不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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勇者の章,5-1 怪訝

 師匠から話を聞いてから二日後、そういえば初詣に来ていなかったことを思い出した我々勇者部一同がやってきたのは神社。去年は最後の最後に風先輩が事故るっている不幸に見舞われてしまったから今年こそそんなことが起こらない事を願うためにやってきた次第である

 

「何だかんだやってるうちに、年越して新年迎えてしまったわ……」

 

 全員で神社に集まって早々風先輩がそんな言葉を漏らしていた

 

「何よ、めでたい事でしょう?」

「良い女が一つ歳を取ったのよ。三月で卒業だし」

「もう一年居てくださっても良いんですよ」

「いや、それはちょっと……」

 

 年を明けてもいつもと変わらぬ勇者部……と言いたいところだがやっぱり友奈の元気がないように見える。それから全員で甘酒を飲む事になったのだが……風先輩と樹ちゃんが揃いも揃って場酔いするという珍事が起きた

 

「……やっぱ騒がしい方がいいな」

「どうしたの徹くん、急に」

「あぁ、いや……最近色々と聞いたばっかだったからさ。やっぱ平和なのはいいなぁって」

「そうね、やっぱり何事も平穏が一番」

「なーに二人して年寄りみたいなこと言ってんだよ」

「なんか二人がそうやって並んでるの久しぶりな気がするんよー」

「銀、それに園子も。あっちは大丈夫なのか?」

「風先輩も樹ちゃんも場酔い覚ましで休んでるとこ」

 

 銀からそう聞いて少し離れた所にあるベンチを見てみると座ってる犬吠埼姉妹と二人を看病してる友奈と夏凜の姿が見えた。場酔いするのも早ければ酔いでダウンするのも少々早すぎる気がする

 

「そういえば、なんだかこの四人で一緒にいるって言うのも久々な気がするわね」

「……そう言えばそうだな」

「確かに、最近はみんなと一緒にいることが多かったもんな」

「! じゃあさじゃあさ、どうせなら写真撮ろー」

「おっ、いいねぇ」

「それならカメラ係は俺がやるよ」

 

 四人で集まって久々に撮った写真は、何だがとても懐かしいものになった気がした

 

 

 

 

 

 そんな初詣、そして冬休みも終わりいよいよ勇者部活動も再開、最初の依頼はいつも通りの猫探し

 

「おーい、猫ー」

「なんか久しぶりな気がするな、猫探し」

「そうだな……何故かカメラマンが二人いるけど」

「慣れよう、いつもの光景だ」

 

 少し離れた場所にいる樹ちゃんが猫のモノマネをした途端もの凄い勢いで東郷と園子の二人が撮影を始めるなどというハプニングもありつつ猫を探す

 

「あっ、いた。おいでー、おうちに帰ろ―」

 

 少し近くに居た友奈が猫を見つけたらしくそう声をかけると茂みから猫が飛び出してきた。猫は上手く風先輩がキャッチしてとりあえず対象の保護には成功した

 

「友奈ナイス発見よ」

「あはは、怖がられちゃいました」

「子猫発見で依頼クリアね」

「それでは先輩、記念に一枚撮りましょう」

「おっ、いいね!」

 

 すっかり撮影係になった東郷が号令をかけて写真を撮る。そこからカラオケに行ったりしているうちに帰宅って流れになったんだが、途中で夏凜が友奈に話があるらしく俺と東郷は一足先に帰宅することになった

 

「東郷、最近ずっと写真撮ってるけどどんな感じになったんだ?」

「だいぶ潤って来たわね」

 

 そう言って東郷がスマホの写真フォルダを見せてくれた。確かに色々な思い出が集まってきている感じがしていい感じだな。歩きながら二人で見ている訳なのだがその途中で東郷が少し不審そうな表情を浮かべる

 

「どうかしたか」

「うん、やっぱり友奈ちゃんの様子がおかしい気がして……徹くんはどう思う?」

「いや、まぁ……俺も東郷と同じ意見だよ。友奈の様子はどっかおかしい気がする……元気がないというか」

「やっぱりそうよね」

 

 やっぱり友奈ガチ勢の東郷から見ても今の彼女の様子は少しおかしかったらしい。普段から底抜けに明るい友奈だって悩む事はあるだろう。けれどその彼女がここまで悩んでいる理由が一体何なのか……その理由を知ることになるのは、この時の自分が思っている以上に近い出来事だった

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