「木山大尉、連絡がある…昨晩僕と明石は婚姻届に署名捺印しました、午前中の商工会議所との打ち合わせついでに提出してきます」
それはいきなりというか、なんのロマンスもへったくれもない状況での結婚報告だった。
「はい?提督宜しいですか、せめてムードのある場所で出来なかったのですか、自動車整備工場でとかありえないでしょう!プロポーズするにしても色々端折りすぎです!」
思わず、私はお小言を言ってしまった。
「まぁ、それは置いておいてこの度はおめでとうございます」
私は今日の予定を提督と確認し提督と大淀、明石を送り出した。
「それじゃ行ってくる、留守は頼みます」
提督は明石の運転する車で出掛けていった。
「さて、それならこっちも準備しますか」
私は直ぐに扶桑姉妹と咲さん、間宮を呼んだ。
「ごめんなさいね忙しい中」
四人は構わないという返事をした。
「何かあったデスカ」
「実は昨晩提督と明石が結婚して、今打ち合わせついでに役所に婚姻届を提出にいかれました」
「………思ったより早かったネ」
咲さんがちょと驚いた顔をしていた、
「そこでなんだけど、ウェディングパーティーを開催しようかと……」
私はパーティーの企画を話した。
「それは良い考えですね」
扶桑が賛同してくれた。
「みんな賛成に決まってますよ」
山城も笑顔で答えた。
「会場は多目的ホールを使うとして…参加者と料理ですね」
「料理は私の実家が料亭なので両親に手伝いに来てもらうとして、あとは間宮さんの所もお願いすればなんとかなると思います」
扶桑が実家の応援を頼んでくれることになった。
「そうですね、家からも来てもらえばどうにかなりますね」
間宮も実家からの応援を頼んでくれるようだ。
「あとは参加者ね…両家の家族は勿論だけど、聞くと千歳さんと山城さんも親族だそうだから、そちらからも出席してもらうとして、ご友人は無理としてもこれ位かしらね」
参加者についても事前に家族の連絡先を聞いていたので簡単だった。
「警備の娘達は?」
間宮が聞いてきた。
「可能な限り参加してもらいましょう、後で陸自に警務隊の応援要請をかけてみます」
私は電話を隣接する陸自駐屯地へ掛けた。
「鎮守府木山ですが、来週の土曜日から日曜日迄の終日二日間警備の応援要請をお願いします」
私の依頼に電話口の陸自駐屯地司令は、
「理由を」
「それは当鎮守府提督の結婚披露宴を全員参加で行うためです」
私の答えに、陸自駐屯地司令は即答で了承してくれ、更に
「当日の警備担当は全員第三種夏服着装で配置します」
駐屯地司令が気を利かせて通常の作業服(迷彩服)での配置を避けてくれた。
「お気遣いありがとうございます」
「なに、気にしなくてもいいよ、婚礼イベントに迷彩服とか流石に…だからな、私も出席しても構わないかな」
「はい、お願いします」
私は駐屯地司令と詳細を決めると電話を切った。
その間にも山城や扶桑が各方面に電話での出欠をとっていた。
「提督のお父上並びに明石のご両親問題なしです」
山城が報告してきた。
「うちと間宮さんの両親から、料理の準備の為に前日から来たいと、許可をお願いします」
扶桑から宿泊許可要請が来た。
「許可します、宿泊は何時もの場所を」
「食材も近隣の商店街へ依頼、尚市長並びに商店会長と町長も参加の許可きました」
間宮が当日の料理用の材料を手配していたがその話を聞いた地元の有力者達から参加したい旨の話が来たようだった。
「勿論、許可します」
こうして提督にはナイショで話は進んでいった。
そして迎えた当日の朝
「提督、おはようございます、起きてこれに着替えてください」
私は提督の私室を訪ねると、有無を言わさず起こした。
「これは…??」
まだ寝ぼけ眼の提督と明石は私が退室するとそれぞれ着替え始めた。
「礼服?」
「ドレス?」
室内から疑問符が聞こえた。
「お二人共着替え終えたら速やかに出てきてください、時間がありません」
私は二人を急かした。
それから間もなく二人が出てきた。
「言われた通り着替えたけど…」
「それでは私に付いてきてください」
私は有無を言わさずに二人を多目的ホールへと連れて行った。
会場となった多目的ホールには、艦娘海軍連絡所所長、市長、地元町長、同商店街会長、陸自駐屯地司令、山城両親と祖母、千歳両親と祖母、明石両親、間宮両親、扶桑両親、提督父親、所属艦娘全員、警備兵全員と急遽保護施設から参列した最上と三隈の姿があった。
「それでは、皆さんお揃いになったのでこれより当鎮守府提督『稲葉 士郎』と工作艦艦娘 明石である『大矢 明海』の結婚記念パーティーを開催します…それでは新郎新婦入場!」
司会進行の衣笠に合わせてホールの入口扉が開かれた。
「二人共行っていって、早く」
私は二人を急かすとホールに入場させた。
このあとは飲めや歌えの大宴会となった…そして延々と続いた宴会の最後、
「みんな僕とあか…いや明海の為にこのような盛大な催しを企画してくれてありがとうございます、僕と妻である明海共々これからも宜しくお願いします」
提督と明石が頭を下げた。
「二人共お幸せにね」
私はそれを言うと、二人の手を取った。