仮面ライダー神器   作:puls9

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第十四節 襲来、最強のレジェスター

門出市の広場に悲鳴が上がる。ヴァンパイアにウェアウルフ、その他諸々のレジェスター達が突如として姿を現したのだ。突然現れたレジェスターに人々は恐怖に怯え、広場はたちまちパニック状態に陥った。そこに大きな声が響く。

 

「み、皆さん! こっちです! こっちは安全なので落ち着いて避難して下さい!」

 

紗耶が広場の出口から叫ぶ。すると人々は落ち着きを取り戻しつつ、我先にと出口へと向かう。

そんな人々の間を縫い、二人の人影が躍り出る。卓人と桃だ。

 

「レジェスター。お前達の好きにはさせない」

「ようやく現れたか、仮面ライダー。お前達を仕留め、ファブニール様に捧げてくれる!」

 

卓人達を見て、レジェスター達が不敵に笑う。

 

「お目当ては私達ってわけね? なら、さっさと終わらせるわ」

 

卓人と桃がアームズトロフィーを構える。

 

<フェイルノート!>

<ダボウ!>

 

「「変身!」」

 

<哀の騎士!撃ち抜け、無駄なしの弓!!>

<フェイルノートアーチャー!>

<うねる大蛇‼雷!雷!雷!>

<ダボウサンダー!>

 

二人の前に弓矢と鉾が出現。卓人は音符に包まれ、桃は雷を纏い、その姿を変える。

 

「行くよ」

「ええ」

 

ラウンダーはフェイルノートを引き絞り、天華はダボウを振り回す。相対するレジェスター達と勢い良く激突。広場にて戦闘が始まった。

そして、それを見つめる影六つ。

 

「かっかっか。ファブニールの奴め。焦っている様やのう」

 

近くの建物の上。酒呑童子は盃を手に心底愉快そうな笑いを上げる。

 

「まさしく、痛快の極み! ファブニール一派なぞ、所詮長いものに巻かれるだけの烏合の衆」

 

御酌をしながら茨木童子も笑う。他の鬼大五将も賛同するように頷いている。

 

「でも逆を言えば、たとえ周りが雑魚でもファブニール一体でお釣りが来る、って事なんだよね。厄介な事に」

 

そこに別の声が割り込む。現れたのはアスクだった。

 

「ほう。誰かと思えば、ファブニールの所の下っ端ではないか」

「元だよ、元。向こうから縁を切られたから、もう部下でもなんでも無いよ」

 

アスクが肩を竦める。

 

「それで今度は俺様達に取り入ろうって腹積もりか?」

 

茨木童子が嘲笑う。他の鬼大五将達もニヤニヤとしている。

 

「まさか。今回は忠告に来ただけさ。酒呑童子にね」

「ほう?」

 

その言葉を聞き、酒呑童子が興味深げな視線を向ける。そして、手に持った盃を床に置いた。

 

「ファブニールに仕えてそれなりに長くてね」

 

アスクが眼下を見る。下ではラウンダー達とレジェスター達が激闘を繰り広げている。互角で始まった戦闘は徐々に仮面ライダー達に傾きつつあった。

 

「だから、あいつがこれからどんな行動を起こすか大体予想が着く」

 

視線を酒呑童子に戻し、アスクは不敵に笑う。

 

「死ぬよ。君のお気に入りの仮面ライダーは」

「というと?」

 

酒呑童子が話を促す。

 

「ファブニールは短気だからね。これが失敗したら恐らく次は自分の手で倒しにかかるだろうね」

「でも、今のトーヤ達じゃあ、絶対にファブニールには勝てない」

 

アスクは断言する。そう確信出来る程にファブニールは強大だ。それは酒呑童子達も分かっているはずだ。

 

「さぁ、君はどうする? 酒呑童子?」

 

自らの見立てを伝えつつ、アスクが問いかける。

 

「どうもせぬ。道半ばで散るならばそこまでの男であっただけの事よ。次なる者を気長に待つだけであるな」

 

酒呑童子はきっぱりと告げる。床に置いた盃を手に取ると再び口を付ける。

 

「でもワクワクしたんでしょ? トーヤと戦って」

 

アスクが薄く笑う。酒呑童子は何も答えない。ただ神妙な顔で黙り込んでいる。

 

「まぁ、決めるのは君だしね。好きにすればいいさ。けれど、そろそろ駒を次に進めてもいいんじゃない?」

 

最後にアスクがそう言い残し、その場から姿を消した。

 

「……ゆくぞ、お前達」

 

酒呑童子も立ち上がると、歩き出す。

 

「と、棟梁!?」

 

鬼大五将達は慌てて立ち上がると後に続いた。そして、建物の下。ラウンダー達の戦いも大詰めを迎えていた。

 

「ハァッ!」

 

天華がダボウを振るう。雷を纏った鉾がウェアウルフレジェスターを吹き飛ばす。

 

「ヤアッ!」

 

