仮面ライダー神器   作:puls9

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第十節 緋い眼は、妖しく華咲く

「フッフンフーン」

 

薄暗い部屋の中。ご機嫌な鼻歌が響く。鼻歌を口ずさむのは、赤いチャイナドレスを身に纏う美女、妲己。屈強な大男を椅子代わりに手に持った鞭を弄ぶ。

そして、おもむろに鞭が振るわれる。空気を引き裂く音を立てながら、振り抜かれた鞭の行く先には鎖で繋がれた人の姿があった。中性的な見た目に白い髪。かつてファブニールに仕え、見放された青年だ。

 

「ぐあぁっ!」

 

鎖によって宙吊りとなった白髪の青年は苦痛の声を上げ身悶える。鞭が振るわれた場所にミミズ腫れが出来るもすぐに治ってゆく。レジェスターの回復力は鞭程度ならすぐに癒える。しかし、いくら傷の治りが早くとも、痛みは残り、精神的苦痛は変わらない。連れ去られてから既に数日が過ぎている。青年の精神からはもはや拷問に耐えうる意思など微塵も感じられなかった。

 

「あーぁ、飽きちゃった」

 

ため息をつき、妲己は立ち上がると鞭を床に捨てる。バチンという音が部屋に響き渡る。同時に鎖による拘束を解かれ、青年は地面に落下する。

 

「……」

 

もはや声すら出せない程白髪の青年は衰弱していた。

妲己は入口に待機している男達に声をかける。

 

「もう要らないから、捨てといて」

「御意に」

 

男達の一人が答えると、残りの二人がが青年の両肩を支える。それを見向きもせず、妲己は部屋から出ていく。

男達は部屋の隠し戸を開けると、その中に青年を突っ込んだ。隠し戸の中は坂になっており、青年の体は転がり落ちていく。やがて、その先にあるのは異臭を放つたゴミの山。青年はその頂上に落とされると、そのまま意識を失った。

 

「強過ぎると面倒だけど、弱過ぎると壊しがいが無いわね」

 

妲己が独り言を呟きながら歩いていた。その後ろには四人もの男達が付いて歩く。

 

「次は誰を壊そうかしら」

 

その笑みには嗜虐の色が強く浮かんでいた。男達はそんな彼女に顔色一つ変えずに続いた。

 

 

 

 

 

 

「買い出し終了」

 

買い物バックを片手に、桃がスマホのメモアプリで必要な物を確認する。

 

「買い忘れは……無しと」

 

そう言うと、桃は店の外へ出る。すると。

 

「あ……。あっ、あー!!!」

 

突然声を上げ、桃を指指す男が居た。桃は突然の事に驚くも、すぐに警察を呼ぼうとスマホを取り出す。

 

「わー! 待って、待ってくだせえ!!」

 

男は慌てて桃の前に近づき、そのまま綺麗な土下座を決める。

 

「お願いします! どうかあっしをお助けください!!」

「は?」

 

桃の目が点になった。

 

「で、あんた誰よ」

 

土下座を続ける男を近くの喫茶店に引っ張り込み桃は言った。

 

「あっしですよ! ほら、福津市の時の!」

「福津市……。まさか!?」

 

その時の記憶を思い出し、桃は思わず声を上げた。

 

「そうです。あの時、見逃していただいたカッパレジェスターです」

 

そう言ってカッパレジェスターはにっこりと笑顔を見せる。

 

「それで、そのカッパレジェスターが何の用?」

 

若干の警戒心をにじませながら桃が問う。

 

「そうでした! どうか、あっしをお助けください!!」

 

カッパレジェスターが勢い良く頭を下げる。

 

「断る。レジェスターを助ける義理は無い」

 

その申し出を一刀両断するかのように桃は即答した。

 

「そこを何とか! 助けたい人がいるんです!!」

 

テーブルから身を乗り出しカッパレジェスターは再び土下座する。

 

「助けたい人?」

「実は……」

 

桃の問いにカッパレジェスターは語り始めた。

 

「福津市を出てからあっしは各地を転々としていました。そして、最終的にこの門出市に流れ着き、行き倒れていた所を小料理屋のご夫婦に助けられたんです」

 

そこで、カッパレジェスターは話を区切る。そして、一枚の写真を取り出す。そこには、笑顔を浮かべる長い黒髪の少女が写っていた。

 

「そのご夫婦には一人娘がいまして。美鈴さんって言うんですけど。とても優しい娘で、あっしはそんな彼女のことを妹のように可愛がっていました」

 

