動き出す刻   作:屋根裏散歩

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今回は明石の趣味(士郎の車いじり)丸出しのお話
そして最後に特大のサプラ~イズが待ち受けてます。


第二十二話 明石

「さて、これでよし載せ替え始めますか」

 

私はオークションやメーカーのサービスセンターから取り寄せたパーツの入っていた空きダンボールの山を見ると気合を入れた。

 

「と、その前に士郎君の車の状態を見ておかないとね」

 

私は自動車整備工場の隣にある倉庫へと向かうことにした。

 

「あったあった、外観はこうしたのね」

 

私は外装の取り付け具合を確認していった。

 

「ヘッドライト周辺は前期型に…バンパーだけが後期型成程、後席ドアとトランクフードはツインターボの物と交換かぁ、まぁステッカーやエンブレム、スポイラー付きだからそうなるのね、ヘェ~アルミは初代ソアラのを使ってるの…ショックはカヤバ製セリカXX用に交換して少しだけ車高下げてるのかぁ、流用考えたわね」

 

私はまさかセリカのショックがつくとは思ってもいなかった。

 

「次は内装ね」

 

私は士郎君から預かっているスペアキーで鍵でドアを開けた。

 

「前席シートとハンドルはツインターボ用、後席とそれ以外の内装はエクシード用…このスイッチは、ヒーター付きドアミラーのなのね、TEMSのコントロールスイッチを使ってカヤバのショックを切り替えてるのかぁ…考えたわね、というかお父さんの入れ知恵だねぇ恐らくは」

 

私は感心しながらエンジンをかけると整備場のリフト迄車を移動させた。

 

「ツインカムエンジンの状態は良好と…このエンジンどうしようかしら、クラウンも同じだからいっそのこと…」

 

などと考えながら、リフトに車を乗り入れた。

 

「バッテリー切り離し、ヨシ!」

「燃料抜き取り、ヨシ!」

 

私は安全を確認すると、リフトを上げた。

 

「オイル漏れも無いわね、これなら簡単ね」

 

私はデフとプロペラシャフト、ドライブシャフトをスープラの物と交換した、勿論オーバーホール済みだ。

 

「足回りのブッシュやダストカバーも損傷は無いわね」

 

ついでにゴム製のパーツの損傷も確認していった。

 

「さて、ここからが本番ね」

 

私はドライブシャフトから後ろの交換と点検を終えると一休みした。

 

「明石いる?」  

 

士郎君がやってきた。

 

「は~い」

「これ差し入れ」

 

士郎君がサンドイッチとコーヒーを持ってきてくれた。

 

「ありがとう、小腹空いていたのよねぇ」

 

私は手を洗うと、サンドイッチを手に取った。

 

「これ…」

 

間宮が作ったにしては少しだけ整っていなかった、

 

「僕が作ったから…味の方は」

 

士郎君の手作りだった。

 

「美味しいよ」

 

私はコーヒーを飲みながら平らげた。

 

「ご馳走さま」 

「お粗末様でした、でどんな感じ?」

 

士郎君が聞いてきた。

 

「そうねぇ、エンジンとミッション以外は終わった所」

 

私はエンジンリフトに吊り上げられたエンジンを指さした。

 

「実はこのエンジン、クレスタ用の1G-GTEUじゃないのよ、タービンは問題なかったのだけど本体は一気筒死んでるみたいなの、だからスープラの1G-GTEUをオーバーホールして移植に切り替えたわよ」

 

そう言うと私はヘッドの降ろされたオリジナルのエンジンの前に士郎君を連れて行った。

 

「ここ見てバルブが欠けてるでしょ、そしてここ…ピストンに穴が開いてるのわかる、これでは本来の性能発揮できないわね、このエンジンから使える部品は予備として確保するけど」

 

私は簡単ながら状態を説明した。

 

「だからかぁ、確かにエンジンは掛かったけど、アイドリングが落ち着かないわけだぁ」

 

士郎君は納得した様子だった。

 

「さてと、エンジン載せ替えに掛かりますか」

 

私は作業に取り掛かった。

 

「この頃の車は楽でいいわぁ…エンジンルームに隙間がたくさんあって」

 

私はリフトを下げると車体からエンジンとミッションを切り離して、チェーンブロックを掛けて引き出した。

 

「エンジンとミッションのマウントに劣化は無いようね、マウントは移植で済みそうね…とその前にミッションは高圧洗浄しないと少し汚いか」

 

降ろしたミッションは多少泥で汚れていた。

 

「さてと、ラストです」

 

最後の工程、ツインターボエンジンを組み込むだけとなった。

 

「士郎君まだ居る?」

「いるよ」

「手伝える?」

「いいけど、何をすればいいの?」

「チェーンブロックを少しづつ下げてほしいの」

「わかった」  

 

私は士郎君にチェーンブロックの使い方を説明すると、

 

「それじゃ始めよっか」

 

士郎君の手伝いもあって、作業は早く終わった。

 

「手伝いありがとね、それじゃ感動の瞬間いきますか」

 

士郎君は運転席に座ると、イグニッションをONにした

 

「警告灯表示なし」

 

私は頷くと

 

「OKよ」

 

セルモーターの回転音が聞こえ、次の瞬間エンジンが始動した。

 

「排気温度、ヨシ!」

「ブースト、ヨシ!」

「油圧、ヨシ!」

「電圧、ヨシ!」

「水温、ヨシ!」

「エンジン回転数、ヨシ!」

 

エンジンは順調に始動した。

 

「次は各種灯火を点検、先ずはヘッドライト、ヨシ!」

「ウインカー、ヨシ!」

「フォグランプ、ヨシ!」

「車幅灯、ヨシ!」

「バックランプ、ヨシ!」

「ブレーキランプ、ヨシ!」

「オートライト動作、ヨシ!」

「各種室内灯、ヨシ!」

「士郎君、終わったわよ」

 

私は士郎君に預かっていた予備鍵を返そうとした。

 

「スペアキーは明石が持っていてよ」

「えっいいの?」

「いいよ、ついでに部屋のスペアキーも」

 

私は思わず泣き出してしまった、士郎君は慌てていたけど。

 

「ありがとう」

 

そして士郎君は一枚の紙を私に手渡してきた

 

「明石いや明海さん、これによかったら署名捺印してほしい」

 

 

それは赤い色で印刷された紙だった。

 

「婚姻届…私でいいの、オタクで…オ「明海さんしかいないよ」」

 

私は何回も頷くと署名捺印した。

 

「これからは大矢明海じゃなくて、稲葉明海だね、改めてこれからも宜しく」

 

そして士郎君は青い小箱を私に手渡してきた、そこにはダイヤの指輪が光り輝いていた、私は結婚したことを両親に報告しよう電話をしたら、

 

「実はお父さんも母さんも知ってたんだ」

 

どうやら両親は前もって士郎君から報告と挨拶を受けていたようだった。

 

「明海、幸せにね」

「うん………」

 

私はまたも泣き出した、翌日私と士郎君は役所に婚姻届を提出し、晴れて夫婦となったのです。

 




提出後、鎮守府に戻った二人を間宮達が出迎えたのはまた別のお話。
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