ラウンダーがフェイルノートから無数の矢を放つ。空から迫るヴァンパイアレジェスターを次々と撃ち落としていく。

 

「クソッ! こいつ等強過ぎる!!」

 

レジェスター達が苦虫を噛み潰した様に顔を歪ませる。

 

「「これで、トドメだ!」

 

<フェイルノート!>

<ダボウ!>

<<必殺神技!>>

 

二人が同時に必殺技を放つ。鉾から現れた雷蛇がレジェスター達を飲み込み、エネルギーが凝縮された矢が貫く。爆発を起こし、レジェスター達が消滅。辺りにトロフィーが落ちた。

 

「二人共、大丈夫だった?!」

 

変身を解除した二人の下へ紗耶が駆け寄る。

 

「ええ。大丈夫よ」

「うん。僕も大丈夫さ」

 

桃と卓人が頷く。

 

「それにしても、立脇の奴はどうしたの?」

 

桃が不機嫌な顔で問いかける。

 

「あっ。えっと、燈哉は」

 

紗耶が言い難そうに言う。

 

「お墓参りなんです。お父さんの」

 

 

 

 

 

 

 

門出市の西側には霊園がある。そこは町が見渡せるほど小高い丘になっており、真上から見ると町の四方に壁が繋がっているように見えるだろう。

そんな場所に燈哉はいた。右手には水の入った桶を、左手にはそれを掬う杓子が握られている。しばらく歩くと、ある墓石の前で止まる。その墓は古く、苔などが張り付いていたが綺麗に掃除されていた。

墓石には"立脇光哉"の名が刻まれている。燈哉は桶の水をかけ、線香を一本立てると手を合わせた。

 

「久しぶりだな、親父」

 

燈哉はそっと語りかける。

 

「親父が亡くなってもう十年か……。早いもんだよな、本当に……」

 

そう言って燈哉は目を瞑る。昔の事を思い返しながら。しばらく沈黙した後、燈哉は墓石に話しかける。

 

「……俺さ。仮面ライダーって奴になったんだ」

「レジェスターって言う皆を傷付ける奴らと戦って、色んな人達を助けてる。親父みたいに」

 

燈哉は立ち上がり、空を見上げた。燈哉の父はレスキュー隊員であった。人命救助に情熱を注ぎ、多くの人命を救ってきた。しかし、その反面で危険な任務も多く、十年前の今日、その命を失ってしまったのだ。

 

「あっ! もちろん、冒険家になる夢は忘れてないぜ。バイトして、金貯めて世界の全部を見に行って見せる」

 

思い出したかのように燈哉は声をあげる。

 

「空から見守っていてくれ。俺、頑張るから。……また来る」

 

墓石に笑いかけると燈哉は踵を返す。そして、霊園を後にする。

 

「見つけたぞ、仮面ライダー!」

 

霊園から出た燈哉を出迎えたのは複数のレジェスター達だった。その顔にはどこか焦燥が見える。

 

「レジェスター!? 何でここに?」

 

突然の登場に困惑しつつも燈哉はトロフィーを取り出し、起動する。

 

<オオデンタミツヨ!>

 

「変身!」

 

トロフィーをベルトにセット。ベルトのボタンを押し込む。

 

<土塊!怒号!怒涛!土剣の戦士!!>

 

燈哉の目の前にオオデンタが出現。周囲の土や石等が鎧を形作り、その身に纏う。

 

<オオデンタグランド!>

 

仮面ライダー神器 オオデンタグランドに変身する。

 

「まぁ、襲ってくるなら容赦はしない。かかってこいよ」

 

オオデンタを肩に担ぎ、左手で手招きし挑発する。

 

「舐めるなよ貴様!」

 

それが癪に障ったのか、レジェスター達は一斉に襲いかかってきた。

 

「数が多い、一気に仕留める!」

 

神器がベルトのトロフィーを押し込む。

 

<オオデンタ!>

<必殺奥義!!>

 

神器が右足を地面に強く踏みつける。瞬間、目の前の地面が隆起、土の壁が出来上がる。

 

「オリャアッ!!」

 

そして、エネルギーを纏った右足で壁を蹴りつけた。壁が破壊され、その破片が向かってくるレジェスター達に飛んでいく。いくつもの破片が肉体を撃ち抜き、目の前のレジェスター達を次々と消滅させていく。

 

「まだだ! 後ろが空いているぞ!!」

 

残りの一団が背後から迫る。しかし、神器が瞬時にトロフィーをオオデンタに差し、押し込んだ。

 

<オオデンタミツヨ!>

<必殺神技!!>

 

エネルギーが凝縮された一撃を振り向きざまに放つ。横薙ぎ一閃。斬撃が背後から迫ったレジェスター達を斬り裂いた。

 

「そんな馬鹿な……」

 

神器の前には一人難を免れたレジェスターが一体だけ呆然と立っている。

 

「ク、クソッ!! 覚えてろよ!」

 

そのレジェスターは捨て台詞を吐くと一目散に逃げて行く。

 

