退屈な人生なのでVTuberになってみる 作:Urasake
それでもいいという方は、お楽しみいただければ幸いです
彼女は天才だった。
14歳で大学卒業。
IQ340、12ヶ国語話せる帰国女子。
運動神経も抜群で、100メートルを9秒台で走れるのだ。
部屋の隅には様々なジャンルの金のトロフィーが適当に1つのケースに詰められている。
そのすべてが暇つぶしで参加した大会だ。
そのうえ、容姿も整っている。
まさに完璧。
しかし、完璧ゆえに彼女は退屈であった。
みんなに期待されていた彼女だったが、現在は、ずっと家でゲーム、テレビ、動画、漫画などでだらけている。
いわゆるニートだ。
ニートといっても、お金は自分で稼いだもの。
そもそも、両親は11歳のとき他界しており株で稼いでいて、やはりというか株でも成功をしており、今じゃ豪邸に1人で住んでいる。
仮に彼女を知っている人に彼女のことを聞くと10人中10人がこう答えるだろう『ハイスペックニート』と。
ま、彼女に友達どころか、知人すらもいないのだけど。
…まりあ視点…
僕は加藤まりあ、趣味でニートをしているものだ…誰に言ってるんだろ?とうとう退屈さで頭がおかしくなっちゃったかな?
今見てるVTuber冬島雪音の生配信終了の時間がちかづいていた。
退屈な時間がまた来るのかと思うと自然にため息が出る。
しかし、今日はいつもと違っていた。
「冬民のみんなへ、今日は重大発表がありま~す。」
?何だろう?
「私の所属するデライトテルで二期生の募集がされます!!いや~どんな子が来るのか今から楽しみだよ~。」
コメント欄には様々なコメントで埋め尽くされていくなか、マリアもコメントを送る。
…雪音視点…
みんな盛り上がってるな~
重大発表を静かに眺めていると、1つのコメントが目に入った。
マルコス”55:配信はやっていて楽しいですか?退屈になりませんか?
マルコスさんからの質問は珍しいな~
マルコス”55…デライトテルを箱推ししてくれている古参の方だ。
初配信か今までの配信に至るすべての配信を生視聴してくださっている。
しかも全員だ。
配信日時がかぶっても同時視聴しているみたいだとマネージャーの暁さんも言っている。
しかし、いつも彼は挨拶以外にはほとんどコメントをしないのだ。
だからだろう、自然と目に入ったのは、
「おっと、マルコスさんからの質問は珍しね?」
…コメント
・出たな~幻の古参!!w
・名前を認知!!うらやましい!!
・↑幻?
・モンスターボールを構えろ!!w
マルコス”55:気になって…
↑野生のマルコスが現れた
↑野生のマルコスは草
マルコスは草タイプ!?
「えっと、質問に答えるなら、楽しいですよ!つらい時もありますけどそれ以上に同期や視聴者のみんながいて楽しいんです。」
…まりあ視点…
僕の質問に答えた雪音ちゃんを見て、僕は少しだが確実に嫉妬した。
セリフはその辺の配信者が言いそうな言葉だが、表情は本当に楽しくてしょうがないと言ってるような表情なのだ。
ずるい、憎い、あの人生を謳歌しているとわかる笑顔が。
だから、憧れる。
僕にもできるだろうか?
配信をしたら僕もあの笑顔になれるだろうか?
心が満ちていたあの顔に。
期待を胸にさっそく事務所に応募する。
その数日後
僕は事務所に行く用意をしていた。
一次審査が通ったので二次審査の面接に行くのだ。
好きな服でいいとのことなのでオレンジのパーカーを着る。
「さて、行きますか。」
家を出てすぐに近くのマンションの壁を自分で作ったワイヤーがんでのぼり、屋上からすぐ近くの建物の上に
「やっ!!」
飛び移る。
あとはショートカットになるように街のあらゆるものを使って走ってゆく。
「ホイッ、てい、よっと」
結果、車で45分の道のりをたった26分で着いたのだ。
「到ちゃ~く!!」
ついた人から面接を始めるらしく、すぐに案内される。
あいさつを交わし、面接が始まった。
今回は面接官3人がかりのようだ。
「まず最初の質問は、14歳で大学卒業したようだが、今はどんな仕事を?」
「ニートです。」
驚いたようで面接官が目を見開く。
「ニートねぇ、生活費は親から?」
「いえ、両親はすでに他界してしまったので、その一週間から株で稼いでいます。」
面接官が申し訳なさそうな顔で、
「すまない、いやのことを聞いたね。」
と、いうが気にしてないので大丈夫だと答えといた。
「次の質問だが、得意なことは?」
「今までしてきたことは全部できます。」
「すごい自信だね。」
「ええ。」
そのせいで退屈なのだから。
「最後の質問だ。」
…面接官…
「VTuberになろうと思った動機は?」
これが一番大事な質問だ。
一つ目の質問は気になることを聞いてその話からその人物の人間性を見ることを目的にしていた。
2つ目でどんな配信ができるかを
そして最後に、やる気と個性を知るためだ。
この3っ目の質問の答えによって落とすか、合格かの判断が大きく変わる。
それほどわが社にとっては大切な質問なのだ。
さぁ、君はどうだ?
「二期生の募集を知った時です。」
「つまり、その場のノリだと?」
はっきり言って落胆した。
またその場のノリでの応募かと。しかし、
「いえ、憧れです。」
その1言に期待が沸いた。
「あこがれ?」
「はい、僕は何をしても心が満たされなく、何かしてもその場しのぎで退屈なんです。」
表情から嘘ではないとわかる。
仮に嘘でもその演技力で人気を出せるレベルだ。
「そんなある日、雪音ちゃんが配信で二期生の募集を発表しました。」
あの日か…
「その時僕は思ったんです。配信は面白いのかと。退屈しないのかと。」
正直珍しいと思った。
応募するほどの人は大体配信は楽しいものだと考えてる人がほとんどだからだ。
何かきっかけでもあったのだろうか?
「なので、コメント欄で質問をしたんです。」
確かにコメントに質問があったな。
ん?ということは…
「きみがマルコス君!?」
「え?は、はいそうですが?」
驚いた。
事務所全員がマルコスは男の人だと思っていたが、まさか、こんな美少女だったとは…。
「途中で遮ってすまない。続けてくれ。」
「まぁ、それで、質問に答えてくれた雪音ちゃんのあの笑顔にはっきり言って嫉妬したんです。」
「ん?嫉妬?何に対して?」
てっきりこの時憧れたかと思ったんだが?
「あの画面越しでも心が満ちた人生だとわかるあの笑顔が、ずるく、憎く感じました。でも、だからこそ憧れたんです。あの表情ができる人がいるVTuberに。」
彼女のこれは歪んだ憧れだ。
だからこそ面接の答えは決まった。
…まりあ視点…
面接から数日後
まりあのもとにデライトテルから手紙がとどいた。
「さて、どうかな?」
手紙を開けるとそこには合格通知が入っている。
つまり、まりあはデライトテル所属のVTberになったのだ。