「木山大尉、君に質問しても?」
僕はあの事件以降気になっていたことを木山大尉に確認した。
「はい、何でしょうか」
「君はいつ頃この鎮守府に着任というか、本来の陸奥と入れ替わったの?」
僕は疑問をぶつけた。
「私は提督の着任が決定した翌日の14時指定で………それまでは彼等のメンバーと鎮守府近郊で待機させられていました………渡すものがあるとかで、そして私が鎮守府に着いた時には前任というか艦娘『陸奥』はいませんでした」
僕はとある映像を見せた。
「木山大尉着任日の午前中に撮影された演習場の映像なんだけど」
そこには海上で演習に参加していた陸奥が映っていた。
「ということは、この日の午前中迄は艦娘『陸奥』は鎮守府に居たことになりますね」
木山大尉がそう云うと、何処かに電話をしていた。
「川内さん木山です、○月○日の正面ゲート通過履歴を出してもらえますか」
木山大尉が川内ににデータの提出を依頼した。
「恐らくですが、時間指定が有った事から考えると、昼くらいに外出してそのまま拉致されたと見るのが妥当かと………」
木山大尉の考えが一番納得のいくものだった。
「お待たせ」
川内がデータをプリントアウトして持ってきた。
「ここですね、ここで鎮守府から外出しています」
木山大尉が本来の陸奥の履歴を見つけた。
「そうか、ここで外出拉致されてセキュリティカードを奪われて君に渡されたのか」
「そうですね、このカードを渡されましたから」
木山大尉がセキュリティカードを取り出した。
「だけど、疑問もありますね…一応生体認証なので、静脈の登録はどうしたのでしょうか」
青葉の疑問に川内が答えた。
「艦娘海軍の鎮守府で使用されているセキュリティカードは何処でも登録出来ますから、事前に木山大尉の生体情報に書き換えられていたのではないでしょうか」
川内が説明した。
「海自の生体認証データを上書きしたということです」
更に追加説明を加えた。
「まぁ木山大尉のデータはそれで良いとしても、問題は本来の陸奥の行方か」
その場にいた、木山大尉、青葉、川内は考え込んだ。
「その陸奥の艦娘以前のデータは無いのですか?」
それまでは黙っていた間宮が口を開いた。
「あるのだけど………個人情報が出鱈目なんです」
川内が答えた。
「出鱈目とは?」
「はい、先ず記載されていた現住所は、存在はすれど同姓同名の別人ものでした、当然ながら本籍も同様にという有様で………これについては疑問がありまして、同姓同名が重なるなんてことあり得るのかという事です」
間宮がある疑問を口にした。
「それはおかしいですね、艦娘になる際には徹底した身元調査が行われるはずでは?」
「そこなんですよ、同姓同名がこうもポンポンと重なるとは私も疑問しか浮かばなくて」
川内ですら首を傾げた。
「歯科治療とかあれば………」
青葉が身元不明者の調査で基本的な方法を言った。
「残念ながら艦娘の場合無理です、なぜならお判りのように損傷すれば修復剤を使用する為に外科手術の跡から虫歯などの治療跡等が綺麗に消えてしまいますので」
間宮が答えた。
「行き詰まりか………だけど拉致された本来の陸奥の安否は早急に確認しないとならないか」
間宮が少し考えると、
「やはり、逮捕している木山大尉のご家族宅にいた彼らを尋問するのが近道ではないでしょうか」
間宮の言うとおりだ。
「諜報部に確認してみるか………」
と話している最中…僕の机の電話が鳴った。
「はい、鎮守府提督の稲葉です」
「私は諜報部の者です」
僕は、電話をスピーカーモードにすると会話を続けた。
「どのような用件で?」
「先日の艦娘『陸奥』入れ代わり事件ですが、調査の結果をお伝えします」
僕達は驚きを隠せなかった。、何故ならその事を丁度話していた時だったからだ。
「結論から言わせてもらうと、本来の陸奥については…目下我々も捜索しております、発見した場合ですが、原隊復帰となりますのでその際は受け入れをお願いします」
