ボーダー本部基地にいくつもある会議室の一つに城戸指令をはじめ幹部たちが集まっていた。開発室長の鬼怒田、メディア対策室の根付、外交の唐沢、防衛本部長の忍田が映し出された画面を見ている
そこには風間と戦闘をする澄人がリアルタイムで流れていた
「なぜ彼が? しかもこのトリガーはボーダーの物じゃありませんよね?」
「当然じゃ。だが、エスクードやシールドはこちらと同じものだがな」
最初は誰か分からなかった襲撃者だったが、風間隊の2人を落とした後に仮面を取ったことで正体が判明した。本部で後進の育成のために半年間いたため根付と鬼怒田は知っていた。だが記憶にあるトリガーと今見ているトリガーはまったく別物。さらに脱退時には返却もしている
つまり、今トリガーを持ってることはおかしなことであるということ
「城戸指令か忍田本部長はなにか知っているじゃありませんか? 確か彼も、旧ボーダーの1人でしたよね?」
疑問の答えを探している根付たちをよそに、唐沢はまるで答えが分かっているかのように城戸指令たちに問い掛けた
「…隊員の育成を始める際、彼は自身のトリガーを置いていった。玉狛支部に保管してあったはずだが…」
「なるほど。盗まれた、もしくは彼の手に渡った、というころですかね」
唐沢の予想通り何らかの手段で澄人にトリガーが渡ったというのが当った。当然保管が甘かった玉狛支部にも、その支部長にも責任を問われるのは避けられない。なにより、一般人でありながらトリガーを手にしたこと、ボーダーと交戦したことも併せて記憶処理はされることは話し合いをせずとも決定事項だった
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部下2人を倒され孤軍奮闘をする風間は徐々に追い詰められていった。メイン武器であるスコーピオンじゃ耐久性に劣るためまともに受ければ刃が欠ける。最悪砕けてしまう。それだけでなく
「っく…!」
振られる
「そらっ!」
跳んで回避すればブレードが飛んでくると考えた風間は、シールドを展開して防御をすることを選んだがそれは間違いだった。
「………なにっ!?」
ただ投げたわけじゃないことに今更気付いても遅かった。シールドでは防げないと考えて後ろに跳んで回避したが、待機していたブレードが飛来して両腕を切り飛ばした
「っぐ…!」
「これで終わりだ」
着地するが目の前には
「地面から!?」
形状を変化させることができるスコーピオンだからこそできる芸当。ましてや足裏から釣り針のように曲げて地面から攻撃してくるなんて澄人には予想していなかった
少しでもダメージを与えるという最低限の仕事を果たした風間は
「はー……アレは予想外だったなー…」
槍、槍の刃を曲げる、消えるトリガー、どこからでも出るブレード。ここまでの戦闘で澄人が知らないトリガーが4つもあった
「4年もあれば色々開発されてるよな」
引退してからの今日までそのままだった、なんてことはあるはずがない。開発部門が存在していることは知っているから種類が増えているのは当然だ。恐らく他にも知らないトリガーがあるだろうと予想すると、サイドエフェクトが反応して口の中が甘くなった
澄人は油断しないようにしないとな、と考えてから戦闘が行われている場所へ向かった
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迅を負った太刀川たちはやや劣勢だった。襲撃者のために風間隊をはずしたのか大きく響いていた
右手の弧月を横薙ぎに振ったら迅はバックステップで躱すが、左手の弧月で追撃していくと風刃を縦に構えて防いだ
「迅。
「なーんのことかな? オレは何もしていないよ?」
鍔迫り合いになったことで会話をする余裕が生まれたことで太刀川は澄人のことを聞いた。けれど迅は何もしていはいない。
だが太刀川は確信に近い自身があった。迅のサイドエフェクトは周囲の人間に干渉するだけで、本命の人間を動かすことができると
