不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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20話の投稿になります
ラストバトルですがあっさり目になりました


20話-決戦-

 眼前に見えるのは無数の星屑と複数の巨大なバーテックス

 

「雑魚は無数だが敵は六匹...今までとは非にならない程の大規模な戦いだが、必ず生きて帰ろう」

 

 若葉の言葉に全員が頷くと、それぞれ武器を構える

 

「杏、今回は切り札を使っても構わないんだよな?」

「うん...でもあんまり使いすぎないようにね」

 

「絶対に勝とうね!」

「えぇ...絶対に」

 

「要、死ぬなよ」

「そっちこそ、無茶しすぎて死ぬなよ? ...ここで一人欠けるのは目覚めが悪いからな」

 

「そうだな」

 

 そういうと眼前の敵に刀を向ける

 

「みんな...行くぞ!」

 

 

 その言葉と共に六人全員で星屑を蹴散らしながら大型の元に向かう

 

「地中にッ!」

「そいつは俺に任せてお前らは先に行け」

 

 地中に潜った一体を対処するために、俺はみんなを先に行かせ地に足を付ける

 

「出し惜しみはなしだ、血戦偽装―尾裂狐ッ!」

 

 切り札を使った俺は新たに現れた九本の尻尾を地面に突き刺し、こっちに敵の方に伸ばしていく

 

「見つけたッ!」

 

 敵の場所を捉えた俺は、そのまま尻尾を地中に潜った敵を引っ張り地中から引きずりだす...敵を目視するした俺は糸を手繰り寄せる感覚で一気に敵へと近づき槍を突き刺す

 

「地獄への片道切符だ...とくと味わいなッ!」

 

 突き刺さった九本の尾と一本の槍を敵の体内で茨のように伸ばし、内部から敵を破壊する

 身体を維持することのできなくなった敵が消えていくのを見ながらみんなと合流するため再び前線に移動を開始する、さっきの敵を潰している間にみんなとの距離がだいぶ離れた...急がないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「要くん、大丈夫だよね」

「不安ならタマたちがちゃちゃっと倒して、要の所に行こう」

「そうだね...そうだよね!」

 

 球子と友奈の会話を聞きつつ、敵に意識を集中すると大型の内一体がこちらに何かを飛ばしてくるのが見えた

 

「みんな気を付けろ! 攻撃が来るぞ!」

「その攻撃は、タマに任せタマえ! ...こいッ! 輪入道!」

 

 切り札を切った球子が巨大化した旋刃盤を構え敵の攻撃を防ぎ切った

 

「杏!」

「わかった! 。来てッ! 雪女郎ッ!」

 

 球子と切り札を発動した杏の二人が、砲撃をしてきた敵に対して合体攻撃を放つ

 

「これだけだと、まだ破壊力が足りない」

「それなら、私がブーストすれば、問題ないよねッ! 酒呑童子ッ!」

 

 躊躇いなく酒呑童子を下した友奈が、炎と冷気を纏った旋刃盤を思い切り殴ると、今までとは非にならないスピードで敵の方に向かっていった旋刃盤は大型を貫き、消失を確認する

 

「見たかッ! タマたちの力ッ!」

「よしッ! 全員でこのまま進むぞッ!」

 

 迫りくる星屑を倒しながら、大型に向かって進んでいく

 

「待ってくださいッ! 大型の数が少なくなってますッ!」

「まさか...要の方にッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、しつこい奴は嫌いなんだよッ!」

 

 みんなと合流しようとしていた俺の前に現れたのは二体の大型バーテックス、こっちに向かってくる反射板を蹴りで逸らすと、今度は背後から無数の矢が降ってくる

 

「危ねぇなッ! ...と言うか、連携攻撃とか聞いてねぇぞ」

 

 片方に攻撃を集中したらもう一匹がこっちに攻撃を仕掛けてくる...かといってもう片方が飛ばしてくる光の矢を避けると反射板で矢を反射してこっちに返す、ちょっとした小細工だが一人で相手するのは流石にキツいものがある

 

「どうすっかなッ!」

 

 八本の尾を地面に突き刺して残った一本を合わせて三角形を作ると、上に突き立てた一本と残り八本を繋げるように血液を使って細かい網を形成する

 

