不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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勇者の章,2-2 壁外

「新しい勇者システムは、満開ゲージが最初から全部溜まっている状態だよ。精霊がバリアで守ってくれるけど、バリアを使うたびに満開ゲージを消費していく。ゲージは回復しない」

 

 勇者としての装束を纏った状態で、園子が新しい勇者システムについてを説明してくれた

 

「満開はゲージがいっぱいなら出来るけど、使えばゲージがゼロになる。そうなったら精霊がバリアを張れなくなる、この時攻撃を受ければ命に関わる。これが散華のなくなった勇者システムだよ」

「今みたいに全部説明してくれた方が、やっぱりいいわね」

「そうね、覚悟が出来るってもんよ」

 

「俺たちの頃はバリアなしだったし、そっちの方が気合いが入る」

「だな、さっさと須美を連れ戻して。みっちりお説教だ!」

 

 そして、勇者になったことで身体能力が強化されている俺たちはその足で、壁へと向かう。その途中で誰かに見られるかもしれなかったが幸いなことに今日は人通りもあまりなかったから目撃者は少なそうだ

 

「この先は、ズゴゴゴって感じだから気を付けてね」

 

 到着した壁から外に出る前、園子がそんなことを俺たちに言ってきた。ズゴゴゴとは……何とも独特な表現だけど多分、バーテックスの事を言ってるんだろう。只でさえ外は火の海な訳だし

 

「よっしゃ、それじゃ先頭はアタシと夏凜で務めるから。園子たちはサポートよろしくな」

「ミノさん、にぼっしー。あまり前に出ないでね」

「ん……えぇ」

「わかってるよ」

 

「樹、今晩はスペシャルうどん作ってあげるからね」

「うん。楽しみにしてるよ、お姉ちゃん」

 

「よし、行こう!」

 

 覚悟を決めた勇者部全員で壁の外に出る、相変わらず一面火の海で地獄絵図だが、心なしか前より火の勢い強くなってる気がする

 

「うわー……相変わらずの凄まじさね……」

「何度見ても、この世の光景じゃないわね」

「わっ! レーダーに反応あったよ!」

「えっ!? どこどこ!」

「何とかなりそうね、友奈!」

「はいっ!」

 

 園子の端末を覗き込んでみると、確かに東郷の反応はしっかり映ってる

 

「でも、意外と近いけど……」

「それらしい姿も戦ってる様子も一切ないな」

「この方向で間違い……えぇっ!?」

 

 友奈の見た方向をに視線を向けると、そこには捕らわれた東郷の姿……ではなく天高くその存在を放つブラックホールの姿があった

 

「ちょ、ちょ、何なのあれ!?」

「わーお……」

「あの位置……だよね?」

「うん、わっしーはあの位置にいるみたい」

「東郷さんが……東郷さんがブラックホールになってる」

「久しぶりに会ったらブラックホールになってる奴初めてだわ」

「お姉ちゃん……」

「いやー、さっすが須美。スケールが違うわ」

「もうスケールとかそういう話じゃないだろ、これ……」

 

「! 周囲にバーテックスもいるじゃない」

「行ってみよう」

「でも、どうやって……ッ!?」

 

 ブラックホールになった東郷に目を向けていると、俺たちに向かって白い塊が飛んでくる

 

「こんな時に……ッ!」

 

 友奈たちとは離れてしまったが、そんなこと関係なしに星屑はこっちに向かってくる

 

「おりゃぁッ!」

 

 今までとは違い五体満足になったうえで二年前よりもシステムの性能が上がってる、なら星屑に手間取る程弱くはない

 

「銀ッ! 久々に」アレやるぞ!」

「おっしゃ来た!」

 

 両手に持っていたチャクラムを重ね、背面を銀の方に向ける。銀はそれを足場にして更に高度を上げると、戦斧に炎を灯す

 

「せぇぇぇぇぇりゃぁぁぁぁぁッ!」

 

 両腕の戦斧を思い切り振るい周りに集まっていた星屑を消滅させると、壁に着地する

 

「ひっさびさだけど案外上手く行くもんだな!」

「神樹館のコンビネーションは今も健在って事だな」

 

 等と話していると、少し離れた所で光が収束し大輪の華を咲かせるのが見える

 

「園子のやつ、初っ端から飛ばしすぎだろ」

「とりあえず、アタシ達も合流しよう」

 

 俺たち二人も園子たちの所に戻る

 

「さぁ、これがわっしー行きの船だよ、乗って乗って!」

 

「じゃ、お邪魔しまーす」

「カッコいいお船です!」

「なんか東郷やアンタのだけずっこくない?」

「私のが一番カッコいいわよ!」

「満開の形は変わってないんだな」

「流石にそこまで変える余裕はないんだろ」

 

 とりあえず上に乗りこみ、いよいよ東郷の所に出発だ

 

「さぁ、このまま行くよー!」

 

 その声と共に、園子の船はブラックホールに向かって進み始めた

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