不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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勇者の章,3-4 安否

 18時37分

 俺が病院まで到着した後、受付で八重樫たちの居る場所を聞いてそこまで向かうと、こっちを向いた八重樫が声をかけてきた

 

「師匠……」

「容体は?」

「まだ何とも……」

「そうか」

 

 他の奴等の様子も少し確認してみるが全員が全員、心配って感じ。正直自分の先輩がこんなことになっちまって心配すんなって方が無理な話だが……などと考えていると少し息を荒くした結城もこっちに合流する

 

「みんな──」

「友奈ちゃん」

「風先輩はっ」

 

 勇者部の奴等が見たのは緊急外来と書かれている案内板。予断を許さない状況なのかそれとも──

 

 

 19時46分

 そこからは会話をするでもなく、ただ時間が過ぎていくのを待っていた俺たちの耳に聞こえてくるのは何かを押す音、緊急外来からこっちに向かってきてるって事は多分手術が終わったのだろう。そう予想していると案の定かなり重症だが意識ははっきりしてそうな犬吠埼姉の姿が俺たちの目に映る

 

「お姉ちゃん」

「いや、参ったまい──っつ」

 

 大丈夫そうに振舞おうとしても今回の事故の痛みが抜けきってないのか、痛みで僅かに顔を歪めた。それを見た勇者部のやつらは心配そうに犬吠埼姉の事を見ていると、あっちもそれに気が付いたらしく改めて話始める

 

「大丈夫、大丈夫だから。いきなり飛び出してくるんだからなぁ、信号無視すんなっての」

「でも──」

「樹……みんなごめんね、不知火さんまで……」

「気にすんな、一応顔見知りが事故ったって八重樫から聞いたからな」

「まったく、人騒がせなのよね」

「ちょっとは労わりなさいよ」

 

 彼女が無事だってのがわかったからなのか、心なしか張り詰めてた雰囲気が柔らかくなった気がする

 

「あの、命には……」

「それは大丈夫だから、大袈裟ねぇ」

「でも、受験生になんて酷なことを──」

「それは言わないでっ、試験は受けるから、絶対受けるからっ」

「入院するんでしょ」

「ほんの一二週間だからっ!」

「病院内ではお静かに」

「ぁぃ……」

 

 彼女の寝ている台を押していた看護師は、犬吠埼妹の方を見ると声をかける。どうやら入院の手続きや諸々があるらしい、時間も時間だし流石にここで解散、見舞いは後日になるだろうって事で勇者部の奴等と別れた俺は一人というか正確には人間一人に幽霊一人となったのだが──

 

「妙だな……」

『妙って、もしかして事故のこと?』

「あぁ、彼女たちは勇者システムを持ってる以上、命の危機に瀕するようなことが起きる場合は勇者になってなくても精霊が守る筈なんだが──」

 color:#4f0595》『今回あの子は事故に遭って重傷の怪我』《/color》

「そう言うことだ……けど、考えるより先に聞いてみた方がいいか」

 

 そう言うと帰り道を歩きながら冬馬に電話をかけると、2コールで電話は繋がる

 

「もしもし、冬馬か。実は──」

『バリアの件ですよね、今こっちでも調査をしてる所です』

「そっちでも調査って事は、バリア自体に不備があったわけじゃないのか?」

『えぇ……と言いたいところですがアップデートの際にシステムエラーが出てる可能性も否定できないので今夜は徹夜で確認作業です』

 

 念には念をって所か

 

「わかった、それじゃあ何かわかったらまた連絡頼んだ」

『わかりました』

 

 電話を切って、とりあえず一息つく

 

 『あっちはあっちで大変そうだね』

「そうだな……けど、エラーかどうかまだわかってない以上──」

 『十中八九タタリだと思うけど、私は』

 

 雪花からその言葉を聞いた後、やっぱりその可能性が高いかなんて思いつつ再び足を動かして事務所へ続く道を歩く

 

 ──パキリ

 

 何処からか、そんな音が聞こえてきた気がした

 

 

 

 

 

 

 

 風先輩の安否もわかった病院からの帰り道

 

「道路交通法違反、許せない」

「命に別状がなかったようなものの……」

「精霊は何をしていたのかしら」

「うーん……」

「あまりのスピードで間に合わなかった、とか?」

「流石にそれはないだろ」

 

 信号待ちをしながらそんなことをみんなで話している訳だが、精霊バリアが動かなかったのはなーんか変な感じがする

 

「もしみんなの身に何かあったら、私正気じゃいられない」

「東郷……国防仮面もブラックホールももうなしだからね」

「くっ」

「ホントやめて」

「あはは、須美はいっつも極端だからなぁ」

「銀、それどういう意味?」

「えっと、あはは……」

「もうっ」

「…………」

「友奈?」

「へっ、何?」

 

 普段と変わらない調子だったが、俺たちの少し後ろにいた友奈の様子が可笑しい気がしたから話しかけてみると、彼女はハッとした様子で顔を上げた

 

「具合でも悪いのか?」

「う、ううん。そんなことないよ」

「友奈ちゃん、怪我や病気にはしっかり気を付けてね」

「うん」

 

 丁度そのタイミングで信号が赤から青に変わる。園子、銀、夏凜の三人とはここで別れて俺、友奈、東郷の三人は自分の家がある方に向かって歩き出す。少し後ろに視線を向けると友奈の方を見てた園子が少し不思議そうな顔をしていたのが気になったが。流石に時間も時間だしまた部活の時にでも聞くことにしよう

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