そこまで言うとカッパレジェスターは俯き、拳を強く握り締めた。

 

「ところがある日、突然美鈴さんが行方不明になったんです……」

「行方不明……ね」

 

その言葉を聞き桃が目を細める。

 

「それなら私じゃなくて、警察に言いなさいよ」

「それがレジェスターの犯行でもですか?」

 

カッパレジェスターが語気を強める。

 

「……どういう事?」

 

予想外の解答に桃は思わず聞き返した。 

 

「実はあっし見ちまったんです。美鈴さんがいなくなった同時期に緋眼妖華のレジェスターを」

「緋眼妖華?」 

 

桃はその名を反覆した。

 

「はい。あっしらレジェスターの界隈でも有名な奴らでして。各地に現れては、見目麗しい男女を攫って行くんです」

 

カッパレジェスターの説明に桃が表情を変える。

 

「その首魁の妲己が特に外道で、攫った人達の身も心も嬲って壊して愉しむ。まさしく、外道中の外道の様な女なんです」

 

カッパレジェスターは怒りに満ちた声で吐き捨てるように言った。だが、それ以上に聞き捨てならない言葉が聞こえた。

 

「今、何て言った?」

 

桃が冷たい声で聞き返す。

 

「え? ですから、外道中の外道の様な女と」

「その前!」

「えっと、首魁の妲己……」

 

桃の突然の変わり様に、カッパレジェスターがたじろぐ。

 

「案内しなさい」

「へ?」

 

カッパレジェスターの胸ぐらを掴みながら、桃が言う。

 

「緋眼妖華を潰してあげるから、場所を教えろって言ってんの!」

 

呆気に取られるカッパレジェスターに、桃は怒りの眼で凄んだ。

 

 

 

 

 

 

門出市の北側。そこは門出市の中でも特に治安の悪い地域である。そのとある路地裏の近くにリムジンが停まっていた。

 

「成る程。つまり君はその緋眼妖華に取り入る為に僕を拐おうとしたのか」

 

リムジンの中で、卓人が感心したようにウンウン頷いている。

卓人の前には、両手足を拘束された青髪の少女が座っていた。

 

「だったら何よ? 世の中、強い者に取り入らなきゃやっていけないんだから仕方ないでしょ?」

 

そう言って、青髪の少女、セイレーンレジェスターの人間態は卓人を睨みつける。

彼女は現在、両手両足に錠をかけられている状態だ。

 

 

「……それで? アンタは緋眼妖華の事を知ってどうするわけ?」

 

セイレーンレジェスターが挑発するように尋ねる。

 

「潰すよ」

 

それに対して卓人は平然と答えた。

 

「今すぐにとはいかないけど、将来的には潰すつもりだよ」

 

その言葉を聞いて、セイレーンレジェスターが目を丸くする。

 

「アンタ正気!?」

「当然。その為には、勝算は高い方がいい。だからこそ君の情報が必要なのさ」

 

卓人が不敵な笑みを浮かべ、セイレーンレジェスターを真っ直ぐ見据えた。

 

「ふーん。でも残念。ワタシはこれ以上の情報は持ってないわよ」

 

対するセイレーンレジェスターはあくまで強気に言い放つ。

 

「そっか。なら、後は自分で調べるさ」

 

しかし卓人は全く動じず、淡々と答える。

 

「調べる? アンタ何する気?」

「緋眼妖華に潜入する」

 

卓人の口から出てきたこれまた予想外過ぎる単語に、セイレーンレジェスターは驚きを通り越して呆れ果ててしまう。

 

「それで? あの路地裏の向こうに緋眼妖華のアジトがあるんだっけ?」

 

そんなセイレーンレジェスターを尻目に卓人は路地裏を見る。

 

「……えぇ、そうよ。この先に緋眼妖華のアジトがあるわ」

「見たところ、この先は行き止まりみたいだけど?」

「安心しなさい。幻でそう見せかけてるだけよ。まっすぐ進めばちゃんと入れるわ」

 

そう言って、セイレーンレジェスターは卓人に道を教える。

 

「成る程ね」

 

卓人はリムジンから出ようとしたその時、路地裏に人影が現れる。桃だ。

 

「美鶴城さん!?」

 

リムジンの中で卓人が驚く。だが、そんな事はつゆ知らず。桃は迷う事なく路地裏を突き進み、行き止まりを越えて姿を消した。

 

「不味い!?」

 

卓人は慌ててリムジンから降りる。セイレーンレジェスターを伴って。そして、卓人はセイレーンレジェスターの拘束を外した。

 

「は?」

 

