不知火 要は勇者でない   作:SoDate

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勇者の章,6-2 決戦Ⅰ

「やばいッ!」

 

 樹海、俺たち勇者部と師匠の眼前にいた天の神の初撃はレオ・バーテックスの使ってた特大の火球、風先輩の声で俺たち全員がその一撃を避ける

 

「アイツ、無茶苦茶ッ」

「お前ら全員先に行け、引き受ける」

 

 師匠はそう言うと、樹海を駆けあがると天の神の眼前に立った

 

「師匠、大丈夫なんですかッ!?」

「心配すんな!」

 

 師匠は問題なさげに言ってくるがどうにも不安を拭いきることが出来ない。少しだけ離れたところにいた夏凜は何か決意をした表情を見せると俺たちの方を向く

 

「アンタたちは友奈のところに行って!」

「ちょ、夏凜ッ!」

「私もここでアイツの相手をするからっ!」

 

 そう言うと夏凜も師匠の向かった場所まで行ってしまった

 

 

 

 

 目の前にいるのは天の神、相手にするのは中々に骨の折れる敵だがやるしかない

 

「さてと、それじゃあ始めますか──って、三好?」

「……私もここで、アイツの相手をするわ」

「いいのか? ここは俺一人でもなんとかなるが──」

「私たちを見区切らないで、友奈は絶対にみんなが助けてくれる、だから私は、友奈が帰ってくるまでここでアイツを食い止める」

 

 俺の横までやってきた三好の言葉からは、勇者部の奴等に対する信頼が見て取れる……成る程な、あんま会話ないって言ってた春信がそれでも嬉しそうにしてたわけだ

 

「それじゃあ……ついてこれるか?」

「当たり前でしょ──当代無双! 三好夏凜ッ! 一世一代の大暴れをとくと見よっ!」

「それじゃ俺も、初っ端からアクセル全開で行くッ! 力を貸せ──大天狗ッ!」

 

 夏凜の元には力が集まり大輪の華を咲かせ、俺の元には漆黒の羽根が舞い散りながら翼と陣羽織を形成していく。只一転、俺の方で異なっているのは今まで完全に俺の力をメインで構成していた外装は全部精霊の力頼り、言うなれば今の俺は自前の寿命を支払って西暦勇者の切り札を使ってるのと同じってとこだろう

 力を解放した勢いで高く飛んだ、俺たち二人は上空で浮かんでいる天の神に向かっていくとまず相手が放ってきたのは牛のドリル、現れたそれを夏凜が受けている間に回り込んで繋がっているワイヤーを切り裂く

 

「無事かッ!」

「この程度何でもないわっ! それより次来るわよッ!」

 

 身体を反転させて次の攻撃に備える、天の神が使ってきたのは蠍の尻尾。この感じを見るにデカいバーテックスの能力は大体使えるって考えた方が良さそうだな。無数の尻尾をかいくぐりながら近づいていこうとした瞬間、天の神が撃ってきた射手座の矢を撃ってくる

 

「危っぶなっ!」

「っ! ──バリアを……コイツの所為で──」

「三好ッ! あんま突っ走るなっ!」

 

 三好の所まで行ってカバーしようとしたが尻尾に邪魔されて迂闊に近づくことが出来ない。なんとか天の神の方に視界を戻すと閃光と共に光の矢が三好の元に降り注ぐ、あの攻撃方法は今まで腐る程見てきたからわかる

 

「三好ッ! 後ろだッ!」

「えっ──」

 

 咄嗟の事で反応が遅れてしまった三好の元に蟹の板で反射された光の矢が再び襲い掛かろうとするが、その直前で割って入った乃木が槍の傘を巨大化させて攻撃を防いだ

 

「園子ッ!」

「一人で前に出すぎちゃ駄目だよ、にぼっしー」

 

 とりあえずそっちは一安心、と言ったところでこっちはこっちで少し気を抜いた一瞬の隙を突かれて全方向から蠍の尻尾が迫ってきていた

 

「まずっ──!」

 

 迫りくる尻尾に対して少し反応が遅れたこともあり回避行動が遅れた、迫ってきた尻尾は俺の右腕、左足、そして背中をかすめそこから熱い感覚が伝わってくる

 ダメージを受けて更に鈍った俺の元に迫ってくる蠍の尻尾、アレを受ければ確実に命を落とすことは分かっていたがそれでも身体を動かすことが出来ない。このまま尻尾に貫かれて終わりかと思ったが迫ってきた蠍の尻尾は緑色の糸に貫かれる

 

「大丈夫ですか? 不知火さん」

「……すまない、助かった」

「気にしないでください」

 

 天の神からの攻撃が止まっている少しの間に、俺と犬吠埼妹も少し距離を離されていた二人に合流する

 

「樹、あんたまで」

「みんなで守りましょう、友奈さんが帰ってくる。この場所を」

 

 最初に見た時は姉の後ろに隠れる妹って認識だったが、少し見ない間に随分とたくましくなったらしい……最も、かかわり自体があんまりなかったから詳しいことはよくわからんが

 

 

 

 

 

 

 

 

 天の神を夏凜や師匠に任せた俺と風先輩の二人は、満開して現れた東郷と銀の船にそれぞれ乗り込んで友奈の元に向かう

 

「神樹様の方へ……この先に友奈がいるんだわ」

「友奈ちゃん……」

「須美! 風先輩後ろッ!」

 

 銀が背後を見て確認するとキャンサーが持っていた大量の盾に反射した光の矢がこっちに向かってくる。必死に避けて友奈の元に向かっていこうとするが中々に光の矢の追尾性能が高い

 

「面倒だな! 二人とも! ゲージ使ってなんとかするんで二人は先に行ってくださいッ!」

 

 このまま逃げてても埒が明かない、それならゲージを使ってでも二人を前に……友奈の元に進ませる。ゲージを全部使って両手に持っていたチャクラムを巨大化させ、風を纏わせるとそれを一つはt東郷の船の方に、もう一方を俺たちの方に展開して一時的に攻から守る盾にする

 

「抜けたっ! あとは進むだけ──って、今度はなんだよっ!?」

「何あれ……」

 

 一安心かと思ったら今度は空に穴が開いて中から炎を纏った星屑が大量に出てくる

 

「次から次へと……っ!」

「手数じゃ圧倒的に不利過ぎるでしょ……ってまずッ!」

 

 巨大化させたチャクラムを動かしながら星屑に対処してたが流石に巨大化+風を付与でエネルギーが長持ちしなかったのかチャクラムは元の大きさに戻ると自分の手元に戻ってくる。それを見た銀は東郷の方を見ると少し頷き、俺に声をかける

 

「徹」

「……了解」

 

 俺たちが船から飛び降りると東郷と銀の二人は乗っていた船を空の穴に向かって突撃させた。地上に降り立った四人、これから走って友奈のところに向かうことになるが勇者状態ならさして問題なし

 

「大丈夫か、東郷」

「大丈夫……行きましょう」

 

 東郷の言葉に頷いた俺たちは、友奈の進んだ方に向けて走り出す

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