「待ちやがれ!」

 

その時、上空から青い炎がレジェスターを包み込む。

 

「キ゛ャ゛ァ゛ァ゛ァ゛!?!!」

 

悲鳴をあげレジェスターが燃える。

 

「ファブ……ニール……さ……ま……」

 

そのまま力尽き、消滅。トロフィーが地面に落ちた。

次の瞬間。空から何が勢い良く着地。衝撃波が周囲一帯に広がる。地面は爆ぜ、大きく凹んだ。

 

「ぐわっ! ……いったい何だ!?」

 

突然の事に対応しきれず土煙が立ち込める。巻き上がる砂埃が晴れ、姿を現したのはファブニールだった。

 

「誰だお前は?!」

「誰だと? 冥土の土産に聞かせてやる。俺の名はファブニール。ドラゴンレジェスター・ファブニールだ!」

 

ファブニールと名乗った黒い龍のレジェスターは、両手を広げ雄叫びを上げる。

 

「ファブニール!? 酒呑童子が言ってた……!」

 

以前、酒呑童子の口から聞いた名前に神器は驚愕する。

 

「さっきの奴。お前の仲間じゃないのか? 何で殺したんだ!」

 

神器が尋ねる。そこには非難の色が滲んでいた。

 

「仲間? フッ!」

 

ファブニールが鼻で笑う。その顔には嘲りが浮かんでいる。

 

「奴らは蝿だ。俺という光に群がる虫けらにすぎない。俺の役に立てないから殺した! それだけのことだ」

「こいつ!」

 

そのあまりの言い草に思わず神器が憤った。無意識にオオデンタの柄を強く握る。

 

「どうした? 来ないのか?」

 

ファブニールが不敵な笑みで挑発する。

 

「言われなくても、行ってやるよ!」

 

神器が駆け出し、オオデンタを振るう。剣が触れる瞬間、ファブニールの姿に消え、空を切る。

 

「遅えよ」

 

背中を強い衝撃が襲う。気が付けば神器が地面に転がっていた。

 

「!?」

 

あまりに早い展開に脳の処理が追いつかない。呆然とする神器をさらなる一撃が脇腹に叩き込まれた。

 

「がぁっ?!」

 

近くの壁に吹っ飛ぶ。壁が破壊され、神器は地面に叩きつけられた。

 

「だったら!」

 

<ミカヅキムネチカ!>

<高潔!交錯!光明!光剣の戦士!!>

<ミカヅキライトニング!>

 

黄色の装甲を纏い、神器が光速で駆け出す。そして、ファブニールの背後に回り込み、ミカヅキを振り下ろした。

 

「貰ったぁ!!」

 

鈍い音が響き、ミカヅキが跳ね返される。鋼とも見間違う硬い皮膚がミカヅキを弾いたのだ。その証拠にファブニールの背中には傷一つ付いていない。

 

「フンッ!」

 

ファブニールが尻尾を振るう。丸太のような太い尻尾が神器に迫る。

 

「うおっと!」

 

神器が体をくねらせる。尻尾の一撃をギリギリで回避。そこへ続けざまに拳が振るわれる。

 

「ハッ!」

 

横に転がり込み、これも回避。神器は距離を取るべく走る。しかし、ファブニールが追いすがり、振り切れない。ファブニールは光速で動けるミカヅキと同等の速さを持っていた。

 

(まずい。まずいぞ!)

 

仮面の奥で神器は冷や汗を流す。その表情は焦りで満ちている。ファブニールをひと目見た時、すぐさまパワータイプと言うことは見て取れた。だから、同じくパワーに長けたオオデンタで挑む事にしたのだ。

だが、オオデンタではファブニールのスピードに着いていけない。かと言って、スピードに長けたミカヅキではファブニールに傷一つ付けられない。むしろ、装甲が薄いミカヅキでは一度でも攻撃を食らったら一発アウトだ。

 

<オニマルクニツナ!>

<筆頭!必勝!必殺!火剣の戦士!!>

<オニマルフレア!>

 

赤い装甲に身を包み、オニマルを構える。オニマルの火力で皮膚を溶かす算段だ。

 

「これならどうだ!」

 

炎を纏った斬撃が放たれる。しかし、神器の目論見は呆気なく崩れた。ファブニールが大きく息を吸い込み、口から青白い炎のブレスを吐き出した。青白い炎がオニマルの炎を飲み込み、そのまま神器へと押し戻される。

 

「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」

 

装甲が炎に焼かれ、神器の変身が解除された。ゆっくりと膝から崩れ落ち、燈哉の意識は遠のいていく。

 

(ああ。もう……駄目だ……)

 

燈哉が地面に倒れ込む。気を失い、微動だにしない。

 

「とんだ雑魚だったな」

 

ファブニールが燈哉に近づく。そして、その頭を足で踏みつける。

 

「まずは一匹」

 

ファブニールが燈哉へ手を振り下ろした。

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