迅がAの前でイチゴアイスを食べれば、イチゴアイスを食べたいという選択肢が増える。AとBが買い物をしているときにAがイチゴアイスを選ぶ。するとBも同じ物を買うという選択肢が増えて選ぶことだってある
今回は
けれど断られことで予定通りトップチームを派遣することとなった。だがそれが迅の目的だった。自然な流れで澄人へ現在の状況を伝えることとなった
迅がしたのはそこまで。澄人が来るかどうかは本人の決断次第だったけれど
弧月を弾いてお互い距離を取ると奈良坂の狙撃銃の弾丸が飛んでくる。だが迅は当然のように身体を捻ることで回避。その瞬間に旋空を起動して襲い掛かる
「ぉっと!」
家の塀に飛び乗って躱すと太刀川が追いかける
「お前は何を考えている?」
「もちろんボーダーのためだよ」
ボーダーのためと言いつつも、今は敵対行動を取り、排除すべき
三輪隊が出向いたときにトリガーをコピーし
迅が言う「ボーダーのため」というなら守るのはおかしいことだ。太刀川は余計に考えが分からなくなってきた。いまやるべきことは邪魔をする迅や嵐山隊、そして襲撃者の澄人の排除だ
「っ!?…!」
力で迅を押し倒せばバランスを崩し、狙撃が当るかもしれない。追撃ができれば倒せると考えていたら、2つの
すぐに立ち上がると風刃の帯を2本消費して追撃する。屋根から壁へ、地面に下りると塀を越えてコンクリートへ真っ直ぐに進むと刃が飛び出した。横へ跳びながらシールドで防御するも完全にとはいかず横腹を切られる
「風間隊が…?」
『そうみたい。ダメージはけっこう与えたらしいんだけど、それでも倒せなかったみたい。今はレーダーから消えてるわ』
「…それは、結構ヤバイな」
太刀川隊のオペレーターの
高い連携を誇る三輪と米屋の攻撃を躱していたと報告を聞いていた。戦闘経験が高い
「やってくれたな、迅。あんな手駒を隠し持っていたとはな」
「清瀬さんは強いよ? なんたってヒーローに憧れているからね」
胸のうちでナイスと賞賛を送る迅。昔の澄人を思い出しても風間隊に勝てるかは不明。ブランクがあったにせよ3人とも撃破したのは予想以上だった。希望に満ちた未来に近づけるには後々行う予定だったのだが、大幅に省略された
この争奪戦の結果がどうなろうとも、迅は必ず澄人を守りつつ
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嵐山隊を追いかけた三輪・出水のペアは数の不利を出水の弾幕で補っていた。
「…っく!」
「っち!」
スコーピオンと弧月じゃ耐久力に劣るほうが負けるのは当然で、ヒビが入り始めたときテレポートで援護に行った時枝が強襲。シールドで防いだところを木虎が横に回りこんで斬りかかる。バックステップで回避、ハンドガンを引き抜いて時枝に撃っている間に、出水は
「っぐ! 嵐山先輩!?」
「大丈夫か木虎?」
「はい、助かりました」
トリオンの少ない木虎では出水の
『三輪くん大変よ。風間隊がやられたわ』
「なにっ!? それじゃ襲撃者の位置は分からないのか?」
『ええ、そうなるわね』
三輪隊オペレーターの
米屋・古寺への強襲に続いて迎撃に向かった風間隊の撃破。ブラックトリガー回収を命令された側からすれば、ほぼ玉狛の味方と考えるほうが納得できるからだ
出水の予想は当りで、隙を伺っていた廃マンションに待機していた
『まずいッスよ。襲撃した男、まっすぐそっちに向かってますよ』
『そうか。ありがとう、賢。そのまま監視していてくれ。風間隊を落としたということは狙撃は効かないと思う』
『了解ッス』
澄人はサイドエフェクトによって当たりの方向に行けば争いあってい場所の大体の位置が分かる。迷うことのない進み具合に佐鳥は報告し、嵐山はそれを聞いて狙撃ではなく監視を命じる。A級隊員をたった1人で相手するほどとなれば狙撃は防がれ、逆に位置が特定されてしまうことになる
それぞれが距離を取ったところで風間隊撃破の報告が着たので状況の整理と対応に思考する間が訪れた。再開の狼煙を上げたのは出水だった
「
「まずい、充!」
「了解」
両手にトリオンキューブを生成した出水は対象を追尾する
「なーんてな。そら!」
「合成しない!? っく!」
トリオンキューブは合成するのではなく、分割して嵐山と時枝に放ったのだ。ミスリードされた2人は無数の弾丸にフルシールドで防いだため身動きができなくなった
その隙に木虎を狙いに行った三輪。振り下ろされる弧月をスコーピオンで受ける
「っはぁ!」
「っ!」
力任せに押して倒すのもありだが、敢えてそうせず。三輪は片手を離し、代わりにハンドガンを取る。それに気付いた木虎もやられる前にやろうと改造ハンドガンを向ける。瞬間、同時に引き金を押し込んで撃鉄が雷管に衝撃を受けた音が響いた
「…っく」
「ッフ、外したわね」
木虎の放った弾丸が三輪の腹部に命中。超近距離だったこともあり正確に狙うことができなかった。三輪は外したと思い、今度はトリオン機関を狙おうとした瞬間だった
「っわ!?…
突然右足が重くなって体勢が崩れた。木虎の太ももには六角形の鉛が生えていた。敵の動きを重さで制限して優位性を得る特殊なトリガー。てっきり
『三輪くん避けて! 敵の攻撃が来るわ!』
『藍ちゃん逃げて!』
嵐山隊のオペレーターの
『木虎、後ろだ!』
嵐山の言葉で後ろを見た木虎は見た。ブーメランのように何かが回転している物が飛んできているのが。だが木虎は
「っっ…なん…で…!?」
「木虎を攻撃した…? 玉狛の味方じゃないのか?」
木虎はシールドを2枚張って防御することにしたが、当る直前で回避するような動きをして胴体を真っ二つにした。三輪はタイミングを合わせて跳ぶことで回避した
不思議な動きと味方じゃなかったのか? とすぐには理解できないようなことが起きてこの場にいる全員が固まった
「一人しか倒せなかったか…まとめてやられてくれたら楽だったのに」
木虎を
その予想は当りで、澄人は後1人か2人倒すのが限界だった
「清瀬さん!?」
「な、んで…アンタが…?」
姿を見た嵐山はC級時代にお世話になった人が現れたこと、三輪も同じだったが玉狛の味方をすることに疑問があった
「久しぶりだね嵐山くん、と………三好くん?」
「三輪だ。なぜ……
嵐山はテレビでも出ているし、部隊名にもなっているから覚えていた。だが三輪に関しては澄人の中では沢山いた隊員の1人、って程度の認識しかなかったのでしっかりと覚えられてなかった
三輪はボーダーに入隊してから経験があるからとトリガーの指導や訓練をしてくれた澄人を少なからず慕っていた。本部に行けばよく見かけていたから、派閥があると知ってからは本部側の人だと思い込んでいた。その為こうして敵として立っていること、玉狛の味方をしていることに苛立っていた
「ああ、三輪くんか。ごめんごめん……っ!」
名前を間違えたことを謝ると、脚に力を入れて一気に距離を詰め寄った。振り下ろされる
「っ!……答えろっ!! 清瀬さん!」
何がしたいのか? 何のために
このままでは嵐山や出水に攻撃されるかもしれない。風間のように地面を通して攻撃してくる可能性もあると考えた澄人は距離を取った
「オレは…玉狛の人間だよ。今も昔も…
「っ…友達だと……? ふざけたことを言うな!!」
自分も確かめるように落ち着いて三輪の言葉に答えた。口の中が甘くなったことで澄人は安心した。
それは
親切な人、意地悪な人、尊敬できる人、戦いが好きな人、正義に溢れる人など様々な人がいる。
あちら側の人たちを
嵐山は忍田本部長の命令によって玉狛の味方をした。だが澄人にはそんなことなんて関係ない。
「清瀬さん。
「関係ないよ。たかが
間一髪でテレポートで回避に成功した嵐山。味方のはずなのに攻撃したことに三輪も出水も驚いていた
「たかが…だと? 馬鹿馬鹿しい……? ふざけるな!!