突然の出来事にセイレーンレジェスターは思わず変な声を出してしまう。

 

「……アンタ、どういうつもり?」

 

セイレーンレジェスターが訝しげな表情で卓人を見る。

 

「君の目的は緋眼妖華に取り入る為に人を拉致しようとする事だ。でもこれからその緋眼妖華が潰れるならば、君が誰かに危害を加える理由は無くなる」

 

卓人はセイレーンレジェスターを見つめ返す。

 

「それに、君はなんだかんだ言ってもちゃんと情報を教えてくれた。ならば僕は、それにしっかりと報いなければならない」

「だから拘束を解いたってわけ? バカじゃないの?」

 

セイレーンレジェスターが嘲るように言う。

 

「別に、取り入る相手は緋眼妖華だけじゃないし。何より、今ここでアンタの邪魔してもいいのよ?」

 

続けて脅しをかけるが、卓人は全く怯まない。

 

「その時はしょうがない。僕が責任を持って君を斬る」

 

堂々とした態度で言う卓人を見て、セイレーンレジェスターが呆れたように息をつく。

 

「呆れた。これ以上関わるとこっちまで馬鹿になりそう」

 

セイレーンレジェスターが怪人態になる。そして、大きく翼を広げると、

 

「じゃあね。二度と会いたくないわ」

 

そのまま空高く飛び去っていった。

 

「……行かなきゃ」

 

その光景を見送った後、卓人は路地裏へ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

門出市には空港がある。その待合スペースに燈哉と紗耶はいた。

 

「そろそろだと思うんだけど」

 

燈哉が辺りをキョロキョロと見渡す。紗耶も同じように周りを見渡していた。

 

「やぁ、お待たせ」

 

そこに一人の青年がやってくる。

端正の整った容姿に紫髪の美青年。人目で外国人とわかる。彼は二人に向かって手を振る。

 

「久しぶりだね、燈哉くん」

「はい! 久しぶりっす、ムーマさん!」

 

二人は互いに握手を交わす。そして、ムーマは燈哉の隣にいる紗耶を見つけるとにこやかに笑って紗耶の手を取る。

 

「初めまして、お嬢さん。僕はムーマ・ウィザードリィ。よろしくね」

 

そう言って、紗耶の手に唇を近づけようとする。唇が手に触れる寸前、燈哉が割って入った。

 

「ストーップ! 何してるんすか!? ここは日本なんですから、外国式の挨拶はやめてください!!」

 

ムーマはそんな燈哉を見て面白そうに笑いながら謝罪する。

 

「いやー。ごめん、ごめん。かわいい女の子がいたから、ついね」

「あんたさぁ……」

 

燈哉は大きくため息をつく。

 

「えーっと、燈哉。この人が、今まで燈哉にトロフィーの情報をくれた人?」

「おう、そうだぜ。見た目に合わず凄いよな」

「あっはっは。酷いなー」

 

笑うムーマ。それを見て紗耶は苦笑する。

 

「それにしても、急に日本に来るって聞いてびっくりしたよ。一体どうしたんだ?」

「ちょっとした用事があってね。せっかくだから観光も兼ねて、君に案内してもらおうとかなと」

 

そういうことなら大歓迎だと燈哉は快諾する。

 

「それじゃあ、早速この街を案内するぜ」

 

燈哉は歩き出す。紗耶とムーマもそれについて行く。

空港を出てしばらく歩くと、街の大通りに出た。その大通りは空港から近い事もあり、観光客向けの出店が並んでいる。

 

「へぇー。結構活気立ってるね」

 

ムーマは興味深そうに街並みを見る。

 

「すごいでしょ?」

「うん。とても良い街だね」

 

そう言って三人は大通りを進み、出店を巡っていく。途中、出店ではクレープを買ったり、射的をしたりと、様々な出店を巡る。

一通り回り終えると、時刻は正午になっていた。

 

「そろそろお昼にしないかい? 君達のおすすめを教えて欲しいな」

「なら、いい所知ってますよ」

 

そう言って燈哉達はキッチン大洗へ向かう。だが、店の前に着くと、本日休業の札がかけられていた。

 

「あれ? 今日休みだっけ?」

「そんな話は聞かなかったけど……」

 

二人が困惑していると、店の中から成都が出てくる。

 

「すいません。本日、臨時休業になってしまいまして……。って、立脇君に椿坂さん!?」

「こんちわっす。大洗さん」

「こんにちわ」

 

燈哉達が挨拶すると、成都は焦ったように二人に詰め寄る。

 

