不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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第肆話、投稿になります


第肆話 清らかな心

 樹海化した直後の俺達は前回同様に勇者に変身して、やってくる敵を捉える

 

「3体同時に来たか...」

 

 風先輩がそう言っているのを聞きながら、俺は樹海を見渡して師匠の事を探す

 

「...今回は師匠、いないのか?」

「いるよ、正直体調は最悪だけどな...」

 

 俺がそう言うとすぐに師匠は姿を見せる、けどその姿はこの前よりも辛そうに見える

 

「大丈夫ですか?」

「普通に動く分には問題ない、だが今の俺じゃお前らの援護が精々だな」

「それでも、助かります」

 

「よしっ、まず遠くの奴は放っておいて目の前の二匹を纏めて封印の儀に行くわよ!」

「遠くの奴の牽制は俺に...ッ!」

 

 俺たちが話している横で風先輩がそう言った直後、言葉をかけようとした師匠は急いで風先輩の前まで移動していつの間にか持っていた盾を構えた。その直後に聞こえてきたのは金属同士がぶつかりあう甲高い音

 

「危機一髪...にしても腕が痛てぇ」

「だ、大丈夫ですか?」

「あぁ、それより気を抜くな...来たぞッ!」

 

 師匠のその言葉を聞いた俺たちが急いでその場を離れると、大量の光の矢が降り注いでくる

 

「友奈さん危ない! 後ろです!」

「へっ!?」

 

 俺達と友奈の距離が少し離れた瞬間、近くにいた一体が尻尾を振るい友奈に攻撃を仕掛けた。樹ちゃんが教えたものの反応の遅れた友奈はそのまま尻尾を叩きつけられ地面に叩きつけられた

 

「友奈ッ!」

「お前らも気を抜くな、二の矢が来る!」

 

 師匠はそう言うと樹ちゃんの元に向かい盾を構えて光の矢を弾いた

 

「あ、ありがとうございます」

「無事なら良い、立てるか?」

「はい、大丈夫です」

 

 師匠が樹ちゃんを庇ったのを見る、俺は皆と離れ友奈の元に向かおうとしたら残り一体に行く手を阻まれた

 

「邪魔だッ!」

 

 蛇腹剣を振るい目の前の扇みたいなやつを攻撃するが思った以上に身体が固いのかろくにダメージを与えられない、一度地面に降りた俺は周りを見渡してみると風先輩たちも光の矢から逃げるのが精一杯で攻撃に転じることが出来てないみたいだ

 

「このままじゃジリ貧...なにッ!?」

 

 急な地響きのような音がした方を見るとあのサソリ擬きみたいなのが思いっきり倒れていた

 

「そのエビ連れてきたよーっ!」

「サソリでしょ...」

「風先輩、今それ重要じゃないと思います」

 

 とりあえず目の前のよくわからんバーテックスを牽制しつつ皆の元に戻ると友奈の他にもう一人、見知った奴が勇者服を纏っていた

 

「東郷先輩...」

「変身できたじゃん」

「えぇ...遠くの敵は私が狙い撃ちます」

「戦ってくれるの?」

 

 風先輩の言葉に東郷は頷くと後方に下がるとスナイパーライフルを呼びだしていた

 

「援護は任せてください」

「わかった、お願いするわ東郷」

「散開、手前の二匹を纏めてやるわよ!」

「「「OK~」」」

 

「みんな、不意の攻撃には気をつけて!」

「「はい!」」

「あいよ!」

 

「私のより返事がいいッ!?」

 

 俺と友奈で目の前のサソリを相手にするために動き始める

 

「友奈、大丈夫か」

「徹くん、うんっ! 大丈夫!」

「良かった...よし、さっさと終わらせよう!」

「了解!」

 

 まずは友奈が攻撃を仕掛け次に俺と言う順番で動き続ける、少しでも動きを止めるとあの尻尾の餌食になることはさっきの経験で理解したが故の戦い方だ

 

「徹くん! 後ろ!」

「やばっ...ッ!」

「せぇぇいッ! ...ふぅ、油断はすんなって、教えてなかったっけ?」

「少し優位になったんで、少し油断しました...」

「分かってるなら良し、次からは気を付ける事」

「わかりました」

 

 間一髪の所で師匠が盾を使って尻尾を弾いてくれたから何とかダメージを貰うことなく済んだけど、流石にさっきの油断は反省点だなと思いつつ動き続けてから程なくしてバーテックスが御魂を吐いた

