不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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勇者の章,4-4 彼女

 不知火さんから西暦の勇者……私たちの先輩の話を聞いて、今までの勇者がどれだけのものを背負ってきているのか。それがわかった

 私の身体を蝕んでる天の神のタタリは、自分以外の誰かに話してしまったらその人の身に不幸が訪れる……だから私が頑張らないといけないんだ、ようやく戻ってきた日常を守るために──私だけが頑張らないと

 

 そう思ってベットに入るけど、気付けば自然と涙が溢れてくる……本当は辛い、でも頑張らないといけない。どうすればいいのかわからないぐちゃぐちゃの感情に押しつぶされそうになりながら、私の意識は自然と闇に落ちていった

 

 

 

 

 

「……へっ?」

 

 私が目を開けると、そこは誰もいない勇者部の部室。どうしてここに居るのかわからないし、ずっと私の身体を蝕んでいた苦しみがなくなっていたからタタリの印のあった場所を見ると、印もきれいさっぱりなくなっていた

 

「──あぁ、夢だからか」

 

 少しだけ嬉しいって感情が溢れそうになったけれど、自分の意識が闇の中に落ちていく感覚を覚えていたからこれが夢なんだって確証が持てた

 

「おーい! 友奈ちゃーん!」

 

 ふと、部室の扉の向こうから誰かが声をかけてくる、ものすごく聞き馴染みのある声。その声の持ち主が部室を開けた瞬間、私は目を疑った。着ている制服は違うけれど、そこに立っていたのは私と瓜二つの少女

 

「私だよ、ほらもう知ってる!」

 

 一瞬彼女の言っていることが理解できなかったけれど、今日不知火さんの言っていた言葉をふと思い出した

 

──友奈……いや。高嶋はそうだな……結城、お前とそっくりだったよ

 

「高嶋……さん?」

「そうだよ! そっくりだね!」

「ご先祖何ですか……私の……」

「うーん、そういうのじゃないみたいだけど……」

 

 高嶋さんは少し考えこんだような表情を浮かべているけど、私にはまだまだ訊きたいことがある

 

「あの、夢……ですよね?」

「うーん、私も説明が難しいから……とりあえずそれでいいや!」

「それでいいんだ……」

「それじゃあ改めまして、私は高嶋友奈。貴方は結城友奈」

「えっ、うん……」

「固いよー、まぁしょうがないよね、タタリの所為だ」

 

 高嶋さんは、今の私の身に起こっていることを言い当てた。どうしてそれを知っているのかわからないけれど。その事を他の人に話すのは──

 

「私になら、話しても大丈夫」

 

 私の考えていることを高嶋さんは読み取ったかのようにその言葉を私に向けて言ってきた

 

 

 

 

「私、祟られてしまったんだ……」

「東郷さんの身代わりになったこと偉いと思うけど、それで天の神がイラっとしたみたい」

「イラっと、そんなことで?」

「うーん、私も長いこと神樹様の中から見守ってたけど、神さまって気まぐれでよくわかんないよ」

「神樹様の中から……見守ってた?」

「うん、私だけじゃなくて。若葉ちゃんにひなちゃん、たまちゃん、あんちゃんにぐんちゃんもみんな……ずっと見守ってた」

 

 高嶋さんが言ってた名前はきっと一緒に戦っていた西暦の勇者や彼女たちを支えていた巫女の名前なんだと思う、でも……と言うことは──

 

「貴方は、魂なの?」

「正直自分でもよくわからないんだ、あっ、でもオバケじゃないよ……いやオバケか」

「悩まないで話を続けて……」

「っと、そうだった。今日来た目的なんだけどね──友奈ちゃんのタタリ、私が引き受けようか?」

「えっ?」

「神さまは怖くて気まぐれ、でも同時にぼんやりしてる」

「ぼんやり……」

「私と友奈ちゃんは別人だけど、神さまくらいの視点から見ると大体同一人物なの」

 

 言ってることが大きすぎてしっかりとはわからないけど、きっと天の神とか神樹様から見ると私と高嶋さんは見た目と以上に近い人って事なんだと思う。でも、私のタタリを高嶋さんが引き受けててしまったら

 

「高嶋さんは……どうなるの?」

 

 私の問いかけに、高嶋さんは何も答えなかったけど、その後にまた言葉を続けた

 

「未来を生きてるあなたが苦しむ必要なんてない」

 

 そう言った彼女の眼は……ううん、眼だけじゃない。言葉とか、何て言えばいいのかわからない部分も全部が、何故か西暦の話をしていた不知火さんと重なって見える

 

「ありがとう、めちゃめちゃ嬉しいよ」

「うん」

「でも……でもね、誰かに押し付けるなんて、その方が辛い」

「やっぱり私なんだね──」

「──うん」

「他の誰かに押し付けるなんて、その方が辛いよ」

「……うん、わかるよ。これから頑張れる?」

「頑張れないと思う」

 

 自分と限りなく近い彼女だから、彼女に限りなく近い自分だからこそ……唯一この場で自分の本音を話すことが出来た

 

そして…………他でもない彼女の前だからこそ、私は涙を流すことが出来た




【お礼】
2021年11月14日 0:44分
不知火要は勇者でない 西暦編1話が初めて投稿されました

そして今年の2022年11月14日 0:44分
不知火要は勇者でない この時を持ちまして本シリーズは1周年に辿り着くことが出来ました

西暦編から始まった本作も気が付けば勇者の章、完結の足音が少しずつ聞こえてきました

自分自身が結城友奈は勇者であるというコンテンツと出会い
二次創作という形ですが自分自身がコンテンツを発信する立場に立っている

コンテンツ自体が何処までも続いていくことを願いながら
私も一歩一歩作品完結という一つの終わりに向けて歩んでいきたいと思います


本作を読んでくださっている読者の皆様
この作品を読んでくださりありがとうございます

不知火要を、八重樫徹を、そしてこの世界を生きるキャラクター達を見守ってくださり

本当にありがとう、心の底から感謝いたします
出来ることなら、どうか完結までお付き合いいただければ幸いです

SoDate
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