の方もタマに異常が無くて良かったと思う...けど、変な感じか
「でも...やっぱり変な感じするんだよなぁ...なんか言葉にはできないけどさ」
「何となく...わかるかも知れない」
「要もか?」
「あぁ...ほら、少し前に俺も使っただろ、切り札擬きみいな奴」
「そういえば...」
「言われてみれば使ってたな」
俺の言葉を聞いた二人も思い出したようだ、タマが感じてる変な感じとは違うと思うが、俺が感じていた違和感についてを話すには良い機会かも知れない
「あの切り札擬きを使ってから、妙にマイナス思考になるというか、気分が落ち込むんだよな」
「気分が...」
「落ち込む」
「そ、一人でいると悪いことばっか考えちまってな」
「それが、要の感じてる変な感じか?」
「あぁ、タマの感じてる変な感じとは違うかも知れないが、話しておきたかったんだ」
俺の話しを聞いた杏は俺とタマの方を見て神妙な顔をしていう
「タマっち先輩、それに要さんも...もし何かあったら、絶対に無茶しないでね」
「あぁ、わかってるさ」
「当たり前だ、杏も無茶はするなよ」
「うん」
何だかんだでいつもの雰囲気に戻った俺たちはその後少しだけ雑談をすると、俺は部屋に戻った。杏は今日もタマの部屋に泊まっていくらしい
翌日、体操服に着替えた俺たちは教室ではなく、外に集まっていた
今日は若葉が提案した切り札以外なんでもあり、優勝者は他のメンバーに何でも命令できる命令権を貰えるという模擬戦と言う名のレクリエーションをすることになったらしい
始まる前に実際の武器をしようとした若葉がひなたに圧を受ける一幕もあったが、レクリエーション改め、勇者王決定戦の始まりだ
「ところで、勇者王決定戦ってことは俺参加したらダメなんじゃないか?男だし、勇者じゃないし」
「要も私達からしたら勇者の仲間だ、問題ない」
まぁそういう事なら遠慮なしで参加しよう、やるからには全力で行く
「とりあえず様子見だな」
丸亀城の屋根の上で様子を見ていると、若葉と友奈の二人が戦いを始めていた
見える範囲で確認をすると、千景も同じように様子見、タマと杏は姿を見せない以上同じように隠れていると見るのが良いか
そんなことを考えていたら戦況が動くのが見えた、刀を飛ばされた若葉が鞘を使って隙のできた友奈に追撃をかけようとしたところを千景が止めた、二対一かと思ったらタマも来て三対一になったか
若葉とは差しで戦ってみたかったし、加勢に入るか
「よう、若葉。加勢はいるか?」
「必要ない...と言いたいところだが、頼むとするか」
「あいよ...と言うわけで三対二だ」
背中を合わせる形で俺と若葉は武器を構え、三人に向かう
「俺はどうすればいい」
「とりあえず三人の相手をして隙を作ってくれると助かる」
「若干無理のある要求だが...最善は尽くすよ」
居合の構えを取った辺りで若葉が何をする気なのかは大体察しがついた
俺は精々三人の目がこっちに向くように戦うとしますかね
三人に向かって走り出した俺がまず初めにリーチの近い千景を潰すことにした、途中でタマが旋刃盤を投げてくるが俺はそれを弾くと、同時に千景の振るってきた鎌の刃を槍の柄で抑えるとそのまま内側には入り込む形で接近し、一発を喰らわせようとしたが寸でのタイミングで友奈から妨害が入る
「助かったわ、高嶋さん」
「大丈夫!さっきのお返しだよ!」
「流石のカバー力...だけど、戦ってるのは俺一人じゃないだろ?」
その言葉と共に若葉が二人に向かって飛び出し、ノックアウトした
「流石の腕前だな」
「そっちもな...さてと」
「後はタマ一人か」
俺たち二人がタマの方を向く
「ここは...戦略的撤退だ!」
追う暇もなくタマが森の中に消えていくのを二人で見たのち、俺は若葉に話しかける
「どうする?俺たちも始めるかい?」
「いや、先にタマを倒そう、お前とはそれからだ」
「分かった、そんじゃ俺は先行していきますかね!」
若葉に先行して俺は森の中に入ると、タマを探すために歩き始める
それにしても生い茂ってるなほんと...