それだけ言うと諜報部からの電話は切れた。
「諜報部が動いていたのか、なら彼等に任せよう」
僕達はこの話を終わりにした。
後日、諜報部から報告書が送付されてきた。
それによると本来の陸奥はとある場所で発見され、事情聴取の為に諜報部へと保護されたそうだ。
「しかし、家族には脱走兵として説明されていたとは…酷い話だね」
僕は諜報部からの報告書を読んでいた。
「実家の座敷牢に幽閉とか………いつの時代だよ」
「旧家だそうですね」
資料によると歴史のある家柄だそうだ、だからなおさら艦娘となリ脱走兵となった娘を世間に晒すことが出来なかったようだ。
「家の面子か………」
そんな話をしている最中、内線が鳴った。
「はい、執務室」
青葉が内線に出た。
「来客………そうですか通してください」
青葉が内線を切ると、
「正面ゲートからで、諜報部からの来客だそうです」
暫くすると執務室の扉がノックされた。
「入ってもいいかしら?」
何となく聞き覚えのある口調で入室の許可を求められた。
「どうぞ」
木山大尉が許可すると扉が開かれ、そこには諜報部員と共に見覚えのある艦娘が立っていた。
「戦艦『陸奥』只今帰還しました」
諜報部員に付き添われて陸奥が鎮守府に戻ってきたのだった。
「陸奥、おかえり」
僕は姿勢を正すと、急遽作成した辞令を手渡した
「一等戦艦艦娘『陸奥』鎮守府への帰還を許可する、尚司令代行の任については解任とする」
陸奥が敬礼し、辞令を受け取った。
「一等戦艦艦娘『陸奥』本日付けをもって、当鎮守府艦娘艦隊並びに警備艦隊旗艦の旗艦補佐並びに僕並びに副司令不在時は司令代行を命ずる」
僕は同様に作成した新しい辞令を陸奥に手渡した。
「旗艦補佐並びに司令代行の任、謹んでお受けいたします」
こうして陸奥が鎮守府に復帰した。
「それと、木山大尉にも辞令がある」
僕は木山大尉に向き直ると、
「辞令、艦娘海軍大尉 木山春生 本日付けをもって大尉の任を解く」
そしてもう一枚の辞令を読み上げた。
「辞令 艦娘海軍 木山春生 本日付けをもって艦娘海軍中佐を命ずる」
少佐を飛び越して中佐への昇進辞令だった。
「艦娘海軍 木山春生謹んで中佐の任お受けいたします」
木山大尉改め木山中佐が辞令を受け取った。
「木山中佐これからも宜しく」
執務室にいたみんなから祝福された。
「なら、今日はお祝いですね」
間宮が内線で伊良湖に指示を出していた。
「陸奥の無事なる帰還と副司令の中佐昇進のだね」
その日の夜は………聞かないで欲しい位に呑めや騒げやの大宴会となった…………千歳は静かに酔っていただけだったが、問題は隼鷹だった………彼女はアルコールの影響からなのか衣服ははだけて存在感のパナイ2つの富士山がこんにちはしていた…山頂部もモロ出しで…。
「………」
思わず僕はガン見していた…そりゃぁねぇ男ですから。
「何見てるのかなぁ………他の女の凝視して、私のだけ見てねぇ…」
背後から明石が低い声が聞こえ、振り向くと…そこには自らの胸部装甲をほじくり出し2つの高尾山をその山頂まで丸出しにした酔で目の据わった明石が立っていた。
「私の方だけ見てね」
そう云うと僕の頭を鷲掴みにして自らの2つの高尾山に押し当てた…高尾山で窒息するかと思ったよホントに。
僕は苦しさから両手で抵抗した………が手の位置が問題だった。
そう手の位置とは、高尾山をモロ手で鷲掴みにしていたのだった。
「やん」
明石が妙に色っぽい声を出した。
「二人共いい加減にしなさい!」
顔は笑っているが目がお怒りの咲先輩と間宮の二人から拳骨を落とされた、勿論隼鷹も叩き起こされて一緒に…であった。
2つの高尾山…2つの富士山…山頂………言わずとしれたあれデスよ、あれ。
そう!おっ○いデス、直接表現は避けてますが形を表すのにお山は丁度よいので。