不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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第伍話、投稿になります
実質繋ぎ回なので短いです


第伍話 変化

 俺達が勇者になってから、早いもので一か月の時が流れた。風先輩の言った通りバーテックスの出現頻度はバラバラでアリ、最後に倒した相手から一か月は何事もなく日常を過ごしていた...そして今俺たちが待ち構えているバーテックスで五体目、気を引き締めていかないと

 

「きたっ...」

 

 友奈のその言葉を聞いた俺も視線を前に戻すと、新しいバーテックスがこちらに向かってくる

 

「あれが五体目...」

「落ち着いて、ここで迎撃するわよ」

「...ううっ、一か月ぶりだからちゃんと出来るかな」

 

 不安そうにしている友奈がそう言ったら樹ちゃんがスマホを片手に何かの説明を始めた

 

「言葉にするよりやって思い出したほうがいいだろ...」

「えぇい、成せば大抵なんとかなる! 四の五の言わずビシッとやるわよ! 勇者部ファイト!」

 

「「「「オー!」」」」

 

 そうして気合いを入れた直後、バーテックスが爆散した

 

「...あれぇ?」

「え、ちょっ...」

「東郷さんが?」

 

 友奈の言葉を聞いた後、東郷の方を見るが彼女が狙撃したようではない...というよりも彼女はまだ射撃をするどころか狙撃体勢に入ったばかりで狙いを定めた様子もなかった

 

「...私じゃない」

「それじゃ一体...」

 

「もしかして、あの子じゃないですか?」

 

 あたりを見回してみると俺達よりも更に高いところに立っていた少女を指さしてすぐ、彼女はその場から飛ぶとバーテックスの方に向かっていく

 

「封印開始!」

 

 その言葉と共に彼女は手に持った刀を地面に突き刺すと俺たちの目には見慣れた封印のカウントが始まる

 

「思い知れ、私の力!」

 

「まさかあの子、一人でやる気!?」

「御魂が出たよっ」

 

 風先輩が驚いた直後、バーテックスが御魂を吐きだしてすぐに御魂から煙が噴出される

 

「なにこれ、ガス!?」

「何も見えないよぉ」

「目くらましかっ?」

 

「そんな目くらまし...気配で見えてんのよっ!」

 

 御魂に向かった少女は臆することなく煙の中に突っ込んでいくと、どうやら御魂をぶった切ったらしい。煙の中からかすかにだが御魂を倒した時に落ちる砂が見えた。バーテックスを倒した彼女はそのまま俺達の前に降りてくる

 

「はぁ」

 

「えーっと、誰?」

 

 彼女は何も言わず真っすぐ俺達の方を見ていると狙撃ポイントについていた東郷も俺達に合流する。彼女が来るのを待っていたのか定かではないが勇者部全員が揃った所でようやく彼女は口を開いた

 

「揃いも揃ってぼーっとした顔してんのね」

 

 初対面からまさかの一言である

 

「こんな連中が神樹様に選ばれた勇者ですって...本当なんなの?」

 

 うわぁ、風先輩がすんごい顔してる、まぁしょうがない気もするけど...

 

「あの...」

「なによチンチクリン」

「チン...はぅ」

 

 友奈、リタイアであるなどと考えていると目の前の彼女はまっすぐ俺達を方を向いたまま口を開く

 

「アタシは三好夏凜、大赦から派遣された正式な勇者...つまりあなた達は用済み。はい、お疲れさまでした」

 

 一難あったかどうかは知らないけれど、一難去ってまた一難...で良いのだろうか

 

 

 

 

 

 という事があった次の日、正式な勇者こと三好夏凜さんが我々のクラスに転校してきました、転校初日は三好さんが質問攻めにあっていたことを除き何事もなく放課後を迎えた

 

「転校生のふりなんて面倒臭い。でも、ま、私が来たから安心ね、完全勝利よ」

 

 完全勝利かどうかは分からないけど、頼もしくはあるの...か? 

 

「なぜ、今このタイミングで? どうして最初から来てくれなかったんですか?」

 

 東郷の疑問はごもっともである

 

「私だってすぐに出撃したかったわよ、でも大赦は二重三重に万全を期している。最強の勇者を完成させるためにね」

「最強の...勇者」

「そ、あなた達先遣隊の戦闘データを得て、完璧に調整された勇者。それが私...私の勇者システムよ、対バーテックス用に最新の改良を施されている」

 

 なるほど、最新式...というか俺達のよりもアップデートを施された勇者システムって感じなのだろうか

 

「その上あなた達トーシロと違って、戦闘の為の訓練を長年受けてきている!」

「しつけ甲斐のありそうな子ねー」

「なんですって! ...まぁいいわ、とにかく大船に乗ったつもりでいなさい」

 

 なんかこれから、もっと賑やかになる予感がする

 

 

 

 

 

 

「という事があってですね...師匠、聞いてます?」

「ん? ...あぁ、わり、なんだっけ」

「今日会った事ですよ、新しい勇者が来たって話」

「そうだったな...それで、結構好みのタイプだってやつか?」

「違います、賑やかになりそうだなって」

 

 部活が終わった後の夜、師匠と二人でいつものように訓練をしているがいつもより師匠がボーっとしてる気がする

 

「師匠...ほんとに大丈夫ですか?」

「大丈夫だが、急にどうした」

「なんか今日の師匠、いつもよりボーっとしてる気がして」

「あぁ、そういう...気にしなくていい、少し感傷に浸ってただけだ。それより体を動かせー、今日のメニュー終了までもう少しだぞー」

「...はい」

 

 なんか納得いかない

 

「あ、そうだ...明日の放課後、お前ら勇者部の所に人連れて行くから」

「へっ!? 誰ですか!?」

「勇者システムの開発主任、勇者も全員揃ったみたいだし...話しておかないといけない事があるからな」

「分かりました、皆にも連絡しておきます」

「任せた」

 

 師匠の話しておかなければならないことがどんなことなのかは分からない。だけど、明日話されることは、きっと俺たちにとって重要なことだってことだけははっきりと分かった

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