 

「御魂が出た」

「こっちも出ましたッ!」

 

「私行きますッ!」

 

 そう言った友奈は御魂に攻撃を仕掛けるが、この前のと違ってやたらか軽やかに避けてる

 

「この御魂微妙に避けてくるよ~!」

「ならここは俺が...」

「いいえ、かわって友奈ッ! ...点の攻撃をひらりと躱すなら」

 

 風先輩はそう言うと飛び上がりながら手に持った大剣を巨大化させるとそのまま御魂に向かって振り被る

 

「面の攻撃でぇ...押し、潰す!」

 

 風先輩はそのまま大剣で御魂を押しつぶした

 

「いやったぁー! すごい風先輩!」

「自慢の姉です」

 

「さぁ! 次に行くわよ!」

 

 次に移ると、その御魂は大量に増える...流石にアレを一つ一つ潰していくのは面倒だ

 

「うわわっ、御魂が増えた!? どれが本物?」

「ま...任せてもらっていいですか...!」

 

 樹ちゃんがそう言うと一歩前に出て自分の武器が装備されている腕を構える

 

「数が多いなら...まとめてぇ、えぇぇぇぇぇぇい!」

 

 糸を出した樹ちゃんは無数に存在する御魂に絡みつけると糸を振るって切断すると、本物らしき御魂が現れる

 

「もう一回...えぇぇぇい!」

 

 残った御魂をもう一度糸で切断し終えると、御魂は砂となり消滅していく

 

「はぁ...やった...? や、やったよお姉ちゃん!」

「ナイス樹! あと一体よ」

 

 そういってからすぐ、風先輩のスマホが鳴った。どうやら東郷から連絡が来たようで、少し何か話した後、遠くにいたバーテックスが爆散する

 

「...ほんとごめんなさい」

「ほぇーっ、一撃必中~!」

「すごいな、東郷...」

 

 バーテックス側もさっきの一撃が効いたらしく、御魂を吐きだしたが...動きが速い

 

「この御魂、動きがはやーい! はやすぎるよぉ~!」

「くっ...まって、今なんとか...!」

 

 風先輩が動き出した直後、御魂が撃ちぬかれバーテックスは砂へと還る

 

「東郷先輩...!」

「撃ちぬいた...!」

 

 友奈と俺が東郷のいる方を向い手すぐに樹海化は解け、中学の屋上に戻った

 

 

 

「東郷さん!」かっこよかったよーっ、ドキっとしちゃった!」

「あぁ、めっちゃかっこよかった」

「...そんな、私」

 

「本当に助かったわ、東郷」

「風先輩...」

 

 俺たちのところに来た風先輩がそう言うと、東郷は風先輩の方を見て口を開く

 

「覚悟はできました、私も勇者としてがんばります」

「...東郷、ありがとう! 一緒に国防に励もう!」

「国防...はいっ!」

 

 少しだけ目の色が変わった東郷を見ながら、みんなの顔にも笑顔が戻る。それから友奈と東郷が何気ない話をしているのを見ているとあたりを見回した樹ちゃんが口を開く

 

「...そういえば、あの人は?」

「あれ? 師匠がいない...」

 

 さっきまで一緒にいた筈の師匠の姿は、中学の屋上にはなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...はぁ...流石に、少し無理したな」

 

 アイツらと別の場所に転移した事を確認すると、俺は耐え切れなくなって大きく地面に倒れこむ

 

「武器を軽く切り替えるだけでこの有様...流石に不便になってきたな...」

 

 樹海に入った段階で俺が召喚しておいた武器は前回と同じボウガンだったが、八重樫を守るために盾に切り替えた...今になって思えば今の勇者システムにはバリアがあるんだから、少しならと考えた所で、その思考を振り払う

 

「ダメだ...思考がマイナスに持ってかれそうになる、切り替えねぇと」

 

 くたくたの身体を動かして起き上がると、スマホのナビを起動する。一応四国全体の地理は頭の中に叩き込んであるがこの体調だとまともに頭が回らない、ナビの案内に従って歩きながら、誰に伝えるでもなく一人呟く

 

「せめて、この世代が戦いを終えるまでは...終われない」

 

 だから、もう少しだけ耐えてくれよ...俺の身体(不知火 要)

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