「さて、一時しのぎは出来るがこっからどうするか...」

 

 豪雨のように降りかかる矢を何とかしのいでいるがこのままだとジリ貧なのに代わりない...少しだけ考えてた後、他の勇者のように他の精霊の力を借りることを思いつく、出来るか分からないがやってみる価値はある

 

「偽装解除――ッ!」

 

 血戦偽装を解除すると同時に、降りそそぐ矢が確実に俺にダメージを与えていくがそんなことを気にしている暇はない。意識を集中させ、精霊と波長を合わせる

 

『珍しい客人だな...人の身であるが人でない者の力を持っている』

 

 何処からともなく、声が聞こえてくる。けれどそんなことを気にしている余裕今はない

 

『客人よ、早速だが要件を聞こう...(オレ)に何の用だい?』

 

 単刀直入に言うと、力を貸してほしい

 

『力を? ...そいつはまたどうしてだい?』

 

 俺の大切な仲間を守る為に

 

『そうかい、貸してやってもいいが...見返りはなんだい?』

 

 戦いが終わったら、うまい茶でも飲ませてやる

 

『はっはっは、そいつぁいい。自分の命とか言ったら断ってたが、その条件なら手を貸してやるとするかね』

 

 ありがとう

 

『いいって事よ、それじゃあ叫べ、(オレ)の名をッ!』

 

「あぁッ! 血戦装束――滑瓢(ぬらりひょん)ッ!」

 

 俺が繋がった精霊はぬらりひょん、人の家で茶を飲むだけの妖怪と言われたり、別の所では妖怪の総大将ともいわれている存在、敵の攻撃を受けながらもゆっくりと立ち上がると槍の形状を刀に変化させる

 

「ふぅ―――」

 

 意識を集中させると、ゆっくりと敵に近づき刀を振るう...新たに出現させた鞘に刀を納刀すると光の矢を撃ってきていたバーテックスは真っ二つになる、一体目が完全に消滅したのを見るとそのままもう一匹に近づいて、刀で真っ二つにする

 

 ぬらりひょんよりも尾裂狐の方が火力は高い、ならば何故ぬらりひょんの力を借りたのか。答えは簡単だ...ぬらりひょんの一太刀は一刀一刀が必殺、火力ではなく技で確実に敵を屠る、それがぬらりひょんと言う妖怪の力だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 要の方にいた大型二体が消滅するのを確認すると、とりあえひとまず息をつく

 

「要の方も大丈夫みたいだな」

「大型は残り一匹ッ! この調子で一気に――ッ!」

 

 そういった瞬間、急に千景が切り札を使い、私達全員に飛びついてくる、千景によって全員が元いた場所からそれた瞬間、巨大な火球が私達の横を通りすぎた、火球はそのまま海の方に飛んでいきそのまま消滅する

 

「なんだッ! さっきの攻撃ッ!」

「今のは...まさかッ!」

「えぇ...そのまさかよ」

 

 火球の飛んできた方に視線を向けるとそこにいたのは今までとは比較にならない程巨大なバーテックス、まだ所々は完成していないが私達が壁の外で見た時よりもその姿完全なものに近づいていた

 

「みんなッ!」

「要...アイツが」

「来たのか...ついに」

 

 眼前に聳え立つ巨大な敵を、私達は見る事しかできなかった

 

「みんな、あれ見てッ!」

 

 何かに気が付いたらしい友奈に指をさされた方を見ると、さっきまでこちらに向かっていたバーテックスが軌道を変え、超大型の方に向かっているのが見える

 

「文字通りここで完成させようって訳か」

「それなら...私達がやることは一つね」

 

 要と千景の言葉を聞いて、私も刀を握り直して全員の前に立つ

 

「敵将が出てきた、ならば私たちはその将を叩くッ! ...降りよッ! 大天狗ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 若葉の言葉に全員が頷くと、若葉も切り札を使い全員が精霊を卸した状態になる

 

「高嶋さん...大丈夫?」

「うん! 今は不思議とパワーが湧いてくるんだッ!」

 

 友奈だけでなく、全員の顔が今まで以上に気力に満ち溢れていた

 