「ッ!」
森の中を歩いているとどこからともなく矢が二本飛んでくる
「杏も森の中に...って当然か」
彼女のリーチなら真正面切って戦うよりも遮蔽物を利用した戦い方の方がいいのは事実
再び探しだそうとしたタイミングで近くから動く音が聞こえてくる、警戒しながらそっちを見ると、若葉に向かって飛ぶ旋刃盤の姿が目に入った。ここからじゃ若葉の援護に行くのも無理だろう、案の定若葉も敗退か
「あたッ!?...えっ?」
後ろを見るとボウガンを構えた杏が立っており、近くには地面に落っこちた矢が一本...やっちまった
「気を抜きましたね、要さん」
「その通り、若葉が負けて一瞬やる気をなくしかけたのがダメだった」
「それじゃ、私はタマっち先輩と合流するので」
その後、俺も負けた事を知ったタマが杏とのチームワークの勝利などと言っていたタイミングで杏の矢が額にぶち当たり負け、結果は杏の優勝と言う事になった
「私のものになれよ、球子...」
「そんなこと言われても、タマには好きな人が...」
俺が一体何を見せられているのだろう
「待ちなよ!球子さんが嫌がってる!」
「高嶋君!!......って、なんじゃこりゃぁぁ!」
今目の前で行われている寸劇が優勝者である杏の願いだったわけだが、見てる方は結構気まずくなる...というか単純に恥ずかしい。とか思ってると恥ずかしさが上限を突破した球子が爆発した
「カットカットぉ!ちゃんとセリフ通り言ってくれないと!タマっち先輩」
「言えるかぁ!!...なんなんだよ!優勝者の命令が「お気に入りの恋愛小説の再現」って!しかもなんでタマが内気な少女役!?」
「このヒロイン背が低いって設定だから...」
「チビだって言いたいのか!?」
タマ程ではないが友奈と若葉の二人もこそばゆそうな表情をしてる、と言うより若葉は若干呆れてる
「男子の制服ってなんか変な感じだね」
「わざわざ衣装まで用意するとは、恐ろしいこだわりだな...」
「再現度を高めるために当然です!!」
「さっきのシーンはもう嫌だぞ!...と言うよりなんで要は何もしてないんだ!!」
「何もしてないんじゃない...出番がまだなだけだ」
全員が一瞬の沈黙した後、杏は少しむくれながら言った
「再現度に不満はありますが、よしとしましょう...では次の人は」
その言葉を聞いた瞬間、千景はビクっと肩を揺らす
「千景さん?」
「あんな恥ずかしいの...ぜ、絶対にお断りよっ!?」
見事なまでに動揺してる、THE・グールビューティの権化みたいな千景もさすがにこれには動揺するか
「千景さんの役は何がいいでしょう...と言うのは冗談で」
「えっ」
「千景さんには別の命令にします」
そういうと杏は千景に一枚の紙を差し出す
「これって...」
「みんなで作ったんだよ」
「学年が変わるだけで場所はずっとここだけどな」
「だが、形だけでもこういう行事は行った方がいい」
「私もそう思います」
「千景さんへの命令は...「それを受け取ってください」です」
杏が千景に渡したのは、手作りの卒表証書
みんなが思いを込めて千景の...大切な仲間の為に作った一枚
「そう...命令なら、仕方ないわね...」
千景は手作りの卒業証書を受け取ると、照れ臭そうに胸に抱いた
「では、そろそろ...シーン2行きましょう!」
「まだやるのか!?」
「もちろん、シーン10までありますし」
「多いな!?」
「私もどんどん撮ります!!」
「ひなたはもう少し自重しろ!!」
コント見たいなやり取りを見ていると、目を輝かせた杏が俺の方を向く
「シーン2!タマっち先輩のお姫様抱っこからスタート!!要さん、出番ですよ!」
「もう勘弁してくれぇ!!」
「よし、行くぞタマ」
「要もなんでそんなにノリノリなんだよぉ!!」
騒がしいけれど、安心する空気。
それを感じながら俺は、ここが一番落ち着くなと感じながら照れるタマをお姫様抱っこをする