「二人共! 桃ちゃん見てないかい?」

 

突然の問いに二人は驚く。

 

「美鶴城さんですか? いえ、見てないですけど……何かあったんですか?」

「それが……買い出しに出てから行方知れずで。連絡も取れないくてね。二人なら何か知ってるかと思って……」

 

その言葉を聞いて燈哉達の顔色が変わる。

 

「俺達も探しますよ!」

「ありがとう! 助かるよ!」

 

燈哉が今にも走り出しそうになったその時、男が駆けてきた。

 

「その必要はございやせん!」

 

男は肩で息をしながらそう言った。

 

「誰だ、お前?」

「カッパレジェスターです。福津市の時に見逃してもらった」

 

そう言って男はお辞儀をする。その男の姿を見て、燈哉と紗耶は思い出す。

 

「ああ! あの時の! 必要ないってのはどういう事だ?」

「美鶴城の姐さんは緋眼妖華のアジトへ向かったからです」

「緋眼妖華?」

 

聞き慣れぬ単語に燈哉は首を傾げる。

 

「簡単に言えば、レジェスター界隈でも悪どい連中の組織です。姐さんはその首魁の名を聞いて、一人で向かっちまったんです」

「何やってんの、あいつ!……」

 

燈哉は思わず頭を抱えた。その時、携帯の着信音が鳴る。相手は流川だった。

 

『お久しぶりにございます、立脇様』

「流川さん! 何かあったんですか?」

『えぇ。実は、今から一時間程前、坊ちゃまが緋眼妖華なるレジェスターのアジトへ乗り込みました』

「……はい!?」

 

思わず素っ頓狂な声を上げる燈哉。

 

「えっ、ちょっ!? どういう事ですか?」

 

混乱する燈哉に流川は説明を続ける。

 

『先日、坊ちゃまはあるレジェスターと戦ったのですが……。その時にこの事を知り、単身潜入なさったのです』

「それで、どうなったんですか!?」

 

燈哉の質問に流川は答える。

 

『わかりません。ですが、あまりに帰還が遅い為、わたくしの独断で立脇様にご連絡させていただきました』

「マジかよ!? あいつも何やってんだよ!」

 

燈哉は苛立ちを隠せない。

 

「あぁー、もう!!」

 

頭をガシガシと掻きながら燈哉は紗耶達の方を振り返る。

 

「皆! 俺は二人の所に行ってくる」

 

そう言うと、燈哉はトロフィーを操作して、クロコマイルズを呼び出す。そして燈哉はカッパレジェスターを見る。

 

「緋眼妖華の場所を教えてくれ!」

「へい! 場所は……」

 

場所を聞き、燈哉はクロコマイルズに跨がる。

 

「行ってくる!」

 

アクセルを踏み込み、そのまま勢い良く発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

行き止まりを超えた先。緋眼妖華のアジトの中は中華風の装いで満ちていた。

龍が巻き付いた意匠の柱。

赤く塗られた壁と絨毯。

それはまさに絢爛豪華としか言いようのない場所であった。

 

「ここが緋眼妖華……」

 

卓人は綺羅びやかなその空間に圧倒される。だが、すぐに我に返り、辺りを見回す。

 

「美鶴城さん」

 

すぐ近くに桃がいた。卓人の声に反応し、こちらを振り向く。

 

「聖葉? 何でここに?」

「それはこっちの台詞だよ。君こそどうしてここに?」

 

卓人の問いに桃は目を合わせる事なく前を見て答える。

 

「どうしても倒さなきゃいけない奴がいる。あんたは?」

「緋眼妖華が人々を攫い始めてる。見逃す訳にはいかない」

 

卓人の言葉を聞き、桃が目を細める。

 

「……そう。目的は同じって訳ね」

 

その時、足音が近づいてくる。2人が同時に振り向くとそこには1人の少女の姿があった。長い黒髪に今どき風の私服。だが、その目は虚ろで焦点が定まっていない。

 

「!?」

 

桃はその少女に見覚えがあった。

 

「美鈴さん?」

 

そう。カッパレジェスターが探していた少女だ。その様子は明らかに普通ではない。明らかに何かされた様に見える。美鈴と呼ばれた少女は無言で踵を返し、歩き始めた。

 

「待って!」

 

桃と卓人は後を追いかける。やがて美鈴はある部屋へと入って行く。2人も続いて入る。

そこはこの建物の中でも一際豪華な造りの広間だった。奥の壁に横長の椅子があり、そこに妲己が寝そべっていた。美鈴はそんな彼女の傍らで虚空を見つめている。

 

