さてと、讃州中学に向かっている途中な訳だが……そろそろクリスマスだからか飾りつけも多くなってきた
「しっかし、こうなると嫌でもクリスマスってのを実感するな」
『なになに? 要はなんかクリスマスに嫌な思い出でもあるの?』
「嫌って言うか、単純にもう一年の終わりだなぁって思ってるだけだよ」
『ふーん、それもそっか。要恋人いなかったしね』
「うっせ」
そんなことを話しながら雪花と二人で話していると目の前に見知った車が止まっているのが見える
『どしたん?』
「知り合いが俺に用がみたいだ」
とりあえず車に近づいて運転席の窓を叩く、そうしてからすぐ運転席のサイドガラスが開いて春信の顔が見える
「珍しいな、こんな所で」
「……少し、耳に入れておきたいことがあって」
「耳に入れておきたいこと?」
「えぇ。どこかに行くのならお送りしますよ」
「それなら頼む」
耳に入れておきたいという話を聞くがてら春信に讃州中学に送ってもらう
「それで……耳に入れておきたいことってのは?」
「神樹様のことです」
「神樹の事? 随分と珍しいがそんな急を要することなのか」
「えぇ……実は──」
春信から聞いた言葉は、俺にとっても衝撃の言葉
「──神樹様の寿命が……尽きかけているようです」
「寿命が……尽きかけてるっ!?」
神樹の寿命が尽きる。つまりこの世界を守っている存在がいなくなるという事……それは世界の終わりが近いってことになる
「……それで、大赦の上の方はなんて?」
「今はまだ、今後の対策を話し合っているらしいです。上里さんにも情報は入っていないと……」
「現状で出来る打開策はなし……か」
神樹は名前の通り神様の集合体、人の身で出来ることがない以上どうすることもできないって所だろうな。けどまぁ、何をするってのが明確に決まってない以上俺も動きようがない
その後、讃州中学の近くまでやってきたところで車を降りる
「ここまでありがとな」
「気にしないでください。他の情報が入ったらまた連絡します」
『なんというか、まさかの話だったね』
「……そうだな」
規模がデカすぎてどうしようもないってのが本音だが──
「大赦は一体どうするつもりなんだろうな」
『さぁね、でも碌な事考えないって思ってるでしょ?』
「そりゃあな、今までの推移を見ちまってると嫌でもな」
『そう考えると、長生きをするもんじゃないって感じだね』
ホントにそう思うよ……本当に
「ねぇ友奈、飾り付け曲がってない?」
「……うん。大丈夫、大丈夫」
東郷救出を終え、無事メンバー全員が復帰した讃州中学勇者部も今やすっかりクリスマスモード。東郷は公式サイトをクリスマス仕様に変えていたり、友奈たちはクリスマスツリーの飾り付け、そして園子と風先輩は受験勉強……書くいう俺と銀はと言うと
「徹、今日はなんかやる事あったっけ?」
「今日は特になんもないな……クリスマス近いし依頼も打ち止めっぽい」
そう、俺や銀は特に何をするでもないのでボーっとしているだけである
「そういえば、何だかんだ言ってこうやって平和なのも久々かもね」
「あー……言われてみれば確かに」
「確かに、そうかもね……それより。何あの眼鏡」
「視力が落ちたそうです」
俺と銀の会話に入ってきつつ、ずーっと気になっていた風先輩の眼鏡について触れた。視力が落ちる程勉強してるって……そこに来年の自分の姿を幻視して少し嫌になる
「大変ね受験生、部室でまで勉強?」
「先週は色々大変で、勉強どころじゃなかったからねぇ。取り返さないと」
「陳謝ッ!」
風先輩の言葉を聞いた東郷が、目にも止まらない速さで土下座した。先週の云々に関しては東郷ブラックホール事件であるため本人からしたら申し訳なさで一杯らしい
「あぁもう! そう言うつもりで言ったわけじゃないの!? 気にしないでっ!」
「受験よりブラックホールの方が急務だからねぇ」
「陳謝ッ!!」
「「「「あぁっ!」」」」
自責の念で腹切りしようとしてる東郷を友奈たち四人で抑え込んでいるという光景を見ながら、騒がしい勇者部が戻ってきたことを嬉しく思いつつ、怪我しないように東郷の手からカッターナイフは回収しておく
「まる、まる、まる、まる、まるっと。よーし、最後の問題もはなまるはなまる、ふーみん先輩全問正解だ」
「いよっし、流石私っ!」
「アタックチャーンス」
「何が?」
「正解すると、女子力が二倍になります」
「やります」
なんというか、本当に騒がしくなったなと思いつつ眺めているとスマホに連絡が入る……相手は、師匠?
「どしたん? 徹」
「いや、師匠から連絡、校門まで来たから迎えに来てくれだって……ちょっと行ってくる」
「おう、いってらっしゃい」
とりあえず勇者部の部室から出て、校門まで向かう。冬も冷え込んで寒くなってきた何て思いつつ校門までやってくると少し厚手のコートを着ている師匠の姿が目に入る
「師匠ー!」
「おう、何だかんだ久しぶりか?」
「先週ぶりですねぇ」
「意外と直近で会ってたな」
「ボケるには早すぎるんじゃないですか?」
「うっせ」
師匠とそんな話をしながら部室まで向かっていると、ふと気になったことがあったのを思い出した
「そういえば師匠、今日はどうしてウチに来たんですか?」
「ん? あぁ、先週色々あったからな。病気でもこじらせてないか様子見に来たんだよ」
「大袈裟ですよ、これでも俺たちバーテックスを倒して東郷を救出した実力者ですよ?」
「それもそうか」
久々の師匠とのやり取りをしつつ、一緒に部室まで戻った。師匠はみんな元気そうなのを確認したらお土産だけおいてさっさと帰ってしまったけれど……というかこれ確認の為に来たんならホントに少し心配性が過ぎる気がする
勇者部からの帰り道、俺は隣を漂ってる雪花にどうだったかを聞く
「雪花、どうだった?」
『間違いないね、半分は結城ちゃんのことろにあったよ』
「やっぱりか」
あの場にいたのは東郷を除くと俺と結城の二人だけだったからそうだとは思ってたが……
『それより要、このままで良いの?』
「良いって、あのタタリのことか?」
『うん、流石に放っておくって選択はしないでしょ?』
「そりゃあな、とりあえず俺に出来ることは探してみる」
曇り空を見上げつつ、帰り道を歩く……無茶しなきゃいいなら、その範囲でやれることをやるだけだ
めっちゃ遅れてすいませんでした