「杏、何か作戦は無いか?」

「そうですね...あの大きさだとまともな攻撃で倒すのは難しいと思います...なので皆さんの攻撃を未完成の部分に集中させましょう」

「意図的に急所を作りだすって認識でいいのか」

「概ねそれで間違いはないです」

 

「...それなら、私は敵の陽動に回るわ」

「俺も敵の気を引き付ける役に回ろう」

 

「よし...行くぞッ!」

 

 俺と千景の二人は真正面から超大型に向かっていくと、炎を纏った星屑を俺たちに向かって放出してくる。千景と俺でその星屑を蹴散らしながら。彼女に話しかける

 

「それにしても...意外だなッ!」

「なにが...?」

「お前が攻撃に回らなかった事...少し前なら絶対に攻撃側に回ってただろうからな」

 

 未完成部分に向かっていく若葉たちを見ながら俺がそう言うと、千景が少し呆れたような表情でこっちを見てくる

 

「もしかして...こんなときに冗談で言ってる?」

「あぁ、少しでも気を紛らわせたらなと思って...なッ!」

「でも...そうね...確かに少し前なら、戦果を急いで...無効に行ってたかも知れないわね」

「今は違うのか?」

「えぇ...今は自分の為じゃなく、仲間の為に戦っているから」

「そうかい...変わったな!」

「貴方も...ねッ!」

 

 敵を抑えつつ、若葉たちが作戦を成功させるのを待つ...頼んだぞ、みんな

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、友奈、球子、杏の四人は千景と要の二人が敵を引き付けているうちに超大型の元まで向かう

 

「そろそろ接敵します...みなさん、準備を」

「あぁ」

「よっしゃ来た!」

「いくよ...ッ!」

 

 近づいてきた超大型を見上げながら、私達は武器を構え攻撃を始める

 

「先発は貰うッ!」

 

 その言葉と共に私は切り札によって出現した翼で、未完成部分まで近づき、思い切り刀を振るう。切り札によって強化された一撃は超大型の未完成部分を真っ二つに切断しダメージを与えることに成功する

 

「球子ッ! 杏ッ! このまま続けッ!」

 

「よっしゃッ! 行くぞ杏!」

「うんッ!」

 

 続けざまに放たれた二人の合体攻撃が私のダメージを与えた個所に当たり、超大型に少しヒビが入る、この調子ならいけるッ! 

 

「もう一息だッ! 友奈ッ!」

「うんッ!」

 

 急速降下で友奈のところまで戻り、手を伸ばす。友奈が手を掴むと再び超大型の場所まで飛び思い切り友奈の事を投げる

 

「いけぇッ! 友奈ぁぁぁッ!」

 

「全力...ッ! 勇者ぁパァァァァァァァンチッ!!!」

 

 友奈の放った一撃を受けた超大型はダメージを受けた場所を起点に少しずつヒビ割れていく、このまま壊れていくかと思った矢先、超大型は再びエネルギーを溜め火球を放とうとしているのが見えた

 

「不味い...ッ!」

「大丈夫だよ...若葉ちゃん」

 

 友奈がそういった瞬間、星屑の相手をしていた千景と要の二人が鎌と刀を振るいエネルギー火球ごと超大型に傷をつける。それが切っ掛けとなり火球は放たれる前に超大型の一部が砕けた

 ダメージを受けた超大型は少しずつ後方に移動すると、他の敵と共に壁の外へと消えていった

 

「勝ったのか...?」

「多分ですけど」

「うん、勝ったんだと思う」

 

 私の疑問に友奈と杏の二人が答えると、その答え合わせともいった形で少しずつ樹海化が解除されていく

 

「そうか...私達は、勝ったのだな」

 

「やったな! 杏!」

「うん...勝てて良かった」

「やったねッ! アンちゃん! タマちゃん!」

 

「最後のは流石に無茶させ過ぎよ...」

「見せ場が作れてよかったんじゃないか?」

 

 光の中で球子たち三人は喜びを分かち合い、要と千景の二人は拳を突き合わせ笑っていた

 

 私達は勝ったのだという安心感が、私の中に広がると同時に急に眠気が襲ってきて私はそのまま目を閉じる

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