「ようこそ。いらっしゃい、仮面ライダーのお二方(新しい玩具達)

 

妲己は寝転んだまま、歓迎する様に微笑む。

 

「私は妲己。この緋眼妖華の首魁。どうぞ、よろしくねぇ」

 

妲己が片手を挙げる。すると、妲己を守る様に四つの人影が立ち塞がった。

 

「さぁ、客人をもてなしてあげなさい」

「はっ!」

 

四つの人影は見る見るうちに姿を変え、レジェスターとなる。

一体は人の顔に蛇の体が付いた怪物。スネークレジェスター・キョウコウ。

二体目は頭に犀角の生えた獣人とでも言うべき異形。ライノセラスレジェスター・カントウ。

三体目は象の顔に鋭い牙が生え、巨大な棍棒を持った大男。エレファントレジェスター・サンビョウ。

四体目は細かい鱗に、全身にヒレが生えた魚人。フィッシュレジェスター・コン。

どれも中国神話に登場する四柱の悪神、四罪の名を冠している。

それぞれが戦闘態勢に入り、卓人達を取り囲む。

 

「ちっ!」

 

それを見て、卓人と桃がアームズトロフィーを起動する。

 

<カリバーン!>

<レイエンキョ!>

 

トロフィーをベルトにセット。ボタンを押し、高らかに宣言する。

 

「「変身!!」」

 

<夜明けの王! 引き抜け、選定の剣!!>

<月夜の青龍!! 氷!氷!氷!>

 

二人の前に西洋剣と青龍偃月刀が突き刺さる。その力を装甲として纏い、変身。

 

<カリバーンソード!>

<レイエンキョフリーズ!>

 

複眼が輝き、二人は仮面ライダーとなる。

 

「いくぞ!」

 

ラウンダーの声を合図に両者が駆け出す。真っ先に動いたのはキョウコウ。蛇の怪人であるキョウコウの腕が鞭の様に伸び、ラウンダーに襲いかかる。

 

「ふんっ!」

 

ラウンダーはそれを避けると、カリバーンで斬りつける。だが、キョウコウはそれを受け止める。刃と蛇の身体が擦れ合い、火花が散る。

そこへサンビョウが地響きを立てながら突進してくる。ラウンダーは咄嵯に後ろに回避。

 

「手強い」

 

思わずそう呟く。見るとキョウコウとサンビョウがこちらに迫っている。ラウンダーはカリバーンを持ち直し、向かって行く。

その傍らで天華がコンとカントウと対峙していた。

 

「はあっ!」

 

天華がレイエンキョを振り回す。だが、コンとカントウは素早く避け、反撃とばかりに拳と蹴りを浴びせる。

 

「くっ……」

「どうした? そんなものか?」

 

コンがあざ笑う様に口を開く。その後方ではカントウが棍棒を振り回している。

 

「うぉりゃあああ!」

「ちっ!」

 

振り下ろされた棍棒を、横に跳んで避ける。だが、その先に待ち構えていたのはコンだった。

 

「食らいな!」

 

大きく口を開け、泡を吐く。天華はその攻撃を避けられず、直撃。泡が弾けた瞬間、衝撃が走り、吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐあぁ!」

 

天華は壁に叩きつけられる。

 

「ふふふ。どう? 私の配下達は? 強いでしょ?」

 

そう言って妲己が椅子から降りてくる。その言葉に気を取られ、ラウンダーと天華の動きが一瞬止まる。そして、四体のレジェスターはその隙を見逃さなかった。たちまち二人がかりでラウンダーと天華を抑え込む。

 

「くっ!?」

「ちっ……! 離しなさい!!」

 

身動きが取れず、抵抗するラウンダーと天華。そんな二人の前に妲己が近づく。そして、ラウンダーの顔を覗き込む。瞬間、妲己の眼が赤く輝く。

 

「!?」

 

ラウンダーは身体を強張らせると、そのまま脱力して床へ倒れる。

 

「聖葉!」

 

天華が叫ぶ。

 

「うっふふ。さぁ、次は、貴女の番」

 

妲己が天華に近づいていく。

 

「くっ!」

 

天華は必死に抵抗するが、やはり四罪の力は凄まじく、身動き一つ取れない。妲己が天華です顔を覗き込む。

 

「さぁ、私の眼を見なさい」

 

妲己の眼が再び赤く輝いた。

天華の視界が歪む。感覚が薄れて、意識は遠のき始める。

 

「あ……あ、あ……」

(これは。あの時と同じ感覚)

 

そして、意識は闇に消えた。

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