最愛の姉を失った三輪にとって澄人の考えも行動も理解しがたいことだった。
危険な猛獣を檻に入れて安全の確保。脱走すれば捕獲か殺処分なのは当然のこと。
後ろで黙って聞いていた出水は水と油みたいだなと、そんな感想を抱いた。このまま話していても埒が明かない考え、戦闘を再開しようと攻撃態勢に入ろうとした
「三輪。どっちにしろそいつは敵なんだろ? だったらまとめて倒してしまえば、ぅわ、ちょ!?」
瞬間、出水を囲うようにエスクードが出現した
「なにっ!? しまった!」
話しながら澄人はこの場に残っている4人のポジションを確認していた。嵐山と時枝と三輪が
閉じ込められて上しか逃げ場がない。当然、出た瞬間に狙われるというのが分かっている出水は動けなかった
横を駆け抜けて行った澄人を三輪は追いかけたら、突然身体を反転して
「っく!?」
急な攻撃に態勢が整わなかった三輪は弧月を縦に持って防ぐも塀に叩きつけられた。澄人は出水を狙いにいくも、視界の端で三輪がハンドガンを抜くのが見えた。その程度ならシールドで十分と背中に張った。だがそれが間違いだった
「っ!? おもっ!? え、何コレ?」
駆けている途中で
全く知らないソレに澄人は困惑した。動きを封じる、もしくは制限させるトリガーなのは直感で分かった。だが分からなかったのは
シールドには干渉しないという仕組みは容易には解明できない。色々と考えては全てがハズレの苦味しか反応しない
「これでアンタはもう自由には戦えない。大人しく捕まって…! なんのつもりだ嵐山隊!」
ハンドガンをホルスターに挿し込んで弧月でトドメを刺そうとした時、嵐山がスコーピオンで斬りかかり、三輪はそれを躱した
「清瀬さんは玉狛の味方だ。ならオレたちの敵じゃない」
「悪いけど、オレはどっちの味方でもないよ」
澄人を守るように間に嵐山は立つ。だけどはじめから組織同士で争ってる奴ら全員を倒すつもりできた澄人は、トリオンのブレードを出して嵐山を攻撃し始めた
「っく、清瀬さん!!」
後退しながら時枝と一緒にブレードを弾いたりして凌いでいた。その隙に三輪は動こうとするが新たに増えたブレードに動きかけた足を止めた
「2本だけじゃないのか!?」
新たに2本が追加されて弧月で防ぎ、レッドバレッドで狙うもシールドと同じ干渉することなく通り過ぎた
オペレーターの月見はもしかしたら今がチャンスかもしれないと思い、出水に通信を繋げて指示を出した
『3、2、1…今よ!』
カウントダウンが終わった直後に出水は弾丸を射出。自身にもダメージが負わないようにしながらエスクードを削り、破壊すると残りの弾を一斉に放った
「っな!? シールド!」
まさか内側から破壊するなんて無茶苦茶な突破法を予想できなかった澄人は驚いた。咄嗟にシールドで防ごうとした。だけど出水が放った弾は石がガラスに投げたようにシールドが砕けた
「っは!?…!……
2枚目のシールドはないため被弾してしまった
出水が放ったのは
「嵐山さん!」
「助かった、充!」
弾丸は嵐山のほうにも飛ばしていて、時枝がシールドで守ったため被害はなかった
「はっぁぁ!!…!?」
トリオンブレードも消えて自由になった三輪は弧月を澄人に突き刺そうと接近した
レッドバレッドで思うように動けない澄人は、
数度の戦闘とダメージによるトリオンの漏出によって残りがもうなかったのだ
サブタイトル思いつかなかった・・・・