不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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少々遅れましたが、最新話の投稿です


平和な話.1

 俺達の戦いが終わり、文化祭も終わり、勇者部は元の日常を取り戻していた

 

「お疲れさまでーす、八重樫徹、現着しました」

「結城友奈、ただいま到着しました!」

「東郷美森、到着しました」

 

「おっ、来たわね三人とも」

「みなさん、お疲れ様です」

「遅いわよ」

 

 部室にやって来た俺達三人を出迎えたのは、風先輩、樹ちゃん、夏凜の三人...というか夏凜は俺達よりも早く部室に来るとか、すっかり勇者部の一員になってるな

 

「...何考えてんのよ」

「いや別に?」

 

 相変わらず間の鋭い完成型勇者だことで

 

「そう言えば、あの二人は?」

「あいつらなら先生に少し呼ばれてるんで少し遅れると思います」

 

 俺たち勇者部は全部が元に戻ったわけじゃない...変わったこともある、それは決して悪いものではない

 

「それで、今日の予定は?」

「詳しい話は全員揃ってからね」

「分かりました」

「私はホームページの更新、終わらせちゃいますね」

 

 東郷はそう言ってパソコンを起動させ、俺達は各々出来る事をする

 

「ねぇ徹くん、迷子猫のポスター出来た?」

「あぁ、作ってきたぞ...少し師匠の手も借りたけど」

 

 カバンの中からポスターを取り出すと、友奈だけじゃなく風先輩も覗き込んでくる

 

「ほんとによく出来てるわねぇ...実際は不知火さんに全部やってもらったんじゃないの?」

「師匠にはソフトの使い方を教えて貰っただけなんで、正真正銘自分で作りましたよ」

 

 慣れない作業でだいぶ苦労したけど、何とか作り上げることが出来た渾身のポスター、疑われるのは少しムカッと来る

 

「ごめんごめん、それじゃポスターもできてるみたいだし、全員揃ったら――」

 

 風先輩の言葉が終わろうとしたタイミングで部室のドアが開く

 

「お待たせしましたー! 三ノ輪銀、ただいま現着です!」

「園子もいるんだぜー」

 

「おう、二人ともお疲れ様」

 

 そう、我らが勇者部に入ったのは俺と東郷の大切な友達である三ノ輪銀と乃木園子

 

「よしっ、全員揃った事だし勇者部...活動開始よ!」

 

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 

 新生勇者部、本日も絶好調で活動をしています

 

 

 

 

 それから部室でのミーティングなどを終えた帰り道、俺と東郷、友奈の三人でいつものように並んで歩いているとふと東郷が口を開いた

 

「何だか、不思議な感じ...」

「不思議?」

「東郷さん、どうかしたの?」

「なんでもないの...ただ、友奈ちゃん達だけじゃなくて、またそのっちや銀と一緒に学校に通えると思ってなかったから」

「それもそうだな、俺も東郷も失くしてた記憶取り戻して今度会いに行こうって話をしてたら転校して来てビックリした」

「確かに、急だったもんね」

「でも、やっぱり嬉しかった」

 

 あの日、あの場所で別れてしまって以来違えてしまった道が繋がり、東郷だけでなく園子や銀とまた同じ学校に通うことが出来る

 

「ほんと、人の縁ってのは分からないもんだな...」

「どうかしたの?」

「いや、師匠から言われたこと思い出してさ、”人の縁ってのはわからねぇもんだから、大事にしろよ”って」

「へぇ」

「不知火さんも、そういう事を言うのね」

「あの人意外と意味わからない事言うぞ?」

 

「誰が、意味わからねぇこと言うって?」

 

 その言葉を聞いてすぐに後ろを振り向くと、頭にチョップを叩き込まれた

 

「いってぇ!?」

「こんにちは、不知火さん!」

「こんにちは」

 

「おう、こんちわっつってももう夕方だけどな...それにしても八重樫、気配を研ぎ澄まして周りにも気を配れって言ったろう」

「日常生活でも...って、師匠何ですかその荷物」

 

 頭をさすりながら師匠の方を見ると、普段に比べる必要もない程の荷物を抱えていた

 

「あぁ、少し遠出することになってな」

「遠出...何処に行かれるんですか?」

「ちょっと宇多津までな」

「宇多津...どうしてそんなところまで?」

「仕事でな、割と長引きそうだからとりあえず八重樫に伝えに来たんだよ」

 

 成る程、という事は...

 

「トレーニングは暫くなしですか?」

「なしでもいいが、何があるか分からないから最低限鍛えとけ...じゃあな」

 

 師匠はそう言うと、さっさと歩いて行ってしまった

 

「師匠、仕事ってなんだろうな」

「長くなるって事は、よっぽど大変な依頼なのかしら」

「どうなんだろ...」

「まっ、師匠なら問題ないだろ」

 

 何だかんだで師匠が死ぬところなんて想像できないし、大丈夫だろ

 

 

 

 

 

 八重樫たちと分かれた俺は、そのまま大赦が送ってきた車に乗り込んで渡された資料に目を通す

 

「目的地はゴールドタワー...ねぇ」

 

 どうしてこんな所に向かわないと分からないが、大赦...というか上里からの依頼は無下に出来ない

 

「壁の外の調査に、防人...ま、詳しい話はついてからって感じか」

 

 これから起こる事が厄介事だというのは分かっているが、俺は自分に出来る事をするだけだなどと考えつつ車の窓から外を見ると、空高くに青い鳥が飛んで行っているのが、目に入る

 

「まぁ、程々に頑張りますかね」

 

 俺は少しだけ明るい気分になると、車に揺られながら